薬剤師の卒後研修カリキュラムの調査研究

文献情報

文献番号
202025017A
報告書区分
総括
研究課題
薬剤師の卒後研修カリキュラムの調査研究
課題番号
19KC2008
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
山田 清文(名古屋大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 橋田 亨(地方独立行政法人神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 薬剤部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
5,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療職の卒後研修は、医療現場における実践力を習得する上で重要であり、その後のキャリア形成にも影響する。医師の卒後研修のように、薬剤師も免許取得後に一定の研修を受けるべきとの指摘がある。薬剤師の卒後研修制度(レジデント制度)を導入している医療機関はあるものの、その目的はジェネラリストの養成からスペシャリストの養成まで多種多様である。
本研究の目的は、薬剤師の卒後研修の実態を把握し、その課題を明らかにするとともに、今後の薬剤師に求められる機能・役割を踏まえ、卒後研修で必要とされるカリキュラムの考え方を示すことである。
令和2年度の当初計画では、欧州における卒後研修の現地調査を実施する予定であったが、新型コロナ感染症の拡大のために実施困難となった。そのため以下4項目の調査研究を実施した。
(1) 欧州における薬剤師の卒後研修に関するアンケート調査と文献調査
(2) レジデント制度の自己評価と相互チェックの実施
(3) 卒後研修プログラム
(4) 薬剤師の卒後研修カリキュラムに関するアンケート調査
研究方法
(1)欧州における薬剤師の卒後研修に関するアンケート調査と文献調査
 FIPの協力を得て欧州における薬学教育、卒後研修および専門薬剤師制度についてアンケート調査を実施。アンケート調査結果を踏まえ、文献等を参考として、イギリス、フランスおよびドイツの卒後研修の状況を改めて調べた。
(2) レジデント制度の自己評価と相互チェックの実施
 昨年度の本調査研究で作成した薬剤師卒後研修プログラム自己評価調査票を用いた。相互チェックでは、対面調査に先立ち自己評価票と関連資料を用いた書面審査を実施し、対面調査では、プログラム責任者ならびに研修管理者からの概要説明と質疑応答、薬剤師レジデントおよび指導薬剤師へのインタビューを行った。
(3) 卒後研修プログラム
 薬局を含め様々な規模の医療機関でも実施可能な共通の研修プログラムを検討した。検討にあたっては研究代表者と研究分担者の他、研究協力者として日本病院薬剤師会(木平健治会長、他8名)、日本薬剤師会(宮﨑長一郎副会長)、薬学部から中村明弘氏(昭和大学薬学部教授)が参加して議論した。
(4) 薬剤師の卒後研修カリキュラムに関するアンケート調査
 国内における卒後研修の実態を把握するため、薬学生の認知度、現役レジデントの満足度、若手薬剤師の関心・ニーズなどをアンケート調査した。対象は、薬学生、薬剤師レジデント、レジデント修了者、若手薬剤師とし、日本病院薬剤師会の協力を得て、合計1,519名から回答が得られた。 
結果と考察
(1) 欧州における薬剤師の卒後研修に関するアンケート調査と文献調査
 イギリス、ドイツを含む計7か国から回答を得た。イギリスで行われている薬剤師免許登録後の自律的な卒後研修やスペインにおける法律に基づく卒後研修は、本邦における卒後研修制度とそのプログラムを考える上で参考になると思われる。
(2) レジデント制度の自己評価と相互チェックの実施
 福岡大学病院および神⼾市⽴医療センター中央市⺠病院の薬剤師レジデントプログラムの自己評価および相互チェックを実施した。相互チェックでは、両医療機関で実施されているそれぞれのレジデント制度は概ね適切に運用されていると評価された。同時に各レジデント制度の改善すべき点あるいは検討すべき点を指摘し、プログラムの改善・充実を図ることを提案した。
(3) 卒後研修プログラム
 卒後研修は、卒前実習並びに専門薬剤師研修と連携・接続した内容とし、臨床上、携わる機会の多い様々な疾患の薬物治療において、服薬指導や薬物治療管理などに必要となる実践的な知識・技能・態度を習得できること、研修施設としては都市部の大病院だけでなく、地方の病院や中小病院、薬局なども考慮する必要がある。
(4) 薬剤師の卒後研修カリキュラムに関するアンケート調査
 薬学生のレジデント制度についての認知度は約76%と高かった.レジデント経験者は卒後研修について臨床薬剤業務を集中的に経験し、専門薬剤師や学位取得につながるキャリアパスととらえ、修了者の一部はそれを実現している実態が明らかとなった。一方、就職するにあたり現在の薬学実務実習の内容は不十分とする意見がレジデント修了者42%、レジデント36%、若手薬剤師25%、薬学生12%で認められた。病院薬剤師として就職しない場合でも、卒業後に一定期間の病院研修制度があれば受けたい、とする意見が全ての対象群において60%を超えた。
結論
これまでの調査研究の結果を踏まえ、具体的な薬剤師の卒後研修プログラムの骨子案を作成した。今後、薬局を含めた全国の様々な機能・規模の医療機関等において、実施可能かどうか検討する必要がある。

研究報告書(PDF)

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収支報告書

文献番号
202025017Z