ナノ分子イメージングを活用した次世代創薬アプローチ

文献情報

文献番号
200812016A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノ分子イメージングを活用した次世代創薬アプローチ
課題番号
H19-ナノ・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
盛 英三(東海大学 医学部基礎医学系)
研究分担者(所属機関)
  • 望月 直樹(国立循環器病センター研究所 循環器形態部)
  • 若林 繁夫(国立循環器病センター研究所 循環分子生理部)
  • 武田 壮一(国立循環器病センター研究所 心臓生理部)
  • 増田 道隆(国立循環器病センター研究所 循環器形態部)
  • 平山 令明(東海大学 医学部基礎医学系)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
39,813,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的はがんや循環器疾患の分子標的薬剤の開発に向けて、I.標的タンパクの分子構造解析に基づく薬剤設計/探索;創薬スクリーニング系の開発、II.分子機能を蛍光イメージンングで評価する技術を応用した薬効スクリーニング系の開発を推進することである。
研究方法
創薬スクリーニング研究では疾患関連タンパクの構造を決定し、その分子構造をもとに医薬品をin silicoで探索/設計する。薬効評価スクリーニング系ではFRETを応用した個体レベルでの血管新生機構の可視化に取り組む。
結果と考察
I.タンパク構造解析に基づく薬剤設計/探索(創薬スクリーニング)
(1)創薬標的タンパクの構造解析
標的タンパク分子の構造解析に関しては、ヒトADAMファミリーホモログ分子3つ(VAP1、VAP2B、RVV-X)の構造を決定した。VAP1、VAP2Bの構造解析からADAMファミリータンパクの基本構造であるM、D、C、3つのドメインがC字型の分子構造を形成し、Cドメインの一部である超可変領域が基質認識部位である可能性を示した。血液凝固第X因子(factor X)を活性化するRVV-Xの構造からは、HVRを介して連続するレクチン様の軽鎖がfactor Xを補足する機構を提示した。ヒト心筋トロポニンコアドメインについて、より精度の高い2オングストローム分解の構造モデルを得た。
(2)タンパク構造解析に基づく阻害剤の発見/創製
医薬品の探索/設計に関してはがん特異的に発現するイオン交換輸送体(NHE)調節タンパク(CHP2)を標的として研究を開始した。1)NHE1とその制御因子の創薬標的としてのバリデーションの検定、2)構造に基づく薬物スクリーニング、3)NHE1と相互作用する新規創薬標的候補分子の発見という3本柱で研究を行っている。
II.標的分子機能イメージング技術・薬効スクリーニング系の開発
血管新生への薬物評価系として血管特異的なGFP発現Zebra fishの有用性を確認した。Zebra fishを用いたチロシン脱燐酸化酵素遺伝子PTP11N(SHP2)のスクリーニング系を開発し、SHP2阻害薬のスクリーニングを実施中である。SHP2は胃癌のヘリコバクターピロリのCagA蛋白質と結合することから、その阻害物質は有望な創薬候補となる。
結論
創薬スクリーニング系と薬効評価スクリーニング系を併せて確立することで、研究機関主導の薬剤創製に道を開く。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
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