文献情報
文献番号
202025010A
報告書区分
総括
研究課題名
輸血医療の安全性向上のためのデータ構築研究
課題番号
19KC2001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
- 加藤 栄史(愛知医科大学病院 輸血部)
- 田中 朝志(東京医科大学八王子医療センター 臨床検査医学分野)
- 米村 雄士(熊本大学医学部附属病院)
- 紀野 修一(日本赤十字社 北海道ブロック血液センター)
- 岡崎 仁(東京大学医学部附属病院)
- 宮作 麻子(日本赤十字社 血液事業本部 技術部)
- 後藤 直子(日本赤十字社 血液事業本部 技術部 安全管理課)
- 北澤 淳一(福島県立医科大学医学部)
- 大谷 慎一(北里大学 医学部 輸血・細胞移植学)
- 松岡 佐保子(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
19,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
輸血のトレーサビリティの実現を目指し、献血における採血から医療施設における輸血実施までを期間限定でトレースし、輸血製剤の使用実態、輸血後副作用の発生状況を解析する。トレース結果の解析から、輸血の安全性と適正使用をさらに高い次元で実現するための基盤の整備を行う。さらにこれらのデータを日本輸血・細胞治療学会、日本赤十字社、厚生労働省の各種調査に活用できるよう、全国規模で情報を収集する仕組みを構築する。
研究方法
日本赤十字社と医療施設(愛知医科大学、北里大学病院、県立青森中央病院、東京大学、東京医科大学八王子医療センター、熊本大学、近畿大学、大阪医科大学、東京医科大学、東邦大学医療センター大森病院、南多摩病院、宮崎大学)において、トレーサビィティに関するパイロットスタディを行なった。令和元年度に確定したデータを収集するにあたり必要な項目について、専用に開発したデータシートを用いて情報を収集した。
日本赤十字社からも当該バッグに関する情報を専用のデータシートを用いて収集した。
国立感染症研究所、血液・安全性研究部で情報の紐付け及び解析を行なった。合わせて、情報の保管管理に関する基盤整備を行なった。
日本赤十字社からも当該バッグに関する情報を専用のデータシートを用いて収集した。
国立感染症研究所、血液・安全性研究部で情報の紐付け及び解析を行なった。合わせて、情報の保管管理に関する基盤整備を行なった。
結果と考察
供血者の選択から受血者の転帰まで(Blood transfusion chain)を追跡できるトレーサビリティシステムを構築し、日本赤十字社が保管している、transfusion chainの前半部分(供血者の選択から医療施設への供給)に関する情報とtransfusion chainの後半部分を構成する医療施設の輸血医療に関する情報の結びつけを行うための情報収集システムを構築するとともに、結びつけたデータの解析を行った。研究班参加医療施設に加え近畿大学、大阪医科大学、東京医科大学、東邦大学医療センター大森病院、南多摩病院、宮崎大学から総計113,177件の輸血情報の提供を受け、日本赤十字社の製造に関する情報との紐付けと解析を行なった。これまでの副反応報告では把握できていなかった製剤ごとの性別・年代別データの解析が可能となった。このことにより、製剤の安全性・有効性のみならず輸血医療の安全性向上に寄与する可能性がある。また、情報収集のためのシステム構築については、一般の医療施設に加えて在宅輸血時の情報収集も可能となった。今後、日本輸血・細胞治療学会参加の医療施設からの輸血情報を取集できるための基盤を整え、全国の医療施設を対象にした、トレーサビリティ活動開始を目指す。
結論
パイロットスタディの結果より日本赤十字社での血液製剤の製造に関する情報と医療施設での使用に関する情報を結びつけることにより、トレーサビリティの確認が可能であることが、明らかとなった。今後、日本輸血・細胞治療学会の参加施設に本システムへの登録を募ることで、輸血情報を収集する活動の拡大が期待できる。
公開日・更新日
公開日
2021-05-28
更新日
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