新たなアプローチ方法による献血推進方策と血液製剤の需要予測に資する研究

文献情報

文献番号
202025008A
報告書区分
総括
研究課題名
新たなアプローチ方法による献血推進方策と血液製剤の需要予測に資する研究
課題番号
H30-医薬-一般-011
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
田中 純子(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
研究分担者(所属機関)
  • 鹿野 千治(日本赤十字社 血液事業本部 経営企画部 事業戦略室)
  • 秋田 智之(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
4,320,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、3つの研究の柱からなり、エビデンスに基づいた献血施策の基盤となる成果の提示を目指す。
研究方法
人口動態、疫学、社会行動確率論、情報マネジメント、社会医学、教育など多岐にわたる研究分野からのアプローチを実施する。
結果と考察
1血液製剤の医療需要と供給の予測に関する研究
1) 免疫グロブリン製剤の使用実態と需要予測
NDB利用申請を行い、2012~2018年度NDB解析による国内血漿由来人免疫グロブリン製剤の使用実態を解析した。2.5g換算のべ処方本数は、2012年1,363,389本~2018年1,923,307本であった。性年齢群別人免疫グロブリン製剤全体に占める患者数の製剤別割合、患者一人当たり処方本数をもとに線形モデル推定を行い、2019年1,886,269本~2025年1,886,519本。原料血漿必要量を推定した結果、Low予測2025年943,259L、High予測2025年1,075,315Lと算出した

2) 献血の需要と供給の将来推計
●需要について:血液製剤(赤血球、血小板、血漿)の需要に必要な献血本数を予測するため、日本赤十字社「血液製剤供給単位数」を年齢群で按分後、「人口千人あたり年齢群別血液製剤供給単位数」を算出、一般化線形モデルによる当てはめを行い、2018年以降の「血液製剤推定需要単位数」「血液製剤の需要に必要な献血本数」を算出した。
●供給について;献血者数の将来予測を2通りの方法で行った:マルコフモデルによる解析-2016-2017年度の全献血者の献血種類と年度内献血回数(献血行動)から得た性・年齢別に献血行動推移確率から2018年以降の献血者数を算出した。年齢コホート (AC)モデルによる解析-2006-2018年度の性年齢別の献血者数を用いて、献血率の年齢効果、出生コホート効果をACモデルにより推定し、2018年以降の献血率・数を算出した。
●需要と供給の差分から献血率目標値;前項1)のNDB解析により得た免疫グロブリン製剤に必要な2025年原料血漿94万-107.5万リットルを加え、血液製剤および血漿分画製剤の需要に必要な献血者数は2025年に477~505万人。一方、予測される献血者数は440~444万人。その差分を補填するための目標献血率は10歳代6.5~7.5%、20歳代6.9~8.1%、30歳代6.1~7.3%と算出され、目標値達成のために10~30歳代の献血率に0.5~2.0%上乗せが必要である。新型コロナウイルス感染症の献血行動や医療需要への影響を考え、引き続き検討する必要がある。
なお、本結果は厚生労働省献血推進の中期目標「献血推進2025」の設定に採用され、血液事業の推進に貢献した。

2若年者の献血推進の方策と教育資材の開発
1) 医療系学生とルーム来訪者を対象とした献血に関する意識調査研究
H大学医療系学生731人、広島・大阪献血ルーム来訪者1,214人に意識調査を実施。医療系大学生高学年では献血経験率30.9%、献血に関する知識認知率も高く、献血教育の効果が示唆された。ルーム調査結果から、若年層が家族・友人などから影響を受け献血行動を取りやすいことが示され、若年層献血推進に活用すべきと考えられた。高校献血の実施率は現在低率であるが、かつて実施された高校献血が、現在の献血制度を支える中高年層の複数回献血者に影響を与えた可能性があることが出生コホートに着目した解析から示された。

2) 医療系大学における献血教育実施状況に関する現状把握調査
献血教育の現状について医学部を有する全82大学を対象とした全国調査を行った結果、回答は45%37大学。そのうち、献血教育を行っている20大学(54%)。「献血制度を含むわが国の血液事業のあゆみに関する」教育コンテンツを導入希望が35%。講義用スライドやハンドブックなど教育資材の作成・開発を進めることが医療系大学における献血推進に役立つ可能性が示された
結論
上記、得られた知見は研究目的に適う

公開日・更新日

公開日
2021-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-06-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202025008B
報告書区分
総合
研究課題名
新たなアプローチ方法による献血推進方策と血液製剤の需要予測に資する研究
課題番号
H30-医薬-一般-011
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
田中 純子(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
研究分担者(所属機関)
  • 鹿野 千治(日本赤十字社 血液事業本部 経営企画部 事業戦略室)
  • 秋田 智之(広島大学 大学院医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、3つの研究の柱からなり、エビデンスに基づいた献血施策の基盤となる成果の提示を目指す。
研究方法
人口動態、疫学、社会行動確率論、情報マネジメント、社会医学、教育など多岐にわたる研究分野からのアプローチを実施する。
結果と考察
1血液製剤の医療需要と供給の予測に関する研究
1) 免疫グロブリン製剤の使用実態と需要予測
NDB利用申請を行い、2012~2018年度NDB解析による国内血漿由来人免疫グロブリン製剤の使用実態を解析した。2.5g換算のべ処方本数は、2012年1,363,389本~2018年1,923,307本であった。性年齢群別人免疫グロブリン製剤全体に占める患者数の製剤別割合、患者一人当たり処方本数をもとに線形モデル推定を行い、2019年1,886,269本~2025年1,886,519本。原料血漿必要量を推定した結果、Low予測2025年943,259L、High予測2025年1,075,315Lと算出した。

2) 献血の需要と供給の将来推計
●需要について:血液製剤(赤血球、血小板、血漿)の需要に必要な献血本数を予測するため、日本赤十字社「血液製剤供給単位数」を年齢群で按分後、「人口千人あたり年齢群別血液製剤供給単位数」を算出、一般化線形モデルによる当てはめを行い、2018年以降の「血液製剤推定需要単位数」「血液製剤の需要に必要な献血本数」を算出した。
●供給について;献血者数の将来予測を2通りの方法で行った:マルコフモデルによる解析-2016-2017年度の全献血者の献血種類と年度内献血回数(献血行動)から得た性・年齢別に献血行動推移確率から2018年以降の献血者数を算出した。年齢コホート (AC)モデルによる解析-2006-2018年度の性年齢別の献血者数を用いて、献血率の年齢効果、出生コホート効果をACモデルにより推定し、2018年以降の献血率・数を算出した。
●需要と供給の差分から献血率目標値;前項1)のNDB解析により得た免疫グロブリン製剤に必要な2025年原料血漿94万-107.5万リットルを加え、血液製剤および血漿分画製剤の需要に必要な献血者数は2025年に477~505万人。一方、予測される献血者数は440~444万人。その差分を補填するための目標献血率は10歳代6.5~7.5%、20歳代6.9~8.1%、30歳代6.1~7.3%と算出され、目標値達成のために10~30歳代の献血率に0.5~2.0%上乗せが必要である。新型コロナウイルス感染症の献血行動や医療需要への影響を考え、引き続き検討する必要がある。
なお、本結果は厚生労働省献血推進の中期目標「献血推進2025」の設定に採用され、血液事業の推進に貢献した。

2若年者の献血推進の方策と教育資材の開発

1) 医療系学生とルーム来訪者を対象とした献血に関する意識調査研究
H大学医療系学生731人、広島・大阪献血ルーム来訪者1,214人に意識調査を実施。医療系大学生高学年では献血経験率30.9%、献血に関する知識認知率も高く、献血教育の効果が示唆された。ルーム調査結果から、若年層が家族・友人などから影響を受け献血行動を取りやすいことが示され、若年層献血推進に活用すべきと考えられた。高校献血の実施率は現在低率であるが、かつて実施された高校献血が、現在の献血制度を支える中高年層の複数回献血者に影響を与えた可能性があることが出生コホートに着目した解析から示された。

2) Pilot地区を対象とした若年者への献血推進方策のモデル事業
同大学医療系学部全学生2,322名を対象とし献血推進パンフレットの配布、献血の重要性に関する説明を行った。その後、献血ルームを訪れた学生は65名。アンケート調査結果より、若年層の献血推進行動は周囲の環境に大きく影響することが示唆され、パンフレット等による知識の普及と合わせて家族・友人同士で献血行動をとりやすい環境作りが重要。また、同学生が献血に協力する学生のネットワーク構築を行うKasumi-Bloodonorsが同大学で結成された。COV19の影響により外出自粛が続き献血者数の減少が続いている中、同団体の働きかけの結果献血行動に至ったことの意義は大きい。

3) 医療系大学における献血教育実施状況に関する現状把握調査
献血教育の現状について医学部を有する全82大学を対象とした全国調査を行った結果、回答は45%37大学。そのうち、献血教育を行っている20大学(54%)。「献血制度を含むわが国の血液事業のあゆみに関する」教育コンテンツを導入希望が35%。講義用スライドやハンドブックなど教育資材の作成・開発を進めることが医療系大学における献血推進に役立つ可能性が示された。
結論
上記、得られた知見は研究目的に適う

公開日・更新日

公開日
2021-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2021-06-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202025008C

収支報告書

文献番号
202025008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,400,000円
(2)補助金確定額
5,400,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,080,633円
人件費・謝金 786,668円
旅費 0円
その他 1,452,699円
間接経費 1,080,000円
合計 5,400,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2021-06-09
更新日
-