文献情報
文献番号
200812011A
報告書区分
総括
研究課題名
神経変性タンパク質の細胞局所場に於ける動態・フィブリル化のイメージングに基く効率的な医薬品評価系の開発
課題番号
H19-ナノ・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
諸根 信弘(国立精神・神経センター 神経研究所 微細構造研究部)
研究分担者(所属機関)
- 永井 健治(北海道大学電子科学研究所)
- 和田 圭司(国立精神・神経センター 神経研究所)
- 中村 俊(東京農工大学大学院共生科学技術研究院)
- 内野 茂夫(国立精神・神経センター 神経研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
47,167,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
神経変性疾患(プリオン病、アルツハイマー病、パーキンソン病)のための効率的な医薬品評価系を構築するうえで、病態極初期に表現される病因タンパク質のプロトフィブリルを高時空分解能で可視化できる基盤技術を整備することが、平成20年度の研究目的である。
研究方法
(1)新しい画像処理アルゴリズムによるフィブリル化タンパク質複合体の高分解能電子線構造解析(細胞局所構造を捉えた電子顕微鏡像に適した画像処理法や、複合体を構成する特定のタンパク質分子同定法の開発)
(2)光照射による生体機能操作法の開発(KillerRedの単量体化と生理機能破壊法への応用や、群青色蛍光タンパク質の開発と応用)
(3)アルツハイマー病モデルに於けるシナプス分子の輸送制御機構解析
(4)神経変性疾患病因関連蛋白質の細胞内構造・機能解析
(5)神経回路網構築時のシナプスの構造活性相関
(2)光照射による生体機能操作法の開発(KillerRedの単量体化と生理機能破壊法への応用や、群青色蛍光タンパク質の開発と応用)
(3)アルツハイマー病モデルに於けるシナプス分子の輸送制御機構解析
(4)神経変性疾患病因関連蛋白質の細胞内構造・機能解析
(5)神経回路網構築時のシナプスの構造活性相関
結果と考察
(1)細胞膜面の電子顕微鏡像から、タンパク質粒子のみをmathematical morphologyに基づくフィルタにより自動抽出するアルゴリズムを確立した。分子の大きさや形状の違いによるクラスタ解析を経て、クラス平均像を求めると、オリゴマーやチャネルポアなどの分子構造が可視化された。これらの要素技術を発展させて、病因タンパク質の電子顕微鏡シミュレーション像の作成とマッチング手法を開発した。これらは、細胞局所場での病因タンパク質の検出ばかりでなく、病態極初期のプロトフィブリルの検出にも有効である。
(2)吸収特性の良い単量体化KillerRedのスクリーニングを試みた結果、昨年度得られた単量体化KillerRed変異体よりも、モル吸光係数の大きなmKillerRedを得ることに成功した。光増感活性の低下も認められず、HeLa細胞のミトコンドリアにmKillerRedを発現させ、緑色光を短時間照射すると、ほぼ100%の効率でアポトーシスを誘導することができた。これは、21年度予定のプロトフィブリルの生理機能破壊に繋がる有効な要素技術である。
(2)吸収特性の良い単量体化KillerRedのスクリーニングを試みた結果、昨年度得られた単量体化KillerRed変異体よりも、モル吸光係数の大きなmKillerRedを得ることに成功した。光増感活性の低下も認められず、HeLa細胞のミトコンドリアにmKillerRedを発現させ、緑色光を短時間照射すると、ほぼ100%の効率でアポトーシスを誘導することができた。これは、21年度予定のプロトフィブリルの生理機能破壊に繋がる有効な要素技術である。
結論
神経変性疾患の病因タンパク質のプロトフィブリルについて有効と考えられる、電子顕微鏡画像アルゴリズムによる検出や光照射による生体機能操作の技術を開発した。21年度は、プロトフィブリルに到る素過程に対する、医薬品候補分子の相互作用を定量化する技術へと発展させ、効率的な医薬評価系の確立を目指す。
公開日・更新日
公開日
2011-05-30
更新日
-