文献情報
文献番号
200812009A
報告書区分
総括
研究課題名
テラヘルツ波によるラベルフリーバイオチップシステムの開発
課題番号
H18-ナノ・若手-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
小川 雄一(国立大学法人東北大学 大学院農学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 林 伸一郎(理化学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、テーラーメイド医療やライフサイエンス研究現場での利用を目指した、ラベルフリーバイオチップシステムの開発を目的とする。特に、テラヘルツ波と呼ばれる未開拓電磁波の特徴を利用した、抗原抗体反応などを非標識でセンシングする手法の確立と、その技術をシステム化するためのテラヘルツ波光源を開発し、ラベルフリーかつ安価で迅速な診断および分析を可能とする技術を確立する。
研究方法
非標識検査における夾雑物下での影響を調べるために、夾雑物下での非標識検出モデル実験を行った。この実験では、自己抗体フリーのヒト血清に抗体を加えたモデルサンプルを作成し、メンブレン上の抗原との検出を非標識で検出することを試みた。次に、金属メッシュセンサの有効性を確認するために、α-カゼインに対する抗α-カゼイン抗体の検出を試みた。さらに、多点計測による網羅的解析法の検討を進めるために、テラヘルツ干渉イメージング法を提案し、その原理検証ならびに小分子-タンパク質の非標識検出実験を行った。専用テラヘルツ波光源の開発には、金属メッシュセンサの特性に合わせるための狭線化技術の開発を実施した。
結果と考察
夾雑物下においても特異的に結合している抗体の検出が可能であることが明らかとなり、非標識検出の基礎データを得た。アレルゲンの検出においては、概算量で9 ng/mm2のα-カゼインの結合が検出でき、抗原抗体反応においてngオーダーのタンパク質量の検出の可能性が示された。THz干渉イメージング法では高感度な画像計測が実現できることが実証され、メンブレンに固定化されたビオチンとストレプトアビジンの結合において、1.6×10-5 Mの微量計測に成功した。光源開発においては、励起光源をマイクロチップレーザーを採用することで、10GHz以下の狭線化に成功した。
結論
夾雑物下での非標識検出の検討、自己抗体やアレルゲンを対象とした研究を進め、本手法の有効性や問題点を明らかにした。新しい非標識検査手法を提案し、原理検証実験ならびに小分子アレイによる特定タンパク質の非標識検出に成功した。小型テラヘルツ波光源は、金属メッシュセンサの急峻な透過特性を利用するのに適した10GHz以下の線幅を有していることや、干渉イメージングで必要な干渉性を兼ね備えている点、また波長可変性を持ち、基材にあわせた波長を選択できる小型光源であり、本課題で進めている非標識検査装置のコアになる光源として最適なものといえる。
公開日・更新日
公開日
2011-05-30
更新日
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