新一般用医薬品の開発と評価に関する調査研究

文献情報

文献番号
199700454A
報告書区分
総括
研究課題名
新一般用医薬品の開発と評価に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
清水 直容(帝京大学医学部名誉教授)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 薬物療法等有用性向上推進研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新一般用医薬品は、これまで日本において約47成分が承認され、一般用医薬品として国民の医療に十分貢献してきたが、より効果の強い薬剤の承認に際して、消費者の自己責任、情報提供の在り方、医師及び薬剤師との連携に関し、臨床試験の実施と評価の方法及び市販後調査の実施と評価の方法等について、一定の指針の作成が要望され、必要性が認められたため、その作成を目的として調査研究を行う。
研究方法
本年度は文献調査及び海外の医療用医薬品の一般用への転換の臨床試験方法、承認基準、市販後調査の実態並びに日本に於ける新一般用医薬品(H2ブロッカーを含む)の市販後調査の現状を調査研究する。
結果と考察
結果=10年度以降に明確にすべき具体的課題を次の如く明らかにした。
臨床試験方法について
1) 有効性確保のための臨床試験の在り方:承認のために新たに行う治験はGCPに準じた試験を前提とするが、個々の試験についての方法例えばプラセボ使用、盲験性、症例数、統計手法などについてのガイドライン作成を検討する
2) 薬局店頭における実用試験の導入の可能性を検討する
3) 医療用医薬品の転換の際には用量設定根拠試験の基準設定の検討
4) 医療用用量を変更せずに一般用とする際は、その使用法の明確化
5) 医療用医薬品の転換の際の再審査資料の成績の活用基準。例えば有自覚症状患者の選択基準、効能効果の記載法の根拠
6) 安全性評価に必要な再審査資料の症例数の基準
7) 審査については、相談の受付、調査、審議、部会報告事項の基準
市販後調査の在り方について
1) 消費者よりの使用経験調査の方法とその基準
2) 薬剤師の果たす役割の検討
3) 販売方法の検討(効能の表示、包装を含め)
4) 消費者への情報提供の在り方の検討(口頭、文書、テレビ、インターネットなど)
考察=昭和58年(1983年)以来平成9年までの14年間に新一般用医薬品として日本において承認された成分数は47成分に達している。いずれも従来の一般用医薬品製造指針により製造承認申請がおこなわれ、審査方針に従い審査され承認されたものである。米国でも1976年より1996年の21年間に34成分が承認市販され、その殆どの成分は日本と同じである。これまでも薬理作用がより強力で明確な医薬品が一般用に転換されてきたが、医療用とは異なった病態での使用も多いと考えられる。このため、その病態に適した臨床試験方法や評価方法も必要と考えられる。また市販後調査もGPMSPに準じた信頼性の高い方法により安全性の一層の確保を図るべきと考えられた。
結論
新一般用医薬品の医療における役割の明確化については、軽医療の概念、需要の実態、セルフメディケーションなど自己診断、自己治療、自己責任、疾患の経過、医療経済の点から論議されるべきであるが、これとともにその有効性と消費者への情報提供の在り方を含めた安全性の確保のための方策を確立することは適正使用に繋がる重要な課題と考える。

公開日・更新日

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