食品微生物試験法の国際調和のための研究

文献情報

文献番号
202024045A
報告書区分
総括
研究課題名
食品微生物試験法の国際調和のための研究
課題番号
20KA1007
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
朝倉 宏(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究分担者(所属機関)
  • 五十君 静信(東京農業大学 応用生物科学部)
  • 松岡 英明(東京農工大学 大学院工学研究院)
  • 倉園 久生(徳島大学 研究支援・産官学連携センター)
  • 岡田 由美子(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
  • 泉谷 秀昌(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 上間 匡(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
16,945,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では国際的な微生物試験法に精通した専門家から構成される「食品からの微生物標準試験法検討委員会」の活動を通じ、国際調和が取れた微生物試験法を確立し、特に食品の微生物規格基準等に関わる試験法の整備を行うことを目的として検討を行った。
研究方法
本研究では、食品微生物試験法の国際調和に向け、(1)衛生指標菌試験法等に関する研究、(2)食品微生物試験法の国際動向及び妥当性確認に関する研究、(3)ボツリヌス試験法に関する研究、(4)遺伝子検査法の導入に関する研究、(5)ウイルス試験法に関する研究、の各項目について検討を行った。
結果と考察
(1)腸内細菌科菌群及びリステリア・モノサイトゲネス試験法を精査し、より整合性のとれた体系とするための改訂案を作成し、検討委員会での審議を経て、最終版としての承諾を得た。これらの試験法は、試験法改訂に係る令和3年3月30日付の通知を発出する際の根拠として活用された。また、カンピロバクター定量試験法(NIHSJ-35)ではPCR確認試験の妥当性評価を行い、共同試験へと進むことが了承された。更に、標準試験法の作成及び改訂のガイドライン案を議題として挙げ、NIHSJ文書として作成することとなった。(2)ISO/TC34/ SC9総会及び第25回第3作業部会に参加し、情報収集及び意見交換を行った。国際調和の観点から、クローズアップされた課題の筆頭は食品マトリクスの分類であった。例え参照法であっても、妥当性確認の際に使用した食品と異なる食品に適用する場合は、妥当性確認が必要となることから、喫緊の課題である。(3)芽胞調整プロトコールの作成及び簡易DNA抽出法の妥当性確認等を行い、共同試験の開始が承認された。(4)遺伝子検査法作業部会でリアルタイムPCRを含めた遺伝子検査法の情報収集、並びにリアルタイムPCR法の策定に関するISO文書の策定状況並びにその内容を確認した。(5)欧米で現在用いられるウイルス標準試験法を確認し、国内試験法では食品表面拭取り検体に対する試験法が十分に整備されていない状況にあることを把握した。
結論
(1)衛生指標菌等に関する研究では、腸内細菌科菌群試験法並びにリステリア・モノサイトゲネス試験法について用語及び体系の統一化を図り、2020年版として最終確定した。これら試験法について厚生労働省食品基準審査課に提示し、通知法改正の根拠として活用された。また、カンピロバクター定量試験法に示されるPCR確認試験法の妥当性が確認され、NIHSJ-35-ST3として共同試験へと進むことが承認された。加えて、国内標準試験法の作成や改訂に向けたガイドライン案の作成を開始した。ISO 17468:2017で示される試験法作成のためのガイドラインは、これまでに「食品からの微生物標準試験法検討委員会」において用いてきた標準試験法の作成方針と同様の骨子であることが確認され、引き続き、国際整合性を担保した試験法策定を行う意義が示されたといえる。
(2)食品微生物試験法の国際動向および妥当性確認に関する研究では、 わが国もISO/TC34/SC9のWGに積極的に関与し今後のISOのバリデーションガイドラインの策定に係わっていくことが重要と思われ、ISO 16140-3の和訳化は特に国際調和を進めていく上で大きな意義があると思われた。また、食品マトリックスの分類体系に関する知見は、我が国特有の食品マトリックスを対象とする試験法を作成・改訂していくために、ISO作業部会へ発信していくことが重要であると結論づけられた。
(3)ボツリヌス試験法に関する研究では、コラボスタディにあたり、芽胞菌液作製プロトコールの整備及び簡易DNA抽出キットの妥当性の確認、並びにNIHSJ-20TS-ST2の検出効率の検証を達成し、コラボスタディの開始が承認された。
(4)遺伝子検査法の導入に関する研究では、食品からの微生物標準試験法は培養法をベースとして構築されているが、今後、リアルタイムPCRを用いた微生物標準試験法の開発導入は進むものと予想され、国際整合性に適合した試験法となるよう、その導入を検討する際には国際標準的なガイドラインの策定は極めて重要であることが結論づけられた。
(5)ウイルス試験法に関する研究では、欧米での食品媒介性ウイルス標準試験法に関する情報を収集・整理し、国内の現行試験法との比較を通じて、国内では適用範囲として設定されていない食品マトリックスの存在や、前処理法、工程管理のためのコントロールの設定等について今後検討すべき項目を抽出することができた。

公開日・更新日

公開日
2021-09-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-09-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202024045Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
18,252,000円
(2)補助金確定額
18,252,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 13,488,470円
人件費・謝金 1,948,308円
旅費 0円
その他 1,508,222円
間接経費 1,307,000円
合計 18,252,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2022-07-01
更新日
-