動物性食品輸出の規制対策のための研究

文献情報

文献番号
202024042A
報告書区分
総括
研究課題名
動物性食品輸出の規制対策のための研究
課題番号
20KA1005
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 志田 静夏(齊藤 静夏)(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 工藤 由起子(国立医薬品食品衛生研究所  衛生微生物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
26,364,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
EU規制計画のB物質のうち、牛及び鶏においてモニタリング部位が肝臓又は腎臓となっている物質について、筋肉を対象とした分析法を開発し、確立した分析法について妥当性評価を実施することにより、モニタリング検査で検出された場合に輸出再開に向けた迅速な対応が取れる体制を整備することを目的とした。
研究方法
牛の筋肉を対象としてチルミコシン分析法、スルファモイルダプソン分析法、クロルテトラサイクリン及びオキシテトラサイクリン分析法、PCB分析法等の13分析法の確立と妥当性評価を行った。国内食肉処理施設において、牛枝肉表面のSTECについて定性的・定量的検出を行った。方 USDA/FSISの試験法を参考に志賀毒素遺伝子・大腸菌O抗原遺伝子検出のスクリーニングを行い、分離株の血清型別、毒素型別等の解析を行った。また、各種殺菌剤について、生理食塩水や液体培地中のSTEC浮遊液での消毒効果を検証した。また牛肉での効果を予備的に検証した。
結果と考察
牛の筋肉を対象として、チルミコシン分析法、スルファモイルダプソン分析法、クロルテトラサイクリン及びオキシテトラサイクリン分析法、エンロフロキサシン分析法、フロルフェニコール分析法、トリクラベンダゾール分析法、サリノマイシン及びモネンシン分析法、トルトラズリル分析法、ペルメトリン分析法、HCB分析法、DDT、アルドリン、エンドリン、ディルドリン、ヘプタクロル、ヘプタクロルエポキシド、α-HCH、β-HCH及びγ-HCH分析法、クロルデン及びノナクロル分析法、及びPCB分析法の13分析法を確立し、B物質36化合物について妥当性評価試験を実施した。その結果、真度77.9~112.6%、併行精度1.1~10.8%、室内精度2.3~17.6%となり、良好な結果が得られた。また、いずれも定量を妨害するピークは認められず、選択性に問題はなかった。これらの結果から、13分析法は牛の筋肉を対象とした分析法として妥当であることが示された。牛枝肉のSTEC調査では、2020年11月から2021年2月に7施設の協力のもとに牛枝肉合計180検体を供試した。検体を増菌培養後、マルチプレックスリアルタイムPCR法、血清凝集試験および生化学的性状試験を併用し、同時に生菌数の計数を行った。1検体からSTEC O157:H7が分離されたが、1検体のみであったことからウシの種類や性別などの特徴については考察には至らなかった。STEC O157:H7が分離された検体において生菌数が比較的高い値を示した。STEC O157:H7が分離された検体において生菌数が比較的高い値を示したことから、ウシや環境状況の要因の可能性が考えられた。また、全体として検体の生菌数は、15%で検出されず、検出された検体では平均値17.5±63.50(平均±SD)CFU/㎝2であった。施設による生菌数の違いがあり、ウシや環境状況の要因の可能性が考えられた。今回は冬でのサンプリングであったが、今後、他の季節についての調査も必要と考えられた。牛肉の消毒効果の検討では、消毒薬として、酸性の過酢酸製剤、アルカリ性の次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸ソーダ)、中性のエタノール(エチルアルコール)を選択し、生理食塩水や液体培地中のSTEC浮遊液での消毒効果を検証した。結果として、十分な消毒効果が認められ、STEC接種牛肉においても消毒液の量を増やすことにより菌数は減る傾向が認められた。
結論
EU規制計画のB物質の13分析法は牛の筋肉を対象とした分析法として妥当であることが示された。牛枝肉のSTEC調査では、1検体からSTEC O157:H7が分離されたが、1検体のみであったことからウシの種類や性別などの特徴については考察には至らなかった。STEC O157:H7が分離された検体において生菌数が比較的高い値を示したことから、ウシや環境状況の要因の可能性が考えられた。生理食塩水や液体培地中のSTEC浮遊液での消毒剤の効果を検証したところ、十分な消毒効果が認められ、STEC接種牛肉においても消毒液の量を増やすことにより菌数は減る傾向が認められた。

公開日・更新日

公開日
2021-10-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表
研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-10-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202024042Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
26,364,000円
(2)補助金確定額
26,364,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 10,897,706円
人件費・謝金 4,767,643円
旅費 0円
その他 10,698,654円
間接経費 0円
合計 26,364,003円

備考

備考
消耗品を購入するための研究費が3円不足したため、収入の「(2)補助金確定額」より支出の「合計」の方が多い。不足分は自己資金がら支出した。

公開日・更新日

公開日
2022-07-01
更新日
-