食中毒調査の迅速化・高度化及び広域食中毒発生時の早期探知等に資する研究

文献情報

文献番号
202024040A
報告書区分
総括
研究課題名
食中毒調査の迅速化・高度化及び広域食中毒発生時の早期探知等に資する研究
課題番号
20KA1004
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
大西 真(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 林 哲也(九州大学大学院医学研究院基礎医学部門病態制御学講座細菌学分野)
  • 砂川 富正(国立感染症研究所 感染症疫学研究センター)
  • 工藤 由起子(国立医薬品食品衛生研究所  衛生微生物部)
  • 寺嶋 淳(岩手大学 農学部共同獣医学科 )
  • 平井 晋一郎(国立感染症研究所 感染症危機管理研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
38,983,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症の事例調査のためにこれまで各種の分子型別法が開発され、利用されてきた。反復配列多型解析法(MLVA法)が迅速性、精微性に優れていることから、国内では主にMLVA法を用いた解析が行われている。本研究ではこれまで蓄積されてきたMLVA型データを基盤に有効性を明確にし(R2年度)、R3年度には、MLVA 型が一致した場合あるいは類似型であった場合の検査結果の評価の仕方を整理し、R3-R4年度にかけて、集団事例における評価を行うことで検証する。MLVA解析の利用を一層進めるために、検査結果の正確性を担保する精度管理手法の確立を行う。R2年度には、精度管理手法のためのマニュアルを整備し、R3年度に地方衛生研究所の協力で試行し、R4年度にはMLVA解析を実施している地方衛生研究所に対して精度管理を実施する計画とする。同時に国内でWGS解析を利用した事例調査を効率的に実施するために求められる解析手法とデータベースの必要要件等を明らかにする。また食中毒事例由来株、家畜由来株の体系的な収集システムの構築を目指す。
研究方法
研究代表者らにより、感染研に送付された腸管出血性大腸菌2020年分離株に対してMLVA法により解析した。方法はIzumiyaら(2008、2020)の方法に従って実施した。cgSNPは、snippy(https://github.com/tseemann/snippy)およびBactSNP(http://platanus.bio.titech.ac.jp/bactsnp)を組み合わせた解析パイプラインを構築した。BactSNPで得られたSNP情報をsnippyで利用できる形に変換するプログラムを作製することで、高精度なSNPのデータベース化と迅速な再解析が可能となるパイプラインを構築した。5名の分担研究者によりそれぞれの課題に取り組み、その結果を代表研究者が総括した。
結果と考察
MLVAデータを基盤とするため継続的に全国のEHEC分離株の解析、データの精度確認を行った。また、ゲノム解析用のパイプラインを構築した。諸外国におけるWGSの導入状況、活用状況、解析パイプラインやデータベース整備等の調査を行い、我が国の現状を踏まえた活用法について検討した。プロトタイプとなるデータベースの構築を開始した。さらに、MLVAデータとNESIDデータの連携と活用等の検討を実施、NESIDの届出データを用いた広域事例疑いの早期探知システムを用い、広域食中毒疑いとして厚生労働省への情報提供を、自治体に対する喫食状況調査等の対策の実施を行った。食品由来株の収集と分子型別ならびに、動物由来株の収集と性状解析を実施した。ゲノム解析を含めた分子型別手法とサーベイランスを連携して、実務として対策・対応に結びつけていくことが重要であるが、同時に家畜・食中毒事例による食品からの分離菌株の体系的な収集とそのデータベース化も重要である。その活動は緒についたばかりであ流が、継続的に実施していく必要がある。
結論
ゲノム解析を含めた分子型別手法とサーベイランスを連携して、実務として対策・対応に結びつけていくことが重要であるが、同時に家畜・食中毒事例による食品からの分離菌株の体系的な収集とそのデータベース化も重要である。その活動は緒についたばかりであ流が、継続的に実施していく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2021-11-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-11-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202024040Z