輸出に向けて加工食品に用いられる食品添加物の安全性評価の加速のための研究

文献情報

文献番号
202024039A
報告書区分
総括
研究課題名
輸出に向けて加工食品に用いられる食品添加物の安全性評価の加速のための研究
課題番号
20KA2003
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
窪崎 敦隆(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
7,610,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律」(令和元年法律第57号)が第200回臨時国会において成立し、令和元年11月27日に公布、令和2年4月1日に施行された。本法律は、日本で生産された農林水産物や加工食品の輸出の促進を図るため、輸出に取り組む事業者の支援等を行うことにより、農林水産業・食品産業の持続的な発展に寄与することを目指している。現在、日本の加工食品は、諸外国で人気が高く輸出量の拡大が見込まれる分野であるが、日本と輸出先国で食品添加物の規制が異なることから、日本で使用が認められている食品添加物を含む加工食品が、輸出先国で食品添加物の使用が認められていないことを理由に輸出できないという問題が生じている。海外に輸出する加工食品に用いられる食品添加物の安全性については、輸出先国としても関心が高く、相手国・地域における食品添加物にかかる評価への対応が輸出促進の課題の一つとなっている。そこで、本年度は、食品添加物、特に天然由来の添加物の規格基準や安全性に関して米国がどのような点に着目して評価しているか等について情報を収集し整理することで、輸出拡大のための規制等への対応に関する問題の解決につながる道筋を示すことを目的にした。
研究方法
最初に、米国の食品添加物に関する担当政府機関であるFood and Drug Administration(FDA)が発出している食品添加物の規格基準や使用許可申請等の情報、および米国の食品添加物の規格基準や規制に関する研究者が発表した論文を入手して記載内容を整理した。次に、日本からの米国への使用許可申請に携わったことがある食品添加物企業等の関係者から、これまでの経験や日本から米国への食品添加物の承認申請する際の注意点や問題点等に関する意見を収集して整理した。それらの指摘から、「毒性試験の国際調和」「環境保健クライテリア改訂情報」「米国コンサルタント業界」の3点について追加の調査研究を行った。
結果と考察
その結果、FDA発出している食品添加物の新規承認手続に関連した連邦行政規則集を補足するFDAガイダンスについて新規の関連文書が発出されても漏れなく収集できるような検索方法も含めて今後の利活用を念頭にした情報が整理できた。また、FDAガイダンス「Redbook 2000」や関連論文に仮訳を付すことで、行政担当官が参考資料として活用できる資料を作成できた。さらに、米国への使用許可申請の経験がある日本の食品添加物企業等の関係者からの意見収集を行うことにより、使用許可申請の際のコンサルタントの役割の重要性を含めて日本側から見た米国への食品添加物の新規承認手続で注意が必要な項目等について整理できたが、「米国コンサルタント業界」については、デスクトップ調査に加え、GRAS届出の実績があること等の情報を基に食品添加物使用許可等の申請の実態に即した米国コンサルタント会社の抽出を行い、それらの会社に直接ヒアリング調査を行うことで、相談費用等に関する参考情報を収集及び整理をすることが出来た。また、毒性病理学分野での日米間での所見や評価および専門単語に関する相違点の存在や整理しておくべき資料に関する指摘が得られたことから、毒性病理学者の取り巻く現状について情報を整理したうえで、米国の毒性病理学分野の専門家から直接意見聴収をすることで、米国から見た日本の毒性病理試験等に関する問題点や提言を得ることが出来た。さらに「環境保健クライテリア」改正事項のうち、遺伝毒性に着目して変更点を整理し、今後の動向について考察した。
結論
本研究は、食品添加物、特に天然由来の成分で混合物からなる添加物を中心に、諸外国における品質や安全性審査の着目点を明らかにすることにより、今後の輸出拡大のための相手国・地域の規制等への対応に関する問題点の解決につながる道筋を示すことを目指すものであり、本研究の成果を活用することにより、輸出先国のリスク管理上の懸念を生むことなく、我が国の加工食品の輸出の加速につながることが期待される。厚生労働省では農林水産省と共同で食品輸出拡大のため、相手国・地域の規制等への対応強化を進めている。食品添加物に関しては、輸出先国の許可申請等に関する技術支援を行うもので、本研究で得られた情報等を踏まえた申請支援や技術的指導を既に行っており、これらの施策に直接活用されている。また、今後、輸出先国の新規使用許可申請を希望する企業や団体が出てきた際に、本研究の成果を利活用することにより、技術水準の向上や迅速化に資すると考えられ、食品安全政策の適切な施行に貢献すると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2021-11-09
更新日
2022-09-28

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202024039Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,610,000円
(2)補助金確定額
7,610,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 820,014円
人件費・謝金 1,758,973円
旅費 46,106円
その他 4,984,907円
間接経費 0円
合計 7,610,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-09-05
更新日
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