畜産食品の生物学的ハザードとそのリスクを低減するための研究

文献情報

文献番号
202024029A
報告書区分
総括
研究課題名
畜産食品の生物学的ハザードとそのリスクを低減するための研究
課題番号
19KA1005
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
佐々木 貴正(国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部)
研究分担者(所属機関)
  • 朝倉 宏(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
  • 工藤 由起子(国立医薬品食品衛生研究所  衛生微生物部)
  • 岡田 由美子(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
13,061,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
鶏肉製品におけるカンピロバクターやサルモネラ汚染率が依然として高く、食中毒発生との関連性も多く認められる現状を踏まえ、リスク評価及びリスク管理措置(微生物規格基準の設定等)に資する知見を進展・集積させることを目的に、本研究を昨年度から開始した。本研究は、①鶏肉製品におけるカンピロバクター等の定量的汚染実態に関する研究、②畜産食品における微生物迅速試験法に関する研究、③鶏肉加工製品におけるサルモネラ等の汚染実態に関する研究、④畜産食品の加工工程におけるリスク低減手法とその効果に関する研究により構成される。
研究方法
①主に卸売段階にある鶏肉製品を対象として、ISO 10272-2:2017に準じた統一的な定量試験法により定量試験を行った。②国際的な第三者認証機関における妥当性評価を受けた自動生菌数測定装置(以下「TEMPO法」という。)について、市販の鶏皮及び鶏レバーを対象とした場合の有用性をISO法を参照法として確認した。③昨年度に確立したサルモネラ定量試験法を用いて鶏肉加工製品中のサルモネラ汚染状況を定量的に調査した。④焼き鳥用モモ串を対象として、高圧処理と加熱調理の併用による微生物汚染低減効果及び物性変化(色調・硬度)を調査した。
結果と考察
①計228検体を調査し、137検体(60.1%)からカンピロバクターが検出され、最大値は4.32 log CFU/gであった。菌数分布では、陽性検体の67.2%(92検体)は2.0 log CFU/g以上の菌数を示し、昨年度の一般流通段階にある鶏肉製品検体の25.5%に比べ、卸売段階にある鶏肉製品ではより高い汚染菌数を示す状況にあると推察された。②昨年度と合わせて鶏レバー189検体及び鶏皮(ムネ肉又はモモ肉)122検体を調査し、ISO法に準じた定量試験法と鶏肝臓、鶏皮ともに高い相関性(鶏レバー:相関係数=0.91、鶏皮:相関係数=0.97)が得られ、TEMPO法の有用性が確認された。③鶏肉加工品(つみれ、肉団子)95検体を調査し、30検体(31.6%)からサルモネラが検出され、菌数範囲は<7.5~107.5 CFU/ 25 gで、定量限界値以下の低汚染検体(<7.5 CFU/ 25 g)が最も多かった(63.3%)。陽性検体はすべて冷蔵品で冷凍品からは検出されなかった。④200℃、5分の加熱調理単独では、約3 log CFU/gの生菌数が認められたが、加熱調理前に高圧処理(300MPa、10分)を追加した場合には、生菌数は検出限界値以下となった。また、当該高圧処理を追加した場合でも、加熱調理単独と比べて品質(色調及び硬度)に大きな変化は認められなかった。
結論
①カンピロバクター汚染については、流通段階にある鶏肉製品と比べ、卸売段階の方が高汚染である可能性、生鳥の飼育期間の短長が鶏肉製品の汚染率に関連する可能性、食鳥処理場間で汚染菌数が異なる可能性が示唆された。②TEMP法について、鶏肝臓及び鶏皮を検体とした場合、ISO法に準じた定量試験法との高い同等性が確認された。③サルモネラ汚染については、鶏肉加工食品の約3割から検出されたものの、その多くは低汚染であることが明らかとなった。④高圧処理(300MPa、10分)後の加熱調理(200℃、5分)により、生菌数が検出限界以下となり、加熱調理の前処理における高圧処理の利用可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2021-09-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-09-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202024029Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,061,000円
(2)補助金確定額
13,061,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 10,567,110円
人件費・謝金 2,181,030円
旅費 44,308円
その他 268,552円
間接経費 0円
合計 13,061,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2022-07-01
更新日
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