文献情報
文献番号
202024026A
報告書区分
総括
研究課題名
プエラリア・ミリフィカ含有健康食品の安全性評価法の確立
課題番号
19KA3003
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
坂元 政一(九州大学 大学院薬学研究院)
研究分担者(所属機関)
- 藤井 俊輔(長崎国際大学 健康管理学部健康栄養学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
2,518,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
マメ科のプエラリア・ミリフィカはタイ全土に分布する植物であり、強力な植物エストロゲン(PEs)であるミロエストロール(ME)、デオキシミロエストロール(DME)及びクワクリン(KWA)を含むことから、この植物を原料とした健康食品などで健康被害が報告されている。そこで、本研究では、磁気イムノアッセイ (MPs-EIA)とバイオインプリンティング(BI)を用いた検出法の二つの手法を用いて分析時間の改善を図り、プエラリア・ミリフィカ含有健康食品の安全性評価法を確立する。
本年度は、先ず、昨年度までに得られていなかった高純度DMEの精製を行い、MEとKWAに対してMPs-EIAとBIを用いた検出法の確立を目指した研究に取り組んだ。
本年度は、先ず、昨年度までに得られていなかった高純度DMEの精製を行い、MEとKWAに対してMPs-EIAとBIを用いた検出法の確立を目指した研究に取り組んだ。
研究方法
①MEの調製
昨年度、十分量単離のできなかったDMEの単離精製を各種カラムクロマトグラフィーにより行った。
②MPs-EIAの確立
【MEの検出】
今年度は、MPs (4種類)及びME-MPsコンジュゲートの調製方法を検討し、抗ME mAb (mAb 1H1)のMPsに対する非特異的吸着を抑制する方法を模索した。
【KWAの検出】
最適化したMPs-EIAの信頼性、正確性及び安定性の評価と植物サンプルやプエラリア・ミリフィカ含有健康食品サンプル中のKWAの定量を実施した。
③BIを用いた検出法の確立
【MEの検出】
MEを鋳型分子としてオボアルブミンに対してBIを行い、ME-biOVAを調製しMEに対する分子認識能及び定量系への応用可能性を検討した。
【KWAの検出】
KWAを鋳型分子としてオボアルブミンに対してBIを行い、KWA-biOVAを調製しKWAに対する分子認識能及び定量系への応用可能性を検討した。KWA-biOVAではKWAに対する認識能が認められたため、BIを用いた検出系の確立及びサンプル中のKWAの定量を行った。
昨年度、十分量単離のできなかったDMEの単離精製を各種カラムクロマトグラフィーにより行った。
②MPs-EIAの確立
【MEの検出】
今年度は、MPs (4種類)及びME-MPsコンジュゲートの調製方法を検討し、抗ME mAb (mAb 1H1)のMPsに対する非特異的吸着を抑制する方法を模索した。
【KWAの検出】
最適化したMPs-EIAの信頼性、正確性及び安定性の評価と植物サンプルやプエラリア・ミリフィカ含有健康食品サンプル中のKWAの定量を実施した。
③BIを用いた検出法の確立
【MEの検出】
MEを鋳型分子としてオボアルブミンに対してBIを行い、ME-biOVAを調製しMEに対する分子認識能及び定量系への応用可能性を検討した。
【KWAの検出】
KWAを鋳型分子としてオボアルブミンに対してBIを行い、KWA-biOVAを調製しKWAに対する分子認識能及び定量系への応用可能性を検討した。KWA-biOVAではKWAに対する認識能が認められたため、BIを用いた検出系の確立及びサンプル中のKWAの定量を行った。
結果と考察
①DMEの調製
昨年度に得られなかった高純度のDMEの精製に取り組んだものの、高純度なDMEを~2 mgしか得ることが出来なかった。
②MPs-EIAの確立
【MEの検出】
mAb 1H1のMPsに対する非特異的吸着を抑制することはできなかった。本現象は、他の抗体(mAb)では認められないため、mAb 1H1の物性に問題解決の糸口があることが予想された。
【KWAの検出】
今年度は、信頼性、正確性及び安定性の評価とサンプル中のKWAの定量を確立したMPs-EIAにより行った。その結果、MPs-EIAを用いたKwaの検量域は2.44-78.1 ng/mLと高感度であった。また、各種確認試験によりMPs-EIAの高い正確性及び信頼性が裏付けられた。併せて、検討した最適条件において分析時間がELISAの1/3以下であることから、従来法にかわる新たな迅速且つ簡便な分析手法として有用であることが示唆された。
③BIを用いた検出法の確立
【MEの検出】
MEを鋳型分子としてオボアルブミンに対してBIを行い、ME-biOVAを調製した。2種類のELISA様試験(アッセイ1, 2)によりMEに対する分子認識能を評価した。その結果、アッセイ2によるME認識能の評価においてのみ、遊離のMEに対して約50%の競合阻害が認められた。この阻害を利用し、アッセイ2の方法でMEの検出系の確立を目指している。
【KWAの検出】
KWAを鋳型分子としてオボアルブミンに対してBIを行い、KWA-biOVAを調製した。上記同様2種類のELISA様試験(アッセイ1, 2)によりKWAに対する分子認識能を評価した。KWAを鋳型分子としてBIを行い、KWAに対する分子認識能を評価した。その結果、OVAを用いたKWA-biOVAでは、KWA-HSAコンジュゲートを固相化したアッセイ1及びアッセイ2の両方で遊離のKWAに対する競合阻害が認められた。KWAの濃度を振って両アッセイを行った結果、KWAの検量域は、アッセイ1では4.69-75.0 µg/mL、アッセイ2では3.91-62.5 µg/mLであることが判明した。更に、確認試験とサンプル中のKWAの定量を行い、本系の高い信頼性を確認した。
昨年度に得られなかった高純度のDMEの精製に取り組んだものの、高純度なDMEを~2 mgしか得ることが出来なかった。
②MPs-EIAの確立
【MEの検出】
mAb 1H1のMPsに対する非特異的吸着を抑制することはできなかった。本現象は、他の抗体(mAb)では認められないため、mAb 1H1の物性に問題解決の糸口があることが予想された。
【KWAの検出】
今年度は、信頼性、正確性及び安定性の評価とサンプル中のKWAの定量を確立したMPs-EIAにより行った。その結果、MPs-EIAを用いたKwaの検量域は2.44-78.1 ng/mLと高感度であった。また、各種確認試験によりMPs-EIAの高い正確性及び信頼性が裏付けられた。併せて、検討した最適条件において分析時間がELISAの1/3以下であることから、従来法にかわる新たな迅速且つ簡便な分析手法として有用であることが示唆された。
③BIを用いた検出法の確立
【MEの検出】
MEを鋳型分子としてオボアルブミンに対してBIを行い、ME-biOVAを調製した。2種類のELISA様試験(アッセイ1, 2)によりMEに対する分子認識能を評価した。その結果、アッセイ2によるME認識能の評価においてのみ、遊離のMEに対して約50%の競合阻害が認められた。この阻害を利用し、アッセイ2の方法でMEの検出系の確立を目指している。
【KWAの検出】
KWAを鋳型分子としてオボアルブミンに対してBIを行い、KWA-biOVAを調製した。上記同様2種類のELISA様試験(アッセイ1, 2)によりKWAに対する分子認識能を評価した。KWAを鋳型分子としてBIを行い、KWAに対する分子認識能を評価した。その結果、OVAを用いたKWA-biOVAでは、KWA-HSAコンジュゲートを固相化したアッセイ1及びアッセイ2の両方で遊離のKWAに対する競合阻害が認められた。KWAの濃度を振って両アッセイを行った結果、KWAの検量域は、アッセイ1では4.69-75.0 µg/mL、アッセイ2では3.91-62.5 µg/mLであることが判明した。更に、確認試験とサンプル中のKWAの定量を行い、本系の高い信頼性を確認した。
結論
現在も市場にはプエラリア・ミリフィカを原材料とした健康食品があふれており、健康被害を少しでも減らすためにはPEsを指標とした安全性の評価が求められる。本研究におけるPEsの迅速な検出法の確立は、原材料のプエラリア・ミリフィカを扱う販売事業主の安全性管理への負担を軽減し、その使用拡大が健康被害の未然防止に繋がる可能性を秘めている。今後は、開発したKWAを指標とした品質評価法の社会への実装を目指す。
公開日・更新日
公開日
2021-10-14
更新日
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