食品用器具・容器包装等の安全性確保に資する研究

文献情報

文献番号
202024025A
報告書区分
総括
研究課題名
食品用器具・容器包装等の安全性確保に資する研究
課題番号
19KA1003
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
六鹿 元雄(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 阿部 裕(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 片岡 洋平(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
15,350,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品用器具・容器包装、おもちゃ及び洗浄剤(以下、「器具・容器包装等」)の安全性は、食品衛生法の規格基準により担保されているが、製品の多様化、新規材質の開発、再生材料の使用、諸外国からの輸入品の増加等により多くの課題が生じている。さらに近年では、食品の安全性に関する関心が高まり、その試験及び分析に求められる信頼性の確保も重要な課題となっている。そこで本研究では、器具・容器包装等の安全性に対する信頼性確保及び向上を目的として、規格試験法の性能に関する研究では、器具・容器包装におけるビスフェノールA溶出試験に係わる改良ビスフェノールA分析法の性能評価、並びに洗浄剤におけるメタノール分析法の性能評価、市販製品に残存する化学物質に関する研究では、合成樹脂製器具・容器包装に含有される非意図的添加物質の探索、食品用器具・容器包装製品に使用される添加剤に対する電子レンジ使用時のマイクロ波の影響、並びに電子レンジ対応PETボトルの安全性に関する検証に関する研究、ポジティブリスト制度施行に伴う分析法の開発では、ヘッドスペースGC/MSによる添加剤等の保持時間、マススペクトル及び定量下限を確認し、これらの定性・定量を行うための情報収集を実施した。
研究方法
規格試験の性能に関する研究では、食品衛生法における試験法について、試験室間共同実験による性能評価を行った。市販製品に残存する化学物質に関する研究では、協力研究者より研究課題を募り、市販製品に残存する化学物質の実態調査及びその分析法等に関する研究を行った。ポジティブリスト制度施行に伴う分析法の開発では、制度の運用に資することを目的としたGC/MSによる網羅的分析のための情報を収集した。
結果と考察
規格試験法の性能に関する研究では、昨年度構築した浸出用液をヘプタンとする溶出試験の改良ビスフェノールA分析法、並びに洗浄剤中のMeOH分析法について、それぞれ24または10試験所が参加する共同実験を実施し、分析結果を国際的なハーモナイズドガイドラインに沿って統計的に解析した。その結果として推定されたRSDRとHorwitz/Thompson式を用いて計算されるPRSDRから算出されるHorRat値を指標として評価した。その結果、いずれの分析法も、Codex委員会が分析法承認のために設定している性能規準の指標値を満たしており、分析法として妥当な水準にあることが確認された。したがって、本分析法は規格の判定を行う分析法として期待できる性能を有すると判断した。市販製品に残存する化学物質に関する研究では、合成樹脂製器具・容器包装に含有される非意図的添加物質の探索として、ポリプロピレン(PP)製品24検体について網羅的分析法を用いて含有される化学物質の把握を行った。その結果、大部分の製品から多様な脂肪族飽和炭化水素や脂肪族アルコールが検出された。その他検出された物質はその半分がポジティブリスト(PL)収載物質であり、滑剤のステアリン酸やオレアミド、界面活性剤のモノパルミチン及びモノステアリン、酸化防止剤のIrgafos 168等が推定または同定された。非PL収載物質については、酸化防止剤や滑剤に由来する非意図的添加物質と推定されたが、検出頻度が低い物質の同定とその由来を特定することはできなかった。さらに、食品用器具・容器包装製品に使用される添加剤に対する電子レンジ使用時のマイクロ波の影響として、PP製品に汎用される酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などの12種類の添加剤そのものへのマイクロ波照射の影響を確認した。また、PP製品および電子レンジ対応PETボトル中に含有される物質の残存量および溶出量の変化についても検証した。その結果、一般的な電子レンジの使用条件でマイクロ波を照射しても、添加剤そのものへの影響、製品中の化合物の残存量および溶出量への影響は確認されなかった。ポジティブリスト制度施行に伴う分析法の開発では、PL制度施行に伴う合成樹脂製品の検査・監視等に資することを目的として、分子量が小さい、揮発性が高いなどの特徴を有する411種類の化学物質を対象として、ヘッドスペース-GC/MSによる分析を試みた。その結果、化学物質のそのうち120種類について保持時間、マススペクトルを取得した。さらに、これらについて定量イオンを選択し、SIMモードにおけるシグナル/ノイズ比からおよその定量下限を算出した。これにより、既報のものとあわせて約350種類についてGC/MS分析における情報を取得した。
結論
以上の研究成果は、我が国の器具・容器包装等に使用される化学物質の安全性確保と食品衛生行政の発展に大きく貢献するものと考える。

公開日・更新日

公開日
2021-10-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-10-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202024025Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
15,350,000円
(2)補助金確定額
15,350,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 10,631,768円
人件費・謝金 2,209,316円
旅費 440円
その他 2,508,476円
間接経費 0円
合計 15,350,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2022-07-01
更新日
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