健康食品による健康被害情報を踏まえた安全性評価系の開発に関する研究

文献情報

文献番号
202024024A
報告書区分
総括
研究課題名
健康食品による健康被害情報を踏まえた安全性評価系の開発に関する研究
課題番号
19KA3002
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 位旨(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 東泉 裕子(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部)
  • 鈴木 一平(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
2,311,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は健康食品による肝臓への影響を有害性情報も含めた情報をもとに細胞実験ならびに動物実験から検証し、健康食品と被害情報の因果関係を科学的に解析し、一連の研究から健康食品による健康被害情報を踏まえた安全性評価系の開発することである。本年度は、①研究計画1年目に選抜された健康食品成分の肝臓毒性および肝臓薬物代謝への影響を科学的に検討すること、②細胞実験が安全性評価系の1つとして利用可能なのか否かを検討することである。
研究方法
潅流法を用いてマウスから肝初代培養細胞を調製し、培養日数による毒性および薬物代謝酵素3A4活性の陽性対照成分への応答性を解析し、本細胞が健康食品成分の肝毒性評価への妥当性を検討した。次に、本細胞を用いて、細胞試験に適応可能な7種類の健康食品成分の肝臓への影響を検討した。
結果と考察
潅流法を用いてマウスから肝初代培養細胞を調製する方法を検討し、一定数の細胞を得られる方法を確立した。次いで、培養日数による毒性および薬物代謝酵素3A4活性の陽性対照成分への応答性を検討した結果、陽性対照成分への応答は採取したマウスの個体により差があり、応答性を示す細胞ではジメチルスルホキシドによる細胞活性の低下(毒性による細胞死)、リファンピシンによる薬物代謝酵素3A4活性の増加が観察された。以上から、マウスによる個体差はあるものの本法により調製した肝臓初代培養細胞を用いることで肝臓毒性および薬物代謝酵素3A4活性への影響を検証することが可能であると考えられた。この細胞を用いて、細胞試験に適応が容易な7種類の健康食品成分の肝臓への影響を検討した結果、肝臓毒性はクマリンでのみ観察され、肝臓薬物代謝酵素3A4はクロロゲン酸およびリナロールにおいて誘導が観察された。
結論
研究1年目の情報調査から選抜された肝臓への影響が予測される健康食品成分の肝臓への影響を細胞試験から検証した。一方、この試験では細胞の応答性に差異があり、十分な再現性が得られていない。これら結果が示すように、古典的な肝臓初代培養細胞を用いた細胞実験から、肝臓への影響を検討することは普遍性を求められる安全性評価には適さないと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2021-10-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202024024Z