動物資源の安定供給に向けた繁殖および品質管理技術の高度化に関する研究

文献情報

文献番号
200811015A
報告書区分
総括
研究課題名
動物資源の安定供給に向けた繁殖および品質管理技術の高度化に関する研究
課題番号
H19-生物資源・指定-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
保富 康宏(独立行政法人医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 寺尾 恵治(独立行政法人医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター )
  • 吉田 高志(独立行政法人医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター )
  • 山海 直(独立行政法人医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター )
  • 松田 潤一郎(独立行政法人医薬基盤研究所 実験動物開発研究室)
  • 鈴木 治(独立行政法人医薬基盤研究所 実験動物開発研究室)
  • 内尾 こずえ(独立行政法人医薬基盤研究所 実験動物開発研究室)
  • 高橋 一朗(独立行政法人医薬基盤研究所 遺伝子資源研究室)
  • 亀岡 洋祐(独立行政法人医薬基盤研究所 遺伝子資源研究室)
  • 長田 直樹(独立行政法人医薬基盤研究所 遺伝子資源研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(生物資源・創薬モデル動物研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
49,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小動物と霊長類の二種類の動物資源の安定的な供給システムを整備する。分担する生物資源グループはいずれも生産・供給の基盤体制を確立しているが、現状で未解決の問題に焦点を絞り、相互連携により下記の個別課題の効率的な達成を目的とした。
研究方法
(1)SRV/D感染調査を行った。(2)新世界ザルを用いた新たな感染モデルの作製を試みた。(3)カニクイザル配偶子の安定的な体外操作技術と胚および配偶子の凍結保存法を検討した。(4)カニクイザルの染色体地図作成および遺伝子マッピングに資するマイクロサテライトマーカー(MSM)の整備を行った。(5)カニクイザルの完全長cDNAライブラリーを作成した。(6)マウスの系統差における黄体化ホルモン受容体(LHR)を解析した。(7)マウス系統差における食餌と生活習慣病因子との関係を検討した。(8)ELてんかんマウスの飼料と繁殖率の関係を検討した。
結果と考察
(1)SRV/D検査の結果、サルの糞尿の接触がない環境で飼育すれば感染はほとんど拡大しないことが明らかとなった。(2)新世界ザルを用いたデング熱及び熱帯熱マラリアにおいて感染モデルが得られた。(3)カニクイザルを用いて卵巣の凍結保存および移植実験を試みたところ、移植した凍結融解卵巣が1年以上にわたり機能していることが確認された。(4)カニクイザルのマイクロサテライトマーカーを確立した。(5)アカゲザルゲノム情報をベースにしたカニクイザルゲノムブラウザを作成した。(6)黄体化ホルモン受容体(LHR)のアミノ酸配列やmRNAの発現量と誘起排卵数と、排卵数との明確な相関は見られなかった。(7)生活習慣病に深く関与するホルモンおよびサイトカインについてマウス系統・雌雄に明らかに差違が認められた。(8)高蛋白飼料群と低蛋白飼料群を比較した結果、低蛋白飼料群で雌雄とも体重の有意な減少が認められ、臓器重量は肝臓などでやや低下傾向を示した。医科学研究における実験動物等の生物資源の必要性は周知である。研究に使用される生物資源は質、供給量ともに非常に重要となる。本研究の充実を図ることが我が国の医科学研究の発展に大きく寄与すると考えられた。
結論
動物個体からその遺伝子にいたる広範囲な研究を行い、安定的な供給および詳細な情報の付加価値が実験動物に付与された。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
-