食品添加物の安全性確保に資する研究

文献情報

文献番号
202024020A
報告書区分
総括
研究課題名
食品添加物の安全性確保に資する研究
課題番号
19KA1001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 恭子(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 久保田 浩樹(国立医薬品食品衛生研究所食品添加物部)
  • 多田 敦子(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 北村 陽二(金沢大学学際科学実験センター トレーサー情報解析分野)
  • 建部 千絵(佐々木 千絵)(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
10,073,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品添加物の安全性確保には、リスク評価及びリスク管理における摂取量推定が欠かせないことから、1)生産量統計調査を基にした食品添加物摂取量の推定に関わる研究、2)香料使用量に関わる調査研究、3)マーケットバスケット(MB)方式による低揮発性香料の摂取量調査を行った。また、香料化合物の品質の確保のために、4)香料化合物規格の国際整合化に関わる調査研究において、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議 (JECFA)規格の見直しを行っている。さらに、食品添加物の規格試験法(食品添加物公定書 一般試験法)の向上のため、5)食品添加物公定書一般試験法の改良に関する調査研究、6)赤外スペクトル(IR)測定法に関する研究並びに7)残留溶媒試験法に関する調査研究を行った。
研究方法
1)指定添加物の1品目毎の摂取量の把握及び一日摂取許容量(ADI)との比較のため、製造・輸入業者を対象に調査を行った。2)国際食品香料工業協会(IOFI)より提供された使用量調査のための香料化合物リスト、天然香料リスト及びRegional Review品目リストの内容について、わが国の規制及びこれまでの使用量調査等の知見に基づき検討を行った。3)低揮発性アルデヒド系香料を対象にQuEChERS法をガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)と組み合わせ、MB試料を分析し、摂取量を求めた。4)JECFA規格に問題があることを踏まえ、これまでJECFA規格の検証を行ってきたが、規格の正当性が確認できずかつ新たなる規格設定ができないものがあった。JECFA規格の検証を終了していない品目について、これまで収集したデータを詳細に検討し、今後の作業方針を立案した。5)ステビオール配糖体規格の定量法について、アイソクラティック条件での液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)と液体クロマトグラフィー紫外吸光光度検出(LC/UV)による分析結果をグラジェント条件での結果と比較した。6)ペースト法、液膜法及び減衰全反射法(ATR法)により、赤外スペクトル測定を行った。7)ヘッドスペース(HS)- GC/MS により、ショ糖脂肪酸エステルの残留溶媒試験法を検討した。
結果と考察
1)今回は初年度の第1次調査で79.6%の回収率を挙げ、前回の初年度の水準(77.0%)を上回った。調査票を見直しが高回答率維持に反映されたと考えられる。2)使用量調査において、我が国の使用量を精度よく、効率的に得るため、香料化合物及び天然香料の使用量の調査方法を検討し、調査票を作成した。3)MB方式により調査した低揮発性アルデヒド系香料のうち、JECFAでADIが設定されている香料についてADIに対する一日摂取量の割合(対ADI比)を求めたところ、最大でも0.63%と十分に低く、現状において、安全性上の特段の問題はないと考えられた。4)これまでの研究によりJECFA規格の検証を終了していない品目について、これまで収集したデータを詳細に検討し、今後の作業方針を立案した。5)本研究のアイソクラティック条件での定量結果を、令和元年度のグラジェント条件での結果と比較した結果、LC/MSの場合は、内標準法で適切な濃度範囲の検量線等を用いることにより同程度の結果が得られたが、LC/UVの場合は、グラジェント条件より定値であった。6)ATR法とペースト法や液膜法のスペクトルは異なることから、品目毎に測定法を定める必要があると考えられた。また、異性体混合物ではいずれの測定法においても異性体含有率によりスペクトルが異なるため、その限度なども規定することが必要であると考えられた。7)HS-GC/MS法による標準添加法では、溶解溶媒として1-メチル-2-ピロリジオンを用いることにより、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びジメチルホルムアミド(DMF)の良好な回収率が得られた。
結論
生産量統計調査を基にした食品添加物摂取量の推定、香料使用量の調査、MB方式による低揮発性香料の摂取量調査により、食品添加物の適正な使用に関わる知見が得られ、これらの結果は食品の安全の確保に資すると考えられる。香料化合物規格については、JECFA規格の検証を終了していない品目について、次年度以降の分析計画を立てることができ、た。食品添加物公定書一般試験法の改良に関する研究では、LC/MSとLC/UVでの精度について確認することにより、LC/MSの課題についての知見が得られた。IR測定法については、確認試験にATR法を取り入れる場合は、同一条件での測定を前提とした標準品との比較を行う必要があると考えられた。残留溶媒試験法に関する研究では、DMSOやDMFのような高沸点の有機化合物の残留溶媒試験として、HS-GC/MS法による標準添加法は有用な方法であることが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2021-11-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2021-11-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202024020Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,073,000円
(2)補助金確定額
10,073,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 6,942,320円
人件費・謝金 106,275円
旅費 0円
その他 3,024,405円
間接経費 0円
合計 10,073,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2022-07-01
更新日
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