多因子疾患モデルマウスの効率的樹立法の開発

文献情報

文献番号
200811005A
報告書区分
総括
研究課題名
多因子疾患モデルマウスの効率的樹立法の開発
課題番号
H19-生物資源・一般-005
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
升井 伸治(国立国際医療センター(研究所) 細胞組織再生医学研究部形質転換ベクター開発研究室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(生物資源・創薬モデル動物研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
8,405,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生活習慣病など多くの疾患は多因子疾患であることが知られるが、そのモデル動物はほとんど整備されていない。現在知られている多因子疾患モデル動物はランダム変異導入と選抜によるもので、表現型は似ているものの、病因が同一でないためにヒトの病態を正確に反映しているとは言い難い。一方で近年、遺伝学的データは膨大に蓄積され、多因子疾患の原因遺伝子群の同定作業は急速に進んでいる。今後は、同定した変異が病因となるかを決定する目的と、ヒト多因子疾患に即したモデルマウスを作成する目的で、多種類の遺伝子を機能阻害(SNPsの大半は機能抑制的と考えられる)して病態解析する必要があるだろう。そこで、本研究では多重ノックダウンシステムを開発し、多因子疾患の再構築システムとして提案する。
研究方法
従来、遺伝子の機能阻害はノックアウト法などにより行われていたが、多種類を扱うには操作が煩雑に過ぎ、現実には多因子疾患を再構築することは不可能であった。本研究ではshRNAによるノックダウン法を用いるが、一般的手法であるゲノム上へのランダム挿入では、位置効果によって発現がばらつき多種類を一定レベルに発現できないこと、多数の遺伝子座で挿入突然変異が起きるため副作用が無視できないことが問題である。そこで、本研究では全組織で均一に発現するROSA26遺伝子座に多種類のshRNA発現ユニットをノックインするシステムの開発を行う。
結果と考察
2種ノックダウンシステムの開発に成功した。テトラサイクリン制御性プロモーターシステムを採用することで、時期特異的に多因子疾患を誘導できるシステムとなっている。現在キメラマウスが誕生しており、ヘテロマウスの作成に進んでいる。3種以上のノックダウンシステムとして、H1プロモーターによるshRNA発現単位を複数連結した。あらゆる研究者が簡便に多数のshRNA発現カセットをROSA26へ導入できるシステム/プロトコールを開発した。特徴として、制限酵素SfiI消化断片が自己接着を起こさず目的の断片と接着できることを利用し、任意の4断片をワンステップで連結できるシステムを取り入れた。他方、発現抑制・過剰型の両方に対応する目的で、新規プロモーターを用いたシステムの開発に成功した。
結論
ROSA26カセットを用いた多重ノックダウンシステムがES細胞では機能することがわかった。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-10-29
更新日
-