新世界ザルを用いたデングウイルス感染・発症動物モデル開発に関する研究

文献情報

文献番号
200811003A
報告書区分
総括
研究課題名
新世界ザルを用いたデングウイルス感染・発症動物モデル開発に関する研究
課題番号
H19-生物資源・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
倉根 一郎(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 高崎 智彦(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 明里 宏文(医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター)
  • 中村 紳一朗(滋賀医科大学 動物生命科学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(生物資源・創薬モデル動物研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
9,643,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
デング熱・デング出血熱は熱帯・亜熱帯において毎年数千万人の患者が発生していると推察されている。ワクチンや抗ウイルス剤開発に必要な感染動物モデルはいまだ開発されていない。この問題を克服する目的で、新世界ザルであるマーモセットを用いて、デングウイルス感染・発症モデルを確立することによりデングウイルスワクチン等の評価システムを構築することを目的とした。

研究方法
マーモセットに対しデング2型ウイルスを接種し、接種後33週目にデングウイルス2型を再接種し、接種前および接種後に血中ウイルス量、ウイルス抗原量および抗体価について検索し、同一ウイルスの再感染に対するウイルス防御能について検索を行った。また、アカテタマリンにデングウイルスを皮下接種しウイルス量を検索した。
結果と考察
マーモセットのデングワクチン評価系として有用性について評価を行った。デングウイルス感染マーモセットに対し同一ウイルスの再感染実験を行った結果、感染が成立せず同一ウイルスの再感染に対しては防御が誘導されることが明らかになった。また、初感染においては白血球減少や肝および腎酵素の上昇などの検査所見が確認されたが再感染ではそれらが確認されなかった。従って、初感染により誘導された中和抗体がデングウイルス感染の防御に有効であることが示された。以上の結果は、デングウイルス感染に対する防御に中和抗体が有効であることを改めて示すものであり、またマーモセットがワクチン評価系としいて有用であることを示すものである。一方、アカテタマリンはコモンマーモセットよりやや弱いもののデングウイルスに感受性を有し、またウイルス接種方法として静脈内接種が有効であることが示された。
結論
コモンマーモセットはデングウイルスに対して非常に感受性が高く、感染後高いレベルのウイルス血症を示す。異なる血清型のデングウイルス再感染においては感染が成立し、初感染に比べた場合に症状の悪化も認められた。同一ウイルスの再感染に対しては完全に防御が成立し、本モデルがワクチン評価系として有用であることが確認された。さらに、マーモセットに近縁のアカテタマリンはデングウイルスに対してコモンマーモセットと比較しやや低レベルながら高い感受性を有していた。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-