文献情報
文献番号
200810001A
報告書区分
総括
研究課題名
新興・再興感染症に対するヒトM細胞標的型粘膜ワクチン開発
課題番号
H20-ワクチン・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
清野 宏(東京大学医科学研究所 感染・免疫部門 炎症免疫学分野)
研究分担者(所属機関)
- 寺尾恵治(医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター)
- 奥野良信(阪大微生物病研究会 観音寺研究所)
- 紅露拓(医薬基盤研究所 基礎的研究部 免疫応答制御プロジェクト)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(次世代ワクチン開発研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
36,578,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
粘膜ワクチンが粘膜感染症の予防ワクチンとして最適であると謳われているが、粘膜ワクチンのヒトでの実用化に向けた基盤技術は未だ確立されておらず、中でも粘膜ワクチンのM細胞への効果的な標的送達システムの技術開発は、粘膜ワクチンの具現化に必要不可欠とされている。我々は、この現状を打破すべく、世界に先駆けてM細胞特異的モノクローナル抗体(NKM 16-2-4)を樹立し、それをデリバリー分子としたM細胞標的型粘膜ワクチンを開発することで、UEA-1をデリバリー分子とした場合よりも効果の優れた粘膜ワクチン開発に最近成功した。本課題はヒトに応用可能なM細胞標的型粘膜ワクチン開発をすすめていくことを目的とする。
研究方法
ヒトに応用可能なM細胞標的型粘膜ワクチン開発するために、東大医科研清野班では霊長類(カニクイザル)のパイエル板およびヒトの扁桃を実験材料とし、カニクイザルとヒトのM細胞に反応性を有するモノクローナル抗体の作製を並列的に進め、特異性を詳細に検討していく。
結果と考察
結果:
(1)霊長類(カニクイザル)のパイエル板およびヒトの扁桃を実験材料とし、カニクイザルとヒトのM細胞に反応性を有するモノクローナル抗体の作製を並列的に進め、5種類のモノクローナル抗体の樹立に成功した。
(2)東大医科研(清野班)で開発された経口ワクチンであるCTB発現米をカニクイザルに投与することでCTBと同程度の免疫原性を示すとともに安全性の高い優れた次世代型経口粘膜ワクチンであることが実証した。
(3)普遍的なB-1, B-2細胞マーカーを確立するため、マウスを用いてB-1およびB-2の前駆細胞の同定を試み、成獣では共通リンパ球前駆細胞とされるLin- IL-7R+細胞が胎児においてもB-1細胞に分化決定していることがわかった。
(4)M細胞標的型粘膜ワクチンの抗原として季節性インフルエンザウイルス抗原を用いる場合には、MDCK細胞及び発育鶏卵を基質としたインフルエンザワクチンのいずれを用いても同等の結果が得られることを実証した。
考察:
本研究を通して、医薬基盤研究所と(財)阪大微生物研究会と連携し、ヒトM細胞標的型粘膜ワクチンの効果を、カニクイザルを用いた霊長類レベルで評価を行うことで、ヒトでの応用実用化を見据えたトランスレーショナルリサーチを実施することが可能であることが示された。
(1)霊長類(カニクイザル)のパイエル板およびヒトの扁桃を実験材料とし、カニクイザルとヒトのM細胞に反応性を有するモノクローナル抗体の作製を並列的に進め、5種類のモノクローナル抗体の樹立に成功した。
(2)東大医科研(清野班)で開発された経口ワクチンであるCTB発現米をカニクイザルに投与することでCTBと同程度の免疫原性を示すとともに安全性の高い優れた次世代型経口粘膜ワクチンであることが実証した。
(3)普遍的なB-1, B-2細胞マーカーを確立するため、マウスを用いてB-1およびB-2の前駆細胞の同定を試み、成獣では共通リンパ球前駆細胞とされるLin- IL-7R+細胞が胎児においてもB-1細胞に分化決定していることがわかった。
(4)M細胞標的型粘膜ワクチンの抗原として季節性インフルエンザウイルス抗原を用いる場合には、MDCK細胞及び発育鶏卵を基質としたインフルエンザワクチンのいずれを用いても同等の結果が得られることを実証した。
考察:
本研究を通して、医薬基盤研究所と(財)阪大微生物研究会と連携し、ヒトM細胞標的型粘膜ワクチンの効果を、カニクイザルを用いた霊長類レベルで評価を行うことで、ヒトでの応用実用化を見据えたトランスレーショナルリサーチを実施することが可能であることが示された。
結論
本計画を推進する4研究者による研究はヒトに応用可能なM細胞標的型粘膜ワクチンの開発と評価に向けて、順調な滑り出しをした。
公開日・更新日
公開日
2011-05-30
更新日
-