文献情報
文献番号
202023015A
報告書区分
総括
研究課題名
機械設備に係るリスクアセスメント支援システムの開発
課題番号
20JA1003
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 剛(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 機械システム安全研究グループ)
研究分担者(所属機関)
- 濱島 京子(独立行政法人 労働安全衛生総合研究所 機械システム安全研究グループ)
- 池田 博康(独立行政法人 労働安全衛生総合研究所 新技術安全研究グループ)
- 梅崎 重夫(独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 安全研究領域)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
9,468,000円
研究者交替、所属機関変更
総括:
所属機関異動
研究分担者 芳司俊郎
長岡技術科学大学(令和2年4月1日~令和3年3月31日)
→ 労働安全衛生総合研究所(令和3年4月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
機械設備の設計開発段階と使用段階におけるリスクアセスメント(以下,RAという。)について、特に中小零細事業所での普及を促すことを目的に、機械安全に関する知識や経験の限られた技術者・設備管理者を支援する際の要点を明確化するとともに、これらを満たす具体的な支援システムの例を開発し、その過程で得られる知見を通じて今後 ICTを活用した様々なRA支援システムが新たに構築される際に共通に参照される“基本要求仕様”を確立する。
研究方法
本研究では,設計開発段階RA支援システムの開発を“項目1”として,また,使用段階RA支援システム2種の開発・検証を各々“項目2”及び“項目3”と設定し検討を進める。令和2年度(初年度)は,項目1では,支援項目と要件の明確化を検討するとともに,国内,欧州,北米で市販・公表されている既存の支援ツールを調査した。また,項目2では,選択式支援システムのための災害シナリオを労働災害データベース等から作成し,項目3では,典型災害事例を応用した支援システムの拡充とICT機器への実装について検討した。
結果と考察
1)項目1では,設計開発段階でのRAの各手順で実行すべき必須事項をISO規格や包括指針等に示される原則に遡って検討し,中でも“危険源の同定”では,実施者が機械の使用中に起こり得る危険源・危険状態・危険事象を適切に発想し認識する必要があり,個人のもつ機械安全に関する知識と経験にその成否が大きく依存することから,支援が最も必要な場面であることを明らかした。
2)また,国内,欧州,北米で市販・公表されている既存のRA支援ツールについて,主に,実装されている機能,内包されている技術資料等の情報,支援対象として想定されている設計者のレベルに着目して実態を調査した。その結果,“文書化”に対しては既に十分な検討がされており,様々な支援機能や工夫が確認できたが,これに対して“危険源の同定”については,対象とする機械で起こり得る危害を設計者が適切に発想できるよう支援する機能を有するものは見当たらなかった。
3)項目2では,支援システムの核となる選択式簡易RA手法を見直し,対象とする機械の災害発生の経緯(災害シナリオ)をイラストで提示するとともに,実際の機械を撮影した画像上で該当する危険区域を指定していく方式とした。さらに,公表されている労働災害データベースから旋盤など5種の機械について災害事例を抽出し,事例から災害シナリオを作成する方法を考案した。
4)項目3では,扱える機械を15種まで拡充した上でタブレット端末に実装し,支援システムを構築した。加えて,現場の写真や動画,作業手順及び機械安全専門家のコメントなどを容易に伝達できる点に着目し,遠隔でRAの妥当性を確認する“遠隔安全診断”を考案し,具体的な支援機能として開発した。
2)また,国内,欧州,北米で市販・公表されている既存のRA支援ツールについて,主に,実装されている機能,内包されている技術資料等の情報,支援対象として想定されている設計者のレベルに着目して実態を調査した。その結果,“文書化”に対しては既に十分な検討がされており,様々な支援機能や工夫が確認できたが,これに対して“危険源の同定”については,対象とする機械で起こり得る危害を設計者が適切に発想できるよう支援する機能を有するものは見当たらなかった。
3)項目2では,支援システムの核となる選択式簡易RA手法を見直し,対象とする機械の災害発生の経緯(災害シナリオ)をイラストで提示するとともに,実際の機械を撮影した画像上で該当する危険区域を指定していく方式とした。さらに,公表されている労働災害データベースから旋盤など5種の機械について災害事例を抽出し,事例から災害シナリオを作成する方法を考案した。
4)項目3では,扱える機械を15種まで拡充した上でタブレット端末に実装し,支援システムを構築した。加えて,現場の写真や動画,作業手順及び機械安全専門家のコメントなどを容易に伝達できる点に着目し,遠隔でRAの妥当性を確認する“遠隔安全診断”を考案し,具体的な支援機能として開発した。
結論
設計開発段階のRA支援システムについては,危険源の同定に焦点を当てて開発を進めていくことを定めた。この方針に従い,要求仕様の策定に向けて支援方法の詳細を検討していく。使用段階のRA支援システムとして,項目2では,考案したシナリオ作成方法により扱える機械の拡充を図るとともに,支援システムのプロトタイプを試作する。また,項目3では,本年度構築したシステムを現場で試験的に運用し,その有効性を評価していく。
公開日・更新日
公開日
2022-05-26
更新日
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