重層的・定量的トキシコモディフィコーム解析を用いた安全性バイオマーカーの探索

文献情報

文献番号
200809011A
報告書区分
総括
研究課題名
重層的・定量的トキシコモディフィコーム解析を用いた安全性バイオマーカーの探索
課題番号
H20-バイオ・若手-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
足立 淳(京都大学 地球環境学堂)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,650,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究ではシステイン酸化・リジンアセチル化・リン酸化解析の3種類の蛋白質翻訳後修飾について、毒性物質の影響を定量する解析システムを構築し、毒性物質や薬剤によって変化する蛋白質の翻訳後修飾を同定し、システイン酸化・リジンアセチル化・リン酸化の3枚の修飾変化マップを重ねた重層翻訳後修飾マップを作成し、安全性バイオマーカーや毒性シグナルネットワークを推定することを研究目的とする。本年度は蛋白質を定量する基盤技術である、安定同位体標識アミノ酸による培養細胞内蛋白質標識法(SILAC法)を用いた蛋白質の定量精度の確認、リン酸化ペプチドの効果的なMS/MS同定、アセチル化リジンプロテオーム解析法の立ち上げを目的とした。
研究方法
SILAC法による細胞内アミノ酸標識&定量精度の確認-等条件下の12Cアミノ酸を用いて培養した「軽い」HepG2細胞と13Cアミノ酸を用いた「重い」HepG2細胞を等量混合し、蛋白質を還元アルキル化、トリプシンで断片化し、断片化された軽い細胞と重い細胞由来のペプチド(質量差6)を比較定量した。
リン酸化ペプチドの同定-酸化チタンビーズと酪酸を用いて、濃縮したリン酸化ペプチドをLC-MS/MSによって同定するために、MS/MSスペクトラ取得に関わる各種パラメーターの調整、打ち込みサンプル量の増大による効果の検証を行った。
アセチル化リジンプロテオーム解析-SILAC細胞から抽出した蛋白質を断片化したペプチドから、抗アセチル化リジン抗体を用いた免疫沈降法によりアセチル化ペプチドを濃縮し、リジンアセチル化ペプチドをLC-MS/MSによって同定する。
結果と考察
蛋白質の定量精度については、1.5倍以上の変動を検出可能であることを確認した。リン酸化ペプチドの同定については、濃縮されたリン酸化ペプチドをイオン化後に電荷当たり質量(m/z)で分離してMS/MS解析する気相分離法を採用することで400個以上の蛋白質のリン酸化を同定可能な分析系を確立した。アセチル化リジンプロテオーム解析については、アセチル化リジン抗体を用いてペプチドの濃縮を行ったが、十分に濃縮されなかったため、他の抗体の使用、免疫沈降のさらなる条件検討が必要である。
結論
本研究の基盤技術となる、SILAC法を用いた精度の良いプロテオーム定量系を構築し、それを用いたリン酸化ペプチドの同定・定量系を構築した。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-10-29
更新日
-