文献情報
文献番号
200809010A
報告書区分
総括
研究課題名
プロテオーム解析による糖尿病性細小血管症の早期診断マーカーの探索
課題番号
H20-バイオ・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
春日 雅人(国立国際医療センター(研究所))
研究分担者(所属機関)
- 野田 光彦(国立国際医療センター戸山病院)
- 鏑木 康志(国立国際医療センター(研究所))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
近年急増している糖尿病の特徴は慢性的な経過で糖尿病性細小血管症を合併することであり、その進行と伴に失明、腎不全、下肢切断等の重篤な合併症を引き起こし、国民健康上大きな問題になっている。本計画では、この糖尿病性細小血管症を早期に診断可能な血清及び尿のバイオマーカー探索を目的とする。
研究方法
血清、尿を試料として下記の3つの計画を行う。
(1)健常者、腎症非合併あるいは合併2型糖尿病患者から尿を収集し、iTRAQや2D-DIGE解析を行い、糖尿病性腎症で有意に変動する蛋白を検索する。探索された腎症マーカー候補蛋白について、単独あるいは複数マーカーの組み合わせで腎症の進行が予測可能かをELISA、多変量解析等を用いて検証する。
(2)健常者、細小血管症非合併あるいは合併2型糖尿病患者から血清蛋白を収集し、iTRAQ及び2D-DIGE解析を行う。有意に変動する細小血管症マーカー候補蛋白についてELISAでの定量解析系等にて検証するのみではなく、複数の細小血管症マーカー候補蛋白の組み合わせの有効性を多変量解析にて検討する。
(3)糖尿病患者での血清及び尿蛋白プロファイルをiTRAQ法にて解析すると共に、年齢、性別、糖尿病性細小血管症や大血管症の進行度等の多様な臨床情報のデータベースを構築し、これらの臨床情報との関連性を検討する。
(1)健常者、腎症非合併あるいは合併2型糖尿病患者から尿を収集し、iTRAQや2D-DIGE解析を行い、糖尿病性腎症で有意に変動する蛋白を検索する。探索された腎症マーカー候補蛋白について、単独あるいは複数マーカーの組み合わせで腎症の進行が予測可能かをELISA、多変量解析等を用いて検証する。
(2)健常者、細小血管症非合併あるいは合併2型糖尿病患者から血清蛋白を収集し、iTRAQ及び2D-DIGE解析を行う。有意に変動する細小血管症マーカー候補蛋白についてELISAでの定量解析系等にて検証するのみではなく、複数の細小血管症マーカー候補蛋白の組み合わせの有効性を多変量解析にて検討する。
(3)糖尿病患者での血清及び尿蛋白プロファイルをiTRAQ法にて解析すると共に、年齢、性別、糖尿病性細小血管症や大血管症の進行度等の多様な臨床情報のデータベースを構築し、これらの臨床情報との関連性を検討する。
結果と考察
予備解析として、雄のみで軽症糖尿病を発症するLEA/Sendaiラット血清にて2D-DIGE解析を行った。糖尿病発症前の8週齢と膵島繊維化が進行した16週齢の比較では、32個のスポットが有意に変動し、非糖尿病ラットとの比較では有意な変動を示した蛋白スポットは16週齢にて138個という結果が得られた。糖尿病性腎症患者由来尿蛋白については、レクチン結合分画も含めて2D-DIGE法での解析を試みた。また、前回の「疾患関連たんぱく質解析研究」の際のcICAT法での糖尿病患者血清解析結果から糖尿病性病性細小血管症の有無を多変量解析にて判定することを試みて、比較的少数の蛋白の組み合わせで合併症を判別することがある程度可能であった。
結論
本研究は初期の糖尿病性細小血管症を簡便に診断可能なバイオマーカー開発を目標としている。診断法が確立されれば糖尿病性合併症治療薬の効果を迅速に判定することが可能となり、その意義は大きい。
公開日・更新日
公開日
2011-05-30
更新日
-