文献情報
文献番号
202023011A
報告書区分
総括
研究課題名
中小企業等における治療と仕事の両立支援の取り組み促進のための研究
課題番号
19JA1004
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
立石 清一郎(産業医科大学 保健センター)
研究分担者(所属機関)
- 森 晃爾(産業医科大学 産業生態科学研究所 産業保健経営学研究室)
- 永田 昌子(産業医科大学 産業医実務研修センター)
- 宮内 文久(愛媛労災病院)
- 白土 博樹(国立大学法人 北海道大学 大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
3,870,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
労災疾病臨床研究ではこれまで数多くの両立支援に関する研究が取り上げられている。企業と医療機関の連携手法や、産業医の標準的考え方に関する検討(立石班H28-30)、医療機関の立場で事業者に適切な就業上の意見を述べる手法(中村班H29-31)、地域連携モデルの構築など様々なツールが提案されてきている。しかしながら、企業側の関心はやや低調の状況が続いている。中小企業のヘルスリテラシーを向上させるためには、中小企業の側からの良好事例を発表しても経営者の理解度や業務内容などからできる企業だけが対応していると思われがちであるため、医療機関を受診した労働者の対応事例を示すことで、些細なことであっても労働者にとって両立支援となっていることを実感できるようなデータを集積・公表することが重要で、中小企業にとって有益であることを示し中小企業のモチベーションを上げていくことが求められている。このような課題を解決するため、コンサルティング部門を創設し広く相談を受けられる体制を構築し、相談事業の展開を行った。
研究方法
産業医科大学内にコンサルティング部門を創設し、相談対応を行うとともに、特に中小企業に必要な企業向けツールの作成を行った。また、中小の医療機関向けの基礎的データとして患者の困りごとの整理を行った。
結果と考察
事業場向けコンサルティングは制度、体制整備に関すること計47件であった。両立支援のガイドラインに倣い、方針、教育、相談窓口、制度・体制整備に分けて分類した。
1 両立支援の方針に関すること
1.1 事業場方針 21件
2 社内教育に関すること
2.1 教育内容 1件
2.2 教育対象者 1件
3 相談窓口に関すること
3.1 担当者 3件
3.2 機能 3件
4 制度・体制整備に関すること
4.1 実施基準 12件
4.2 手順 1件
4.3 運用方法 1件
事例に関するものは職務適正についての相談と主治医とのコミュニケーションに関連するものであった。新型コロナウイルス感染症に関連した相談が2件あった。
医療機関からの制度・体制整備に関連する相談は128件で以下の項目であった。
1 トップの方針表明
1.1 意思決定プロセス
1.2 院内の理解
1.3 医療機関と企業(産業医)の連携
1.4 教育・研修体制
2 両立支援チームの体制
2.1 両立支援チームの体制
3 両立支援チームのビジョン
3.1 両立支援チームのビジョン
4 両立支援チームの運営
4.1 両立支援チームの目標
4.2 両立支援チームの計画
4.3 各種帳票の整理
4.4 勤務情報提供書の授受
4.5 診療報酬の算定のタイミング
4.6 両立支援フローの整備
4.7 外部機関との連携
このことを受けて、中小事業者向けのアクションチェックリストを開発した。入院加療・自宅療養によって休職を要する事例発生時に、職場で両立支援を行うために必要な要素及び行動として、51項目が設定された。場面別には、1)休職に入る時:7項目(すぐに辞職の決断をせず、いったん休職することを勧める等)、2)休職中:4項目(しっかりと休職できるよう、職場の仕事の分担をする等)、3)職場復帰時:14項目(本人に就業に当たって配慮してほしいことの申し出を勧める等)、4)フォローアップ時:4項目(仕事や環境が負担になっていないかの確認等)であった。また、事例発生に備える平時からの取り組みとして、0-1)組織対応として14項目(休業者情報の取り扱いの仕組み構築等)、0-2)事業者の姿勢として8項目(日ごろからの助け合えるチームワーク構築等)が挙げられた。
患者の困りごとは病院間で差異がなく、また、肉体労働者は不安や職場の訂正配置などを困りごととして挙げる傾向があった。
1 両立支援の方針に関すること
1.1 事業場方針 21件
2 社内教育に関すること
2.1 教育内容 1件
2.2 教育対象者 1件
3 相談窓口に関すること
3.1 担当者 3件
3.2 機能 3件
4 制度・体制整備に関すること
4.1 実施基準 12件
4.2 手順 1件
4.3 運用方法 1件
事例に関するものは職務適正についての相談と主治医とのコミュニケーションに関連するものであった。新型コロナウイルス感染症に関連した相談が2件あった。
医療機関からの制度・体制整備に関連する相談は128件で以下の項目であった。
1 トップの方針表明
1.1 意思決定プロセス
1.2 院内の理解
1.3 医療機関と企業(産業医)の連携
1.4 教育・研修体制
2 両立支援チームの体制
2.1 両立支援チームの体制
3 両立支援チームのビジョン
3.1 両立支援チームのビジョン
4 両立支援チームの運営
4.1 両立支援チームの目標
4.2 両立支援チームの計画
4.3 各種帳票の整理
4.4 勤務情報提供書の授受
4.5 診療報酬の算定のタイミング
4.6 両立支援フローの整備
4.7 外部機関との連携
このことを受けて、中小事業者向けのアクションチェックリストを開発した。入院加療・自宅療養によって休職を要する事例発生時に、職場で両立支援を行うために必要な要素及び行動として、51項目が設定された。場面別には、1)休職に入る時:7項目(すぐに辞職の決断をせず、いったん休職することを勧める等)、2)休職中:4項目(しっかりと休職できるよう、職場の仕事の分担をする等)、3)職場復帰時:14項目(本人に就業に当たって配慮してほしいことの申し出を勧める等)、4)フォローアップ時:4項目(仕事や環境が負担になっていないかの確認等)であった。また、事例発生に備える平時からの取り組みとして、0-1)組織対応として14項目(休業者情報の取り扱いの仕組み構築等)、0-2)事業者の姿勢として8項目(日ごろからの助け合えるチームワーク構築等)が挙げられた。
患者の困りごとは病院間で差異がなく、また、肉体労働者は不安や職場の訂正配置などを困りごととして挙げる傾向があった。
結論
中小企業における両立支援を展開するために、医療機関向けのアプローチとして医療機関で実践可能な両立支援モデルを提示すること、事業場向けとして業種ごと事業場規模ごとの対応の優先度を示すことが有用である可能性がある。また、職場復帰が難しい労働者を同定するために、困りごとに着目し介入を行っているが次年度以降に収集されたデータの分析がなされることが期待される。
公開日・更新日
公開日
2022-06-09
更新日
-