文献情報
文献番号
200809009A
報告書区分
総括
研究課題名
難治がんの創薬バイオマーカー探索研究
課題番号
H20-バイオ・一般-012
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
山田 哲司(国立がんセンター研究所 化学療法部)
研究分担者(所属機関)
- 金井 弥栄(国立がんセンター研究所 病理部)
- 中山 敬一(九州大学生体防御医学研究所)
- 近藤 格(国立がんセンター研究所 プロテオームバイオインフォマティクスプロジェクト)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
肝細胞がん、肺がん、胃スキルスがん、膵がんなどの難治がんの外科切除標本を用い、質量分析・蛍光二次元電気泳動・エクソンアレイなどのゲノム・プロテオームの手法で大規模な定量発現解析と機能解析を行い、がん細胞の生存・増殖に必須な膜タンパク質・酵素・シグナル伝達経路などを同定し、これらの分子(分子経路)の機能を阻害する化合物・抗体医薬を開発する。
研究方法
組織検体を液体窒素の存在下で破砕した。RNA抽出にはキアゲン社のRNeasy Plus Mini Kitを用い、濃度測定を行った。RNAの品質測定はアジレント社のバイオアナライザを用いて行った。
タンパク質の抽出には高濃度のウレアを含むタンパク質可溶化液を使って粉末状になった組織検体からタンパク質を抽出した。濃度測定にはブラッドフォード法を用いた。タンパク質サンプルの品質検定にはSDS-PAGE法を用いた。
リン酸化ペプチドの精製の検討にはHeLa細胞抽出物にbovine caseinおよびchick ovalbuminを添加し、トリプシン消化し、脱塩後、IMACによるリン酸化ペプチドの精製を行った。iTRAQ試薬で標識し、QSTAR eliteにて分析した。
タンパク質の抽出には高濃度のウレアを含むタンパク質可溶化液を使って粉末状になった組織検体からタンパク質を抽出した。濃度測定にはブラッドフォード法を用いた。タンパク質サンプルの品質検定にはSDS-PAGE法を用いた。
リン酸化ペプチドの精製の検討にはHeLa細胞抽出物にbovine caseinおよびchick ovalbuminを添加し、トリプシン消化し、脱塩後、IMACによるリン酸化ペプチドの精製を行った。iTRAQ試薬で標識し、QSTAR eliteにて分析した。
結果と考察
濃度測定と品質測定の結果、エクソンアレイを行うのに必要な量と質(RIN値7以上)のRNAが34症例分(腫瘍組織34検体、非腫瘍組織34検体)より回収できていることが確認された。
タンパク質に関しては合計84検体より十分な量を得ることができた。SDS-PAGEで確認できるような著しい血清タンパク質のコンタミはなく、蛍光二次元電気泳動法に適すると考えられた。
混合物に含まれる量比が異なるリン酸化タンパク質においても、消化やIMAC精製、さらにはiTRAQ標識のプロセスを経ても定量的に回収され、その存在比をiTRAQ法にてほぼ正確に定量可能であることが判明した。
液体窒素に凍結されていた肝細胞癌腫瘍組織および背景肝組織より十分な量と質のRNAおよびタンパク質サンプルを得ることができた。また、タンパク質のリン酸化を大規模に多点定量するための方法論の確立ができた。
タンパク質に関しては合計84検体より十分な量を得ることができた。SDS-PAGEで確認できるような著しい血清タンパク質のコンタミはなく、蛍光二次元電気泳動法に適すると考えられた。
混合物に含まれる量比が異なるリン酸化タンパク質においても、消化やIMAC精製、さらにはiTRAQ標識のプロセスを経ても定量的に回収され、その存在比をiTRAQ法にてほぼ正確に定量可能であることが判明した。
液体窒素に凍結されていた肝細胞癌腫瘍組織および背景肝組織より十分な量と質のRNAおよびタンパク質サンプルを得ることができた。また、タンパク質のリン酸化を大規模に多点定量するための方法論の確立ができた。
結論
平成21年度より質量分析・蛍光二次元電気泳動・エクソンアレイなどの手法で肝細胞がんの大規模なプロテオーム・ゲノム解析を開始できる準備が整った。
公開日・更新日
公開日
2011-05-30
更新日
-