大規模生体内分子測定による薬物誘発性肝障害バイオマーカーの探索研究

文献情報

文献番号
200809008A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模生体内分子測定による薬物誘発性肝障害バイオマーカーの探索研究
課題番号
H20-バイオ・一般-011
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
曽我 朋義(慶應義塾大学 環境情報学部 および 先端生命科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 本間 雅(東京大学医学部附属病院薬剤部 )
  • 渡部 浩治(アステラス製薬株式会社 安全性研究所)
  • 奈良岡 準(アステラス製薬株式会社 安全性研究所)
  • 竹内健一郎(アステラス製薬株式会社 安全性研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
一般に薬物誘発性毒性は肝障害として現れる例が多く、東京大学医学部附属病院においても、薬物性肝障害発症患者は年間約100名程度と見積もられている。しかしながら、薬物性肝障害に共通する特徴的な所見は必ずしも無く、現状では確定診断は困難である。また、糖尿病治療薬トログリタゾンのように投与中止後も症状が悪化する例も報告されており、薬物性肝障害の確定診断を可能にする所見の発見は急務である。本研究は、最新のプロテオミクスとメタボロミクスの測定技術を用いて生体内の内因性分子を大規模に測定し、薬物性肝障害の早期かつ正確な診断マーカーの開発を目指すものであり、平成20年度より5年計画で実施する。
研究方法
肝細胞障害型および胆汁うっ滞型の肝障害を誘発するモデル動物をそれぞれ構築するとともに、実臨床で使用される薬物による肝障害を再現する動物モデルの作成を試みる。また、これらの肝障害モデルおよびコントロール動物の肝臓と血清の生体内分子を網羅的に測定し、病理を反映する薬物性肝障害マーカーを探索する。さらに薬物性肝障害およびウイルス性肝炎の患者および健常人の血液を測定し、実臨床において有用な薬物性肝障害マーカーを開発する。
結果と考察
初年度に当たる本年度は申請時の計画に従って、薬物の単回投与によって肝細胞障害型および胆汁うっ滞型の各急性薬物性肝障害モデル動物の作成が可能であることを確認した。また実臨床で用いられる薬物の中で、肝障害の頻度が高いことが報告されている代表的な薬物としてボリコナゾール(VCZ)を選択し、低用量リポポリサッカライドの前感作を行うことで、VCZ投与後に肝細胞障害型の急性肝障害が生じることを明らかとした。また、各種肝障害の患者検体を集積するシステムの構築を行った。
結論
平成20年度には研究遂行に必要な技術的基盤の整備を積極的に推進した。平成21年度・22年度には、肝障害モデル動物を用いたメタボローム解析を進め、バイオマーカー候補となる物質を探索するとともに、その変動メカニズムを分子レベルで解明することを目標として検討を進める。また、薬物性肝障害およびウイルス性肝障害の症例を集積し、平成23年度以降にヒトにおける診断バイオマーカーの確立・検証に向けた準備を進める予定である。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-10-29
更新日
-