トキシコゲノミクス研究の臨床への展開

文献情報

文献番号
200809004A
報告書区分
総括
研究課題名
トキシコゲノミクス研究の臨床への展開
課題番号
H20-バイオ・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
藤村 昭夫(自治医科大学 薬理学講座臨床薬理学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 安藤 仁(自治医科大学 薬理学講座臨床薬理学部門)
  • 牛島健太郎(自治医科大学 薬理学講座臨床薬理学部門)
  • 輿水 崇鏡(自治医科大学 薬理学講座分子薬理学部門)
  • 簑田 清次(自治医科大学 アレルギー膠原病学)
  • 鈴木 光明(自治医科大学 産科婦人科学)
  • 森田 辰男(自治医科大学 泌尿器科学)
  • 草間 幹夫(自治医科大学 歯科口腔外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
50,364,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
薬物療法の安全性バイオマーカーを見出すこと、さらに、薬物の安全性を従来の毒性試験よりも正確かつ詳細に予測するシステムを開発することを目的として、これまでに得られたトキシコゲノミクス研究の成果を利用して臨床研究を開始した。
研究方法
重篤な有害反応をきたすことが知られている9 種類の薬物(メトトレキサート、ブシラミン、エタネルセプト、レフルノミド、リトドリン、リュープロレリン、フルタミド、ビカルタミド、イトラコナゾール)を選択し、倫理面に十分配慮した上で、いずれかの薬物を使用する患者よりその使用前後で末梢血を採取した。また、実際に有害反応をきたした患者からも末梢血をサンプリングした。採取した血液細胞よりRNAを抽出し、GeneChipを用いて網羅的遺伝子発現解析を行った。さらに、臨床検体における遺伝子発現情報を適切に解析するため、培養細胞および動物の遺伝子発現におよぼすそれらの薬物の影響を調べた。
結果と考察
本年度は150以上の臨床検体をサンプリングした。また、9種類の中から、フルタミド、ブシラミン、リトドリンの影響を動物および培養細胞で調べた。フルタミドの遺伝子発現に対する影響は、興味深いことに培養肝細胞、ラット肝臓、ラット血液細胞でそれぞれ異なっていた。培養細胞においてブシラミンにより発現が上昇した遺伝子には、Fas 、HSP90AB1 などアポトーシスやストレス応答に関連する遺伝子群が含まれていた。リトドリンは、ラット肝臓のlcn2、Mt2、AVPR1a 等のmRNA 発現量を有意に変動させることが明らかになった。今後は患者検体から得られたデータと比較し、これらの同定した遺伝子群が臨床における安全性マーカーとなるか否かを明らかにしていく。
結論
患者の末梢血を用いて、重篤な有害反応をきたすことが知られている薬物の影響を解析するトキシコゲノミクス研究を開始した。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
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