製造業における高年齢労働者の労働災害予防に関する研究

文献情報

文献番号
202023003A
報告書区分
総括
研究課題名
製造業における高年齢労働者の労働災害予防に関する研究
課題番号
H30-労働-一般-004
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
佐伯 覚(産業医科大学 医学部 リハビリテーション医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 松嶋 康之(産業医科大学 医学部 リハビリテーション医学)
  • 越智 光宏(産業医科大学医学部リハビリテーション医学講座)
  • 加藤 徳明(産業医科大学リハビリテーション医学講座)
  • 伊藤 英明(産業医科大学 医学部 リハビリテーション医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
2,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、製造業における高年齢労働者の身体的特有の労災のリスク要因を同定し、労災防止対策を作成することを目的に、1.文献調査(平成30~令和元年度)、2.労災防止対策立案(平成30~令和元年度)、3.外部評価(令和元年度~2年度)にて対策案の実行性と適用を検討し、4.対策の最終決定(令和2年度)、5.情報公開(令和2年度)を行う。
研究方法
本年度については、上記3、4及び5を実施した。
結果と考察
「製造業における高年齢労働者の労働災害予防対策指針」に対する外部評価は、質は若干低いものの推奨は極めて高く、現場の産業医や産業保健職などの経験から照らしても産業現場で受け入れやすいとの評価であった。 
本外部評価結果をもとに、文言の修正を含めたブラッシュアップを経て本指針の完成版ならびに労災予防対策案を公表した:転倒災害のハイリスク集団である高年齢製造業従事者(55歳以上)に対して、転倒に関するリスク要因である内的要因(身体機能や体力などの個人要員)や外的要因(環境要因)に着目し、労働者各人についてリスク要因の評価や体力測定などを行うこと、それらを踏まえて運動指導を含む措置を講ずること。
結論
本対策案を高年齢労働者の労災防止マニュアルやガイドラインに盛り込むことにより、有効で実行性の高い対策を講じることが可能となると考えられる。ホームページや冊子体等を通じて広報を行うことで、高年齢労働者の転倒予防等の労災事故防止に注目が集まり、その指針や対策案の実行につながることを期待している。

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-01-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202023003B
報告書区分
総合
研究課題名
製造業における高年齢労働者の労働災害予防に関する研究
課題番号
H30-労働-一般-004
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
佐伯 覚(産業医科大学 医学部 リハビリテーション医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 松嶋 康之(産業医科大学 医学部 リハビリテーション医学)
  • 越智 光宏(産業医科大学医学部リハビリテーション医学講座)
  • 加藤 徳明(産業医科大学リハビリテーション医学講座)
  • 伊藤 英明(産業医科大学 医学部 リハビリテーション医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、製造業における高年齢労働者の身体的特有の労災のリスク要因を同定し、労災防止対策を作成することを目的に、1.文献調査(平成30~令和元年度)、2.労災防止対策立案(平成30~令和元年度)、3.外部評価(令和元年度~2年度)にて対策案の実行性と適用を検討し、4.対策の最終決定(令和2年度)、5.情報公開(令和2年度)を行った。
本研究の特色・独創性については、文献調査~対策立案までのプロセスをGRADEシステムによるガイドライン作成手順に準拠して作業を進める。すなわち、労災防止対策案作成グループとシステマティックレビューチームに研究班を組織することで、作成プロセスの普遍化・透明化を図っている。また、労災防止対策案の適用と実行可能性について外部評価を得て作成することにより、実行性と妥当性を高めることにある。
研究方法
3年間の研究として、以下の研究を行った。
1.製造業における高年齢労働者の労働災害予防に関する文献調査
2.製造業における高年齢労働者の労働災害予防対策立案
3.製造業における高年齢労働者の労働災害予防対策指針に対する外部評価
4.製造業における高年齢労働者の労働災害予防対策立案(最終案)
5.製造業における高年齢労働者の労働災害予防に関する情報公開
結果と考察
文献調査では、キークエスチョン(KQ)4項目について、重要課題の確認、エビデンス評価、益と害のバランス評価、労働者の価値観・希望、コスト評価、職場での適応性、総合評価としてまとめた。本レビューより得られたエビデンスの評価・統合結果に基づき、労災防止対策立案の過程で最終的な推奨レベルを決定した。各KQにおいて、エビデンスの高い無作為化試験がほとんどなく、コホート研究などの観察研究にとどまることが多く、概してエビデンスレベルは弱いものであった。しかし、益と害のバランス、労働者の価値観・希望、コスト評価、職場での適応性などの点では極めて有用であり、総合評価では、いずれも強い推奨となった。
本推奨結果に関して、外部評価として現場の産業医・産業保健スタッフにwebアンケートを実施した。新型コロナ感染症流行の影響を少なからず受け、回答率は10%を割り込む低いレベルにとどまった。本指針の推奨レベルは概ね90%前後と高い結果であり、産業医や産業保健職などの経験から照らしても産業現場で受け入れやすいとの評価であった。 
本外部評価結果をもとに本指針の完成版ならびに労災予防対策案を公表した:「製造業における高年齢労働者の労働災害予防対策指針」、「高年齢製造業従事者の転倒災害の予防対策(案)」。これらの指針や対策案には、転倒災害のハイリスク集団である高年齢製造業従事者(55歳以上)に対して、転倒に関するリスク要因である内的要因(身体機能や体力などの個人要員)や外的要因(環境要因)に着目し、労働者各人についてリスク要因の評価や体力測定などを行うこと、それらを踏まえて運動指導を含む措置を講ずることを述べている。
結論
本対策案を高年齢労働者の労災防止マニュアルやガイドラインに盛り込むことにより、有効で実行性の高い対策を講じることが可能となると考えられる。ホームページや冊子体等を通じて広報を行うことで、高年齢労働者の転倒予防等の労災事故防止に注目が集まり、その指針や対策案の実行につながることを期待している。

公開日・更新日

公開日
2022-03-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2022-01-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202023003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
「製造業における高年齢労働者の労働災害予防対策指針」、「高年齢製造業従事者の転倒災害の予防対策(案)」を作成した。
臨床的観点からの成果
転倒災害のハイリスク集団である高年齢製造業従事者(55歳以上)に対して、転倒に関するリスク要因である内的要因(身体機能や体力などの個人要員)や外的要因(環境要因)に着目し、労働者各人についてリスク要因の評価や体力測定などを行うこと、それらを踏まえて運動指導を含む措置を講ずる必要があることを明確にした。
ガイドライン等の開発
「製造業における高年齢労働者の労働災害予防対策指針」、「高年齢製造業従事者の転倒災害の予防対策(案)」。
その他行政的観点からの成果
本対策案を高年齢労働者の労災防止マニュアルやガイドラインに盛り込むことにより、有効で実行性の高い対策を講じることが可能となると考えられる。
その他のインパクト
企業の産業医・産業保健職より本指針に対する問い合わせを頂くなど、関心が集まっている。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
9件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
松垣竜太郎、松田晋也、佐伯覚
製造業における高年齢労働者の転倒災害予防に関する指針の作成
労働安全衛生研究 , 14 (1) , 51-57  (2021)
https://doi.org/10.2486/josh.JOSH-2020-0018-KE

公開日・更新日

公開日
2021-09-06
更新日
2023-05-25

収支報告書

文献番号
202023003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,912,000円
(2)補助金確定額
2,032,000円
差引額 [(1)-(2)]
880,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 356,796円
人件費・謝金 537,246円
旅費 0円
その他 466,679円
間接経費 672,000円
合計 2,032,721円

備考

備考
物品費支出が増え支出合計が721円オーバーしたため、超過分は自己資金支払いとしています。

公開日・更新日

公開日
2022-03-14
更新日
-