トキシコゲノミクスデータベースを活用した毒性メカニズムに基づく医薬品安全性評価に関する研究

文献情報

文献番号
200809001A
報告書区分
総括
研究課題名
トキシコゲノミクスデータベースを活用した毒性メカニズムに基づく医薬品安全性評価に関する研究
課題番号
H19-トキシコ・指定-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
漆谷 徹郎(独立行政法人医薬基盤研究所 基盤研究部 トキシコゲノミクス・インフォマティクスプロジェクト)
研究分担者(所属機関)
  • 大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所 毒性部)
  • 水川 裕美子(同志社女子大学薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(創薬バイオマーカー探索研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
400,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、トキシコゲノミクスプロジェクトによって構築された毒性学的統合データベース・解析システムであるTG-GATEsを活用し、(1)毒性試験に有用な安全性バイオマーカーの開発(2)安全性研究における種差の克服(3)トキシコゲノミクス手法のレギュラトリーサイエンスへの応用、の3点を達成することによって、創薬の加速化を図ることを目的とする官学民共同プロジェクトである。

研究方法
安全性バイオマーカーを、まずプロジェクト内データの範囲において合理性が立証されたもの(グレード4)、施設が異なっても再現性を示すもの(グレード3)、および、臨床での利用可能性が示唆されるもの(グレード2)、臨床で有用なマーカー(グレード1)と分類し、プロジェクトが終了するまでに、グレード3を30種以上、グレード2を1つ以上獲得することを目標に立てた。今年度は、グレード4を約20種開発することを目標とした。これを達成するため、参加製薬企業13社、医薬基盤研究所および国立医薬品食品衛生研究所の代表研究者がバイオマーカーワーキンググループを組織し、チームを組んで年間40以上のテーマを分担した。また、種差の克服の手段のひとつとして、臨床サンプルに応用可能な末梢血における遺伝子発現解析からラットの肝毒性が診断・予測可能かという検討をおこなった。また分担研究者により、ヒト化薬物代謝酵素をノックインしたマウスモデルが作成され、別方面からの種差克服の可能性を探った。レギュラトリーサイエンスへの適用の基盤整備のため、施設間バリデーション試験を継続した。さらに今年度から、公募研究との連携を行うための準備に入り、研究発表会を開催した。
結果と考察
平成20年度はグレード4の安全性バイオマーカーを19種開発し、本年度の目標はクリアーした。ラットに対して4種の薬物の暴露実験を行い、末梢血において薬物特有の遺伝子発現変化を検出することができた。現在この変化を肝・腎の毒性と関連付ける戦略を検討中である。施設間バリデーションの結果、少なくともプロジェクト内企業間では、薬物による相対的変化の再現性が得られ、トキシコゲノミクス手法の汎用性を支持するものであった。
結論
バイオマーカー探索は現在まで予定通り進行している。以後、バイオマーカー候補のグレードアップと、末梢血トランスクリプトームによる予測に道をつけたい。

公開日・更新日

公開日
2011-05-27
更新日
-