横断的課題に広く対応し医療ICT基盤上で活用される診療ガイドラインの作成・編集・導入を推進するための研究

文献情報

文献番号
202022051A
報告書区分
総括
研究課題名
横断的課題に広く対応し医療ICT基盤上で活用される診療ガイドラインの作成・編集・導入を推進するための研究
課題番号
20IA1012
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
福岡 敏雄(公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院 総合診療科)
研究分担者(所属機関)
  • 澤 智博(帝京大学 医療情報システム研究センター)
  • 隈丸 加奈子(順天堂大学 医学部 放射線診断学講座)
  • 奥村 晃子(公益財団法人 日本医療機能評価機構 EBM医療情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
8,600,000円
研究者交替、所属機関変更
分担研究者の隈丸加奈子は、同じ所属(順天堂大学 医学部 放射線診断学講座)の富澤信夫に分担研究者を交代した。これは隈丸の厚生労働省への出向のためである。同じ所属であり専門も同じであり、研究の計画・実施に問題ないように十分な引き継ぎを行った。

研究報告書(概要版)

研究目的
横断的課題に対応する診療ガイドライン(CPG)の作成を推進するために(1)日本および諸外国のCPG作成動向と課題抽出(2)疾患横断領域におけるCPG作成方法および作成体制の課題解決策の提案(3)ICTを活用したCPGの導入・適用に関する国内外の最新動向調査と課題抽出(4)ICTを活用したCPGの導入・適用に関する課題解決と体制整備の提案、の4つを目的として研究を進めた。
研究方法
海外調査を計画していたが、海外渡航が困難になったため、WEBを活用し定期的に代表者と分担研究者とそれぞれの専門性や背景を活かして調査を進めた。次年度に計画していたICTを活用したCPGの導入・適用を目指す体制整備の検討については、計画を前倒しし試行の準備を進めた。
結果と考察
現場に広く導入・適用が想定されるCPGの推奨として、診断、治療、副作用予防というテーマを設定し、以下の3つを挙げた。1)頭部外傷患者に対するCT撮像、2)消化管出血に対する予防的抗菌薬投与、3)免疫抑制剤等使用時のHBV検査 これらについて、現場での適用状況やCPG上の課題について洗い出し、電子カルテとの連携を想定し診断をテーマとしたアドオンを開発し試行の準備を進めた。また、リアルワールドデータを用いたデータべー調査の計画を進めた。WEB調査については以下に分担研究者ごとにまとめる。分担研究1では1)国内外のCPGに関する調査、2)CDS実装の視点でのFHIRに関する調査、3)データ連携に必要な通信形式・Application Program Interface(API)に関する調査、4)医療情報システムとの連携に関する調査を実施し、CPGライブラリの仕組みついて検索・索引等のCPGへのアクセスの効率化や的確な内容・分量のコンテンツ提供ができる仕組みついて参考にすべき知見が得られた。Clinical Decision Support(CDS)実装に際して、1990年代の技術を基盤とする国内の医療情報システムの存在は課題が多く、modern IT技術とのギャップを補完する仕組みが必要であると考えられる。分担研究2では、横断的課題である画像診断領域に着目し、本邦における体制整備に向けた課題解決策を提案するために、諸外国の画像診断領域のCPG作成・評価およびその普及の動向調査と課題抽出を行った。米国、英国、カナダ、韓国のCPG調査からCPGに掲載する項目の選定過程、医療費に与える影響の評価方法、CPG普及のためのICT活用方法、ガイドライン遵守に関する評価方法などに関して、本法にも取り入れることができる手法が見られた。分担研究3として、横断的課題に対応するCPGの作成を推進するために、日本および諸外国のCPG作成動向を調査し、課題を明らかにするとともに、疾患横断領域におけるCPG作成方法および作成体制の整備に向けた課題を明らかにすることを進めた。英国NICEにおける医療情報の提供方法(CPGとCPG以外の関連情報、特定の疾患領域と疾患横断領域、疾患以外の予防・健康管理等)を一つのモデルにし、日本のCPGを中心とした医療情報提供の現況を比較検証することができた。次年度は、引き続き国内外の調査を進め横断的課題に対応するCPG作成上の課題解決に向けた対応策を検討・提案するとともに、CPG適用のためのICT活用の実地調査を行う予定である。
結論
海外渡航が困難になり、予定を大きく変更せざるを得なかったが、CPGに関するICT活用法の試行を前倒しし、海外調査もWEB調査に切り替えて柔軟に実施し多角的に取り組むことで、一定の成果は得られた。特にWEB調査からは国内で活用できると思われる多くの知見を得た。
次年度は、CPGの導入・適用におけるICT活用の可能性と、WEB調査結果を踏まえて更なる調査と国内の状況との比較、さらにCPG以外の情報やCPGの対象となりにくいが必要な情報の策定・編集・提供はどうあるべきか、医療情報マッピング方法の提案なども視野に検討を進める予定である

公開日・更新日

公開日
2022-06-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202022051Z