医療機関における医療安全および業務効率化に資する医薬品・医療機器のトレーサビリティ確立に向けた研究

文献情報

文献番号
202022049A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関における医療安全および業務効率化に資する医薬品・医療機器のトレーサビリティ確立に向けた研究
課題番号
20IA2010
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
美代 賢吾(国立研究開発法人国立国際医療研究センター 医療情報基盤センター)
研究分担者(所属機関)
  • 大原 信(筑波大学  医学医療系 臨床医学域 医療情報マネジメント学)
  • 折井 孝男(NTT東日本関東病院 薬剤部 )
  • 笠松 眞吾(福井大学 医学部附属病院)
  • 近藤 克幸(秋田大学)
  • 武田 理宏(大阪大学医学部附属病院 医療情報部)
  • 高橋 弘充(東京医科歯科大学医学部附属病院 薬剤部)
  • 植村 康一(一般財団法人流通システム開発センター ソリューション第1部)
  • 藤田 英雄(自治医科大学 附属さいたま医療センター)
  • 前川 ふみ(一般財団法人流通システム開発センター コード管理部)
  • 髙本 真弥(国立研究開発法人国立国際医療研究センター 医療安全管理室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
9,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

概要版(繰越課題)
1.病院内におけるUDI活用のユースケースの検討
・福井大学の笠松氏を中心に手術部門の材料管理についてディスカッションをおこなった。手術部門におけるGS1バーコードの活用は、効率化と質の向上に非常に有用であることが示唆されたが、課題として、手術機材に対するバーコードの刻印があげられた。
・東京医科歯科大学の高橋氏を中心に、医薬品および薬剤部におけるバーコード活用についてディスカッションをおこなった。薬剤部門の中でのバーコード活用は進んでおり、今後電子カルテ内病棟でバーコード活用が進むことが期待された。
・特定機能病院以外のユースケースとして、宮城県立こども病院の渡辺氏を中心にディスカッションをおこなった。導入の壁として、パッケージ版の電子カルテの機能がユーザーフレンドリーでないこと、病院全体の運用を変えることやマスタの整備に対する負荷があげられた。現場としては、医事請求だけでなく治療実施の記録という観点から、全ての製品の個装にGS1が表示される必要があり、バーコードの表示にあたっては現場で混乱を招くことなく利用できるような表示方法が徹底されるべきとの指摘があった。
2. 検討したユースケースにおける電子カルテ、部門システムの機能の現状の把握
・主任・分担研究者の医療機関を中心に、電子カルテ、医事会計、手術、処置、処方、注射、輸血、物流を中心に現在のところ、76のユースケースが集まった。次年度これを拡充するとともに、内容の分析を行う。
3. 検討したユースケースにおけるあるべき機能の検討
・2.で集まったユースケースを中心に、標準バーコードを使うべきユースケース、RF-IDに適したユースケース、病院のローカルバーコードでの運用が適したユースケースに分類をおこなった。受診票や患者リストバンドなどのバーコードは、病院ローカルに、医薬品・一般消耗材料の院内流通、物品準備、使用登録には標準バーコードを、貸出品・預託品など高価なものについては、RF-IDの活用が有用なことが示唆された。次年度はこれらに基づき、電子カルテの詳細な機能を検討していく。
4. 院外物流と院内物流の連携の検討
・AMDDの河合氏を中心に、整形外科の医療材料管理についてディスカッションをおこなった。すでにメーカー側で、S-GTIN等を活用した管理が行われており、これを用いて、院内の医療材料管理を行う可能性について示唆された。
・日本SPD協議会の菊地氏を中心に、病院の中の物流におけるバーコード活用について、ディスカッションをおこなった。同じ商品を、メーカー、卸業者、病院、それぞれで別々のコードで管理しており、SPD業者が自らのコード(呼称は事業者により様々)を利用して両者を通訳する役割を担っているとの説明があった。電子カルテとの連携時には、カルテベンダー側の標準機能では読めないケースがあること、カルテベンダー毎に連携情報の項目や連携形式が異なるため独自の仕組みが必要となるとの指摘があった。また、マスタメンテナンスが煩雑であり、標準化、共有化されたプラットフォームがあれば精度的にも経済的にも有効とのディスカッションがあった。
5. 国際的状況の調査
・GS1ヘルスケアジャパンの植村氏を中心にディスカッションを行った。海外と日本の状況について、以下の示唆を得た。医薬品のバーコード表示は各国で進められているが、多くの国では偽造品混入防止、リコールの迅速化の目的で、箱単位への表示にとどまっている。これに対し日本は、患者安全を目的とし調剤包装への表示まで行っており、この点先進的であると言える。医療機関での活用については、医薬品、医療機器ともに各国でも日本と同様に課題を抱えているが、中には先進的な取り組みをみせる国、医療機関もある。GS1標準のRF-ID導入に関して、医療業界としての取り組みが行われるのは日本が初めてである。
・海外状況の調査の一環として、台湾の状況について、オンラインでディスカッションを行った。(台湾側参加者Kingsley Huang、Wendy Lee、Mimi Yeh(Triple A Med-Tech)、蔡碧雀(台北慈濟醫院)、James Perng、NicolasLiou(GS1台湾))。一部の病院では、院内でのGS1バーコードの活用が積極的に行われており、その動きが広がっている状況であった。
6.成果発表
・医療情報学連合大会(浜松)において、シンポジウムを開催するとともに、バーコード、RF-IDの国際機関であるGS1 HealthcareのWebinarにおいて、研究成果の一部を発表した。

公開日・更新日

公開日
2022-06-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202022049Z