医師の適切な確保のための研究

文献情報

文献番号
202022039A
報告書区分
総括
研究課題名
医師の適切な確保のための研究
課題番号
20IA2005
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
今村 聡(公益社団法人 日本医師会)
研究分担者(所属機関)
  • 道永 麻里(公益社団法人日本医師会 前常任理事)
  • 平川 俊夫(公益社団法人日本医師会 前常任理事)
  • 橋本 省(日本医師会)
  • 神村 裕子(日本医師会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者交代 小玉弘之(令和2年4月6日~令和2年7月31日) 道永麻里(令和2年4月6日~令和2年7月31日) 平川俊夫(令和2年4月6日~令和2年7月31日) ⇨ 橋本省(令和2年8月1日~) 神村裕子(令和2年8月1日~)

研究報告書(概要版)

研究目的
厚生労働省から委託事業として運営している「女性医師バンク」を活用し、以下の研究を行い、厚生労働省との連携による復職支援事業を通じての医師確保策を検討し提示する。
1.求職中の女性医師を始め今後定年退職を迎える医師等に多様な働き方を紹介し、医師不足地域や医療機関等の医療現場への復帰の更なる促進策を検討する。
2.求人施設、求職者、医学生等に対しアンケート調査を実施してニーズを把握し、各々のニーズへの対応策を検討する。
3.日本医師会女性医師バンクと都道府県医師会の連携による地域のニーズに対応した医師確保策を検討する。
研究方法
1.ドクターバンクを設置していない医師会、ドクターバンクを設置していない医師会を選定しモデル事業を実施。日本医師会女性医師バンクに求職登録している求職者につき、モデル事業実施の県内への就業希望者の情報を共有し、連携して地域の実情に対応した就業斡旋を実施。
2.日本医師会女性医師バンクに登録のある医療機関に対しWEBによるアンケート調査を実施、医療機関のニーズ調査を行った。
3.日本医師会女性医師バンクに登録のある求職者に対しWEBによるアンケート調査を実施し、求職者のニーズ調査を行った。
4.医学生のワークライフバランス、職業意識に関するアンケート調査を外部に依頼して実施した。
結果と考察
結果
1.日本医師会女性医師バンクと都道府県医師会との連携によるモデル事業による就業斡旋は千葉県医師会19件、静岡県医師会1件、兵庫県医師会4件、岡山県医師会0件であった。就業成立には至らなかった。
2.求人施設へのアンケート調査については登録のある医療機関4,600施設に対しWEBによるアンケート調査を実施し、829件の回答を得た。その結果、女性医師に限定しているため紹介件数が少ない。今後は男性医師の紹介にも取り組んで欲しいなど、事業の拡充を望む声が多く寄せられた。また、日本医師会女性医師バンクが十分に周知されていない懸念もあるので更なる周知活動が必要ではないかとの意見を頂いた。それを受けて、広報用動画を作成した。
3.求職者へのアンケート調査については登録のある求職者2,569人に対しWEBによるアンケート調査を実施し、829人から回答を得た。その結果、産業医を希望する求職者の増加ならびにコロナ禍により就業日数の減少や解雇に関する不安が増加していた。それを受けて産業医の就業斡旋体制を強化すれば、就業先の紹介が可能となり、女性医師の活躍の場の拡大につながるため、産業医の求人登録増加策を検討することとした。
4.医学生へのアンケート調査については医学生のワークライフバランス、職業意識に関するアンケート調査を外部に依頼して実施し、383人からの回答を得た。その結果を受け、医師として働き始めるにあたり社会人としての基礎知識や出産育児等に関する支援制度などをまとめた医師の多様な働き方を支えるハンドブックを作成した。また、アンケート結果を日本医師会の広報誌「ドクタラーゼNo.36」に掲載した。
考察
女性医師バンクの名称のでは男性医師の登録は極めて少ない。男性医師の求職登録を促すため男性医師も利用可能である旨の広報が必要であり、モデル事業での広報を行うとともに、リスティング広告のキーワード等の効率的な運用を図る。アンケート調査の結果を受けて作成した広報用動画、医師の多様な働き方を支えるハンドブックを活用した広報活動を2年目の研究事業として実施する。
結論
求人施設からの要望である男性医師の求職登録の獲得について2年目のモデル事業の中で試行する。広報活動の強化については「広報用動画」を医師会、学会等の各種講習会等で上映し、「医師の多様な働き方を支えるハンドブック」を医師会、大学医学部、学会等関係団体を通じて配布して女性医師バンクの周知活動を展開する。女性医師に限定した事業展開では求職登録者数の増加も限定的であり医師不足地域等の実情に対応した就業斡旋、医師確保には限界があり男性医師の求職登録の増加が必要である。厚生労働省からの委託事業である「日本医師会女性医師バンク」の名称を例えば「日本医師会ドクターバンク・女性医師バンク」等への変更などを検討する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2021-11-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-11-08
更新日
2023-07-26

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202022039Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,000,000円
(2)補助金確定額
5,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 532,290円
人件費・謝金 4,307,614円
旅費 168,336円
その他 0円
間接経費 0円
合計 5,008,240円

備考

備考
研究遂行していくうえで都道府県医師会との連携によるモデル事業において、都道府県医師会担当者の人件費の他、女性医師バンクに担当の派遣社員を置いたことによる。当該人件費を負担するため他の費用を減額した。しかしながらトータルで8,240円の超過となった。

公開日・更新日

公開日
2021-11-08
更新日
-