新たな看護職員の働き方等に対応した看護職員需給推計への影響要因とエビデンスの検証についての研究

文献情報

文献番号
202022038A
報告書区分
総括
研究課題名
新たな看護職員の働き方等に対応した看護職員需給推計への影響要因とエビデンスの検証についての研究
課題番号
20IA1005
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
小林 美亜(静岡大学 創造科学技術大学院)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 俊也(国際医療福祉大学 医学部 公衆衛生学)
  • 五十嵐 中(東京大学大学院薬学系研究科医薬政策学)
  • 臼井 美帆子(東京有明医療大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
2,760,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
  本研究では、①看護職員の潜在数を推計すること、②離職および潜在の要因を把握すること、③平成30年(2018年)時点における看護職員需要推計の妥当性を検証すること、④令和7年(2025年)の看護職員の需要に対応するために求められる離職率の低減レベルや再就業者の増加数に関して検討することを目的とした。
研究方法
 潜在看護職員数は、現時点の免許許保持者数から看護職員就業者数を減ずることにより推計を行った。平成24年(2012年)末時点における潜在看護職員数の推計方法とは異なり、推計対象に65歳以上を含め、准看護師推計の精緻化を図り、准看護師免許のみの保有者を准看護師、准看護師と看護師の双方の免許保有者を看護師として推計を行った。なお、65歳以上の免許保有者数は、データが存在し、推計可能な70歳までとした。
 潜在化要因については、コーホート(世代)効果と年齢効果に分解し、看護職員の潜在率への影響を検討した。
 看護職員需要推計の妥当性の検証においては、実際の看護職員就業者数(看護師・准看護師の就業者数:1,683,023人(厚生労働省看護課調べ)と「医療従事者の需給に関する検討会看護職員需給分科会中間とりまとめ(令和元年11月)」から推計した都道府県報告値、シナリオ①、シナリオ②、シナリオ③の供給数と比較し、検討を行った。
 令和7年(2025年)の需要に対応するための供給数のシミュレーションにおいては、離職率や再就業者数の割合を変化させた感度分析を行った。
結果と考察
 看護職員の潜在数は、平成24年末の推計とは異なり、平成30年末の推計は、推計対象者に65歳以上を含め、准看護師から看護師の資格を取得した者は看護師に含め、看護師と准看護師それぞれについて精緻に推計を行った。その推計結果は、平成30年末の看護職員全体の潜在数(潜在率)が793,885人(32.98%)、65歳未満の潜在看護職員数は695,461人(31.11%)であった。平成24年末と比較し、潜在数はあまり変化しておらず、悪化は認められなかったことから、「看護師等の人材確保の促進に関する法律」に基づいて各都道府県に設置されたナースセンターによる取り組みが、潜在率を上昇させないための一つの防波堤となっているのでないかと推察された。
 看護職員が潜在化する要因としては、文献レビューにより、「結婚」、「妊娠・出産」、「育児」というライフイベントや職場内の人間関係による離職が明らかとなった。このため、ライフイベントがあっても就業を継続できる環境整備や円滑な人間関係を保つことのできる職場環境の工夫が必要であることが考えられた。また、世代構成やライフサイクルが反映される年齢構成による潜在化への影響を分析したところ、看護職員全体、看護師(女性)においては、結婚・出産・子育てといったライフイベントが潜在化を引き起こし、ライフイベントが一段落すると復職する傾向にあることが示唆された。また、世代による価値観も、潜在化に関連していることが推察された。准看護師では、看護師免許を取得するための進学が潜在化につながっていることが示唆された。
 看護需給のシミュレーションの妥当性を検討したところ、平成30 年(2018 年)の供給数の試算値は1,601,140 人であり、平成30 年(2018 年)末の就業看護職員数の1,683,023 人との乖離は+81,883 人となり、予測された就業者数より8 万人以上、多くなっていた。しかし、「中間とりまとめ」から推計した同年の需要数を満たす就業者数にはとどいておらず、都道府県報告値では8,507人、シナリオ①では26,072人、シナリオ②では29,824人、シナリオ③では56,982人の不足となった。
 2025年に見込まれている看護職員の需要に対応するために、離職率や再就業者数を変化させた場合、供給数がどのように変動するかシミュレーションを行ったところ、新規就業者数、再就業者数を一定とした場合、全国の離職率を10%未満に低減させる必要のあることが示された。また、労働条件を改善するシナリオにおいては、潜在看護職員数を793,885人(2018年末時点)と想定した場合、離職率を10%未満に低減することに加え、潜在看護職員のうち約2~17%が復職しなければ、需要を満たせない結果となった。新規就業者数、離職率を一定とした場合には、各年において167,383人以上の再就業者数を確保しなければ、2025年の都道府県報告値の需要に対応できないことが示された。

結論
 以上の結果から、令和7年(2025年)の需要充足に向けて、離職率の低減、潜在看護職員の復職支援を推進していくことが急務である。

公開日・更新日

公開日
2022-02-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-02-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202022038C

収支報告書

文献番号
202022038Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,588,000円
(2)補助金確定額
3,588,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 656,667円
人件費・謝金 0円
旅費 209,706円
その他 1,895,537円
間接経費 828,000円
合計 3,589,910円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2022-01-17
更新日
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