HIV吸着・膜融合過程を標的とする多剤耐性克服型HIV化学療法剤の開発

文献情報

文献番号
200808016A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV吸着・膜融合過程を標的とする多剤耐性克服型HIV化学療法剤の開発
課題番号
H19-政策創薬・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 雅雄(京都大学 ウイルス研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 藤井 信孝(京都大学 薬学研究科)
  • 児玉 栄一(京都大学 ウイルス研究所)
  • 大石 真也(京都大学 薬学研究科)
  • 村上 努(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
  • 谷口雅彦(富士フイルム株式会社R&D統括本部有機合成化学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
耐性HIVの出現は治療上大きな脅威であり、その克服には新たな標的に対する抗HIV剤の開発が必要である。本研究では、HIV吸着・膜融合過程を標的とした強力かつ安全な新規抗HIV剤を開発することを目的とする。
研究方法
抗HIV-1活性はMAGI法, p24量測定で解析した。gp41由来ペプチドの結晶化後にX線構造解析を行った。
結果と考察
S138変異の意義とT20-S138Aの効果:T-20に対する耐性変異S138Aをペプチドに組み込みT20-S138Aを創出した。T20-S138Aの抗ウイルス活性の増強、耐性ウイルスへの有効性を明らかにした。
C34耐性変異による抗HIV活性の上昇:我々が以前に同定したC34に対する耐性変異をペプチドに組み込み抗ウイルス活性の増強を確認した。
ペプチド性膜融合阻害剤の構造最適化研究:C-領域部分ペプチドの138位に対する構造最適化研究を行い、Alaに置換したペプチドが最も有効であることを明らかにした。その機序を解明するためにX線構造解析および自由エネルギー計算を行い、138位のSerからAlaへの置換はC-領域部分ペプチドの脱溶媒和エネルギーを増大させ、6-helix bundle構造形成に有利に働くことが示唆された。
KRH-3955の抗HIV-1 活性:KRH-3955は、X4, R5X4 HIV-1の 活性化PBMCにおける複製を強力に(EC50:1-4 nM)抑制した。一方、R5 HIV-1に対しては抗ウイルス活性を示さなかった。またKRH-3955は薬剤耐性ウイルスに対しても優れた抑制活性を示した。KRH-3955とCXCR4との結合に重要なアミノ酸を同定した。
融合阻害小分子化合物の探索: 30000種類以上の化合物を検討し、抗HIV活性を有する化合物を同定した。
結論
今年度の研究では耐性変異を利用し強力な抗HIV-1剤を開発することに成功し、さらにその機序を明らかにした。CXCR4阻害剤として強力な抗HIV-1活性を有するKRH-3955を同定し、その機序を解析した。融合阻害活性を有する小分子化合物を同定しており、今後開発を進めて行く。

公開日・更新日

公開日
2011-11-04
更新日
-