医療安全に専門性を有する医師人材養成および医療機関のリスク量測定に関する研究

文献情報

文献番号
202022031A
報告書区分
総括
研究課題名
医療安全に専門性を有する医師人材養成および医療機関のリスク量測定に関する研究
課題番号
20IA2001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
長尾 能雅(名古屋大学医学部附属病院 患者安全推進部)
研究分担者(所属機関)
  • 大川 淳(国立大学法人東京医科歯科大学 整形外科学)
  • 遠山 信幸(自治医科大学 医学部)
  • 南須原 康行(北海道大学医学部・歯学部附属病院医療安全管理部)
  • 兼児 敏浩(三重大学 医学部附属病院)
  • 浦松 雅史(東京医科大学 医療の質・安全管理学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
8,430,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
筆者らは、平成27・28年度の厚生労働科学研究「医療安全管理部門への医師の関与と医療安全体制向上に関する研究」において、医療機関に求められる平時・有事を含めた医療安全業務の全体像をシェーマに表すとともに(図 2)、全国7582病院を対象に、業務の達成状況などについてアンケート調査を行った。その結果、医療安全推進に、特に専従・専任医師の配置が大きく貢献する可能性があること、医師安全管理者の教育プログラムの整備を行い、適切な人材養成を図るとともに、多くの医療機関で、医師が中~長期的に医療安全活動に関与し続けられるような支援体制を導入することが望ましいことを提言した。
また、平成26年~30年、文部科学省課題解決型人材養成補助金事業「明日の医療の質向上をリードする医師養成プログラム(ASUISHI)」(140時間)を実施、トヨタ自動車、中部品質管理協会とタイアップして、医療安全・感染対策・質管理に専門性を有する医師を養成、4年間で全国に89名の修了生を輩出した。
さらに平成30・31年度の厚生労働科学研究「医療安全管理体制の可視化と人材育成のための研究」において、同プログラムを改訂した「最高質安全責任者(CQSO)養成プログラム」(150時間)を実施、また、機械学習技術を用いてインシデント情報を分析することにより、医療組織が抱えるリスクを数値化し、定量的に評価する方法を開発した。この組み合わせにより、医療機関ごとのリスクや、経年変化、教育プログラムの効果などを数値評価し、優れた安全管理者に特有の要素の分析・特定を行った。
本研究では、これらの知見をさらに発展させ、①CQSO養成プログラムの改定と研修の実施・中長期的支援、②医療機関のリスク低減への効果測定、③成果を出した医師のコンピテンシーおよび有用であった教育コンテンツの特定、を進める。並行して、④リスク評価技術のさらなる精度向上(計算式の多様化、データ収集、リスク原因の特定)に取り組む。なお、リスク評価は、各医療機関に蓄積されたインシデントレポートを測定対象とするため、計算式やデータが更新されても、最新の方法を用いて再評価することが可能である。
また、令和2年度から本格化したCOVID-19感染症拡大の影響下において、医療安全管理体制の早急な整備が求められており、COVID-19下におけるインシデントやリスクを分析することで、⑤COVID-19感染症の影響下においても効果的な医療安全管理体制像について明らかにする。
2年間の研究期間において、①を二回行い、②、③を適宜行う。④については期間中継続して実施する。⑤については1年目の研究期間に行う。
研究方法
本研究では、これらをさらに発展させ、(1)CQSO養成プログラムの改定と研修の実施・修了生の中長期的支援、(2)医療機関のリスク低減への効果測定、(3)成果を出した医師のコンピテンシーおよび有用であった教育コンテンツの特定、(4)リスク評価技術のさらなる精度向上(計算式の多様化、データ収集、リスク原因の特定)に取り組むこととした。また、全国の医療機関に緊急のアンケート調査を行い、COVID-19感染症拡大の影響下におけるインシデントやリスクを分析し、(5)COVID-19感染症影響下における効果的な医療安全管理体制について検討することとした。本報告書は、2ヶ年の研究計画のうち、1年終了時における中間報告を取りまとめたものである。
結果と考察
1年終了時点の成果は以下となる。
・CQSO養成プログラムを改定し、第2期CQSO養成プログラムを完了した。
・修了生で構成されるハブセンター事業を開催し、中長期的な支援を開始した。
・リスク量測定の精度を向上させ、新たに「警鐘(センチネル)スコア」を作成した。
・専従・専任医師の配置が各医療機関における患者安全活動の成果向上に寄与すること、特に大規模施設においては、専従医師の配置が有用であることが、より明確に示された。
・医療安全責任者や専従・専任医師が成果を出すには、「積極性」が重要であることが示され、それらを考慮した養成プログラムの必要性が示唆された。
・Covid-19下においては、患者安全と感染制御の分立、分業、連携の重要性が示唆された。
結論
 これらの結果を踏まえ、2年目には、以下の項目に取り組む。
・CQSO養成プログラムの改定と第3期研修の実施・中長期的支援
・医療機関のリスク低減への効果測定、およびCOVID-19影響下のリスク低減の効果測定
・成果を出した医師のコンピテンシーおよび有用であった教育コンテンツの特定
・リスク量測定の精度向上(計算式の多様化、データ収集)

公開日・更新日

公開日
2021-10-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202022031Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,700,000円
(2)補助金確定額
9,700,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,357,298円
人件費・謝金 942,370円
旅費 15,360円
その他 6,114,972円
間接経費 1,270,000円
合計 9,700,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2021-11-02
更新日
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