医師確保計画を踏まえた効果的な医師偏在対策の推進についての政策研究

文献情報

文献番号
202022030A
報告書区分
総括
研究課題名
医師確保計画を踏まえた効果的な医師偏在対策の推進についての政策研究
課題番号
20IA1001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
小池 創一(自治医科大学 地域医療学センター地域医療政策部門)
研究分担者(所属機関)
  • 小谷 和彦(自治医科大学 地域医療学センター)
  • 松本 正俊(広島大学大学院 医系科学研究科)
  • 岡崎 研太郎(名古屋大学大学院 医学系研究科)
  • 片岡 仁美(臼井 仁美)(岡山大学病院 ダイバーシティー推進センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
6,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、医師確保計画の進捗のモニタリング・評価を行うための戦略・指標をとりまとめるとともに、都道府県の医師確保策について情報収集を行い、効果が期待される施策を分析することにある。3年計画の1年目となる令和2年度は、(1)医師確保計画の記載内容に関する研究、(2)医師確保計画における医師少数スポットに関する研究、(3)地域枠医師キャリア形成プログラムの都道府県別比較、(4)地域医療に従事する女性医師の確保をめぐる諸課題についての検討、(5)都道府県別医師数の推計方法に関する検討を行い、医師確保計画をめぐる諸課題について実態を明らかにすることを目的とした。
研究方法
(1)医師確保計画の記載内容に関する研究
各都道府県が策定した医師確保計画を収集し、「医師確保計画策定ガイドライン及び外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドラインについて」中に記載を求められている各項目について、記載の有無をデータベース化・分析を行うとともに、特徴的な医師確保施策を抽出・分析した。
(2)医師確保計画における医師少数スポットに関する研究;無医地区との関係
医師確保計画内の医師少数スポットに関する記載をもとに医師少数スポットに関する情報を、無医地区等調査の結果をもとに無医地区に関する情報を収集した上で、医師少数スポットと無医地区の比較を行い、その関係を明らかにした。
(3)地域枠医師キャリア形成プログラムの都道府県別比較
各都道府県が策定したキャリア形成プログラムを収集し、専門医取得の可否、種類、最短取得可能年数、サブスペシャリティ専門医取得について取得の可否、種類、最短取得可能年数等、医療資源の乏しい地域での勤務について、その勤務開始年次と期間等を把握、考察を加えた。
(4)地域医療に従事する女性医師の確保をめぐる諸課題についての検討
地域枠卒業生の義務履行状況とライフイベントに関する調査の計画を行うとともに、地域枠卒業生の義務履行状況とライフイベントの関係について既存の資料を基に分析した。
(5)都道府県別医師数の推計方法に関する検討
厚生労働省に2014、2016、2018年医師届出票情報の提供の申出を行い、許可を得て分析を行った。都道府県間の流出入、無届割合が平成2016~2018年間も2014~2016年と同じ割合で推移するとの仮定を置き、2016年の届出医師数と2017~2018年の臨床研修採用実績を用いて都道府県別の2018年の医師数を推計した。
結果と考察
(1)医師確保計画の記載内容に関する研究
 各都道府県は、医師確保計画策定ガイドラインに沿って記載が求められている事項については記載があるものの、確保が必要な医師数の記載について記載があっても、施策ごとの積み上げの数字になっている都道府県は必ずしも多くはない状況にあることを明らかにした。
(2)医師確保計画における医師少数スポットに関する研究
 47都道府県中26都道府県(55.3%)が医師少数スポットを設定、医師少数スポットの総数は313地域であり、医師少数スポットは、市町村全域で設定されている場合が最も多いといった実態を明らかにした。また、両者の重なりをもとに分類したところ、両者の重複が見られない型が最多で、次にほぼ重なって無医地区を包含する型が多いことを明らかにした。
(3)地域枠医師キャリア形成プログラムの都道府県別比較
 キャリア形成プログラムは、都道府県ごとに多様であったが、ある程度の類型化をすることが可能であることを示した。専門医取得は基本19領域で可能とする都道府県が多かったが、サブスペシャリティ専門医取得の可否については、ほとんどの都道府県で記載されていなかった。
(4)地域医療に従事する女性医師の確保をめぐる諸課題についての検討
 医師確保計画と女性医師に関しては、専門研修に取り組む地域枠のうち離脱者割合や、結婚による配偶者への他県同伴の実態を既存資料の分析から明らかにした。
(5)都道府県別医師数の推計方法に関する検討
 都道府県間の流出入、無届割合が過去と同じ割合で推移するとの仮定を置き、2016年の届出医師数とその後の臨床研修採用実績を用いて都道府県別の2018年の医師数を推計したところ、実際の届出医師数との一致率は-2%~+3%の範囲となっていた。
結論
本研究を通じて、医師確保計画の記載内容、医師確保計画における医師少数スポットと無医地区との関係、地域枠医師のキャリア形成プログラムの特徴、地域医療に従事する女性医師の確保をめぐる諸課題、医師歯科医師薬剤師統計の非実施年における都道府県別医師数の推計方法に関する検討を行い、その実態を明らかにするとともに、今後の課題について整理することができたものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2023-11-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-11-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202022030Z