国土強靭化計画をふまえ、地域の実情に応じた災害医療提供体制に関する研究

文献情報

文献番号
202022022A
報告書区分
総括
研究課題名
国土強靭化計画をふまえ、地域の実情に応じた災害医療提供体制に関する研究
課題番号
19IA2014
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
小井土 雄一(独立行政法人国立病院機構本部 DMAT事務局)
研究分担者(所属機関)
  • 本間 正人(鳥取大学医学部器官制御外科学)
  • 森野 一真(山形県立中央病院救命救急センター)
  • 中山 伸一(兵庫県災害医療センター)
  • 近藤 久禎(独立行政法人国立病院機構本部)
  • 阿南 英明(藤沢市民病院)
  • 小早川 義貴(独立行政法人国立病院機構本部)
  • 海野 信也(北里大学医学部産科学)
  • 久保 達彦(広島大学大学院医学研究科公衆衛生学)
  • 西 大輔(東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野)
  • 森村 尚登(東京大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
7,870,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
【研究目的】本研究の目的は、国土強靭化基本計画の変更を踏まえ、地域の実情に応じた災害医療体制を提供するために、災害医療全体の改善を図ることである。
研究方法
下記参照
結果と考察
【方法・結果・考察】
令和2年度大規模地震時医療活動訓練が、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震を想定し、図上訓練を実施した。被災都道府県は北海道とし、被災地域外SCUを設置する都道府県を青森県とした。主な成果としては、調整本部と活動拠点本部、SCUとの連携、陸路・海路・空路によるDMAT投入フロー、道内3カ所のSCUを活用した患者搬出フローの検証ができた。
災害医療コーディネートに関しては、新型コロナウイルスパンデミックにおける災害医療コーディネーターの役割を検討した。現行の三層保健医療コーディネート体制は感染症パンデミックにおいても活用可能であり、都道府県庁や保健所において、災害医療コーディネーターの活用と受け入れについて検討すべきと考えられた。
EMISに関する研究では、前年度本分担研究の提言から実現したEMIS機能拡張の実装状況の確認と残る課題の洗い出しを行うとともに、令和2年7月豪雨災害ならびに2021年福島県沖地震におけるEMIS緊急時入力の発信率(入力率)の分析を行った。実災害におけるEMISの緊急時入力率と入力者の分析では、被災地域における入力率は一見良くなってきているように見えるが、医療機関自身によるEMISの緊急時入力率は極めて低く(20%以下)であり、その低迷を代行入力で補っていることが判った。その課題解決には、EMISの学習機能のさらなる充実と浸透が不可欠であると考えられた。
ロジスティックに関しては、DMATの指揮系統、地域における運用について問題点を整理し、DMATの自己完結性を補完するロジスティックの課題を検討した。新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年度大規模地震時医療活動訓練は関係機関がほぼ参加しない図上訓練となり、DMATブロック訓練もすべて中止となったため、図上での検証に留まった。一方で、図上訓練ではあったが、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震を想定した初の実施であり、フェリーやレンタカー等の民間事業者とも連携し、被災地外からの海路も利用してのDMAT動員について一定の方法論が確立できた。
DMATの効果的な運用に関しては、病院行動評価群Ver2を地震だけでなく様々な災害種別に対応する汎用性と、より簡便性を高めた内容へ改変した。成果として「病院行動評価群Ver3」と「被災地域の病院行動評価Ver3 STEP運用マニュアル」を策定した。
医療搬送に関する研究では、全国に配備されている53機のドクターヘリの大規模災害時の具体的運用に関する課題と解決案について検討した。ブロック内やブロック間の計画策定は未着手が多く今後の課題であることが明確となった。
一般病院等へのBCP策定に関する研究においては、本年の研究として一般病院のBCP整備状況の現状の把握を行った。現行の制度化では災害拠点病院以外の医療施設のBCP整備の枠組みが明確でなく、BCP整備の根拠の提示とともに一般病院が整備すべきBCPの内容に関する指針や標準的なBCPのひな形の提示が求められる。
災害時における地域包括BCPに関する研究においては、本年度は、12月に発生した福島市でのコロナ陽性患者の多数発生対応経験をもとに地域での業務継続計画(地域BCP)のあり方について検討した。地域では保健、福祉の機能も見据えながら、医療機関の機能最大化だけではなく、地域全体で住民の健康維持機能が最大化するようBCPを整理するべきであると考えられた。
周産期・小児医療提供体制に関する研究においては、2020 年度は COVID-19 という想定外の災害に遭遇し、小児周産期リエゾンもこれまでとは大きく異なる活動が必要になったが、COVID-19 への対応においても災害時小児周産期リエゾンが有効に機能していることが確認された。
IoT、AIを活用する災害医療に関する研究においては、関係計画・施策・技術調査と社会実装課題調査を実施した。災害医療関係システムの整備状況と課題をCSCA-TTTの枠組みで整理した災害医療ICTマップを作成した。社会実装に向けた構造的な課題として、民間や行政等が個別に蓄積するビックデータの全国レベルでの公共利用体制の確立、平時も発生するシステム維持コスト、システムを操作する教育普及体制が主要課題として指摘された。
DMAT/DPAT先遣隊隊員のメンタルヘルスの状態を平時からチェックするシステムの構築すること等を当研究分担班の目的としているが、新型コロナウイルスに関連した活動に従事したDMAT/DPAT隊員が相当数いたことから、新型コロナウイルスに関連したストレスに焦点を絞った調査も新たに実施した。救援活動中においてもセルフケアのための十分な時間を確保できること等が重要であること等を示唆した。
結論
上記参照

公開日・更新日

公開日
2022-04-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202022022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,000,000円
(2)補助金確定額
3,895,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,105,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,165,945円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 489,265円
間接経費 1,240,000円
合計 3,895,210円

備考

備考
自己資金210円

公開日・更新日

公開日
2022-04-26
更新日
-