文献情報
文献番号
200808006A
報告書区分
総括
研究課題名
治療薬としてのヒトモノクローン抗体製剤化に関する研究
課題番号
H18-創薬・一般-024
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
黒澤 良和(藤田保健衛生大学 総合医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
- 奥野 良信(阪大微生物病研究会)
- 白木 公康(富山大学 医学部)
- 浅野 喜造(藤田保健衛生大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本プロジェクトは、「感染症を中心とする各種疾患に役立つヒトモノクローン抗体開発」を目的として実施されている。具体的にはインフルエンザウイルス、VZV、サイトメガロウイルスを対象として、治療薬としてヒトモノクローン抗体製剤化を目指した。細胞融合を用いてモノクローン抗体を作製する技術が開発されて以降、マウス/ヒトキメラ抗体作製技術、ヒト化抗体作製技術、ヒト抗体産生トランスジェニックマウス作製、ファージ抗体ライブラリー作製と様々な技術開発が進んだが、成功例は予想外に少ない。本プロジェクトはそのような情況を打破して、成功例を作り出そうという試みである。
研究方法
本研究プロジェクトでは、(1)ヒトからBリンパ細胞を採取し、抗体ライブラリーを作製する。(2)標的分子を抗原にして抗体ライブラリーをスクリーニングして多数のモノクローン抗体を単離する。(3)それぞれの抗体クローンについて中和活性を測定する。(4)以上の結果に基づき、もっとも治療薬にふさわしいヒトモノクローン抗体を選んで臨床試験を実施する。
結果と考察
VZVウイルスを感染させ2時間以内に中和抗体を投与し細胞培養を継続すると、ウイルス感染後起こる細胞の形態変化がやがて正常な形態へ戻ることが示された。サイトメガロウイルスに対する中和抗体は、中和活性には補体の共存が必要であったが、抗体を治療薬として使うとすれば、このこと自体に問題はない。インフルエンザ中和抗体について得られた観察をまとめれば、ウイルス感染により、ウイルスに結合する抗体が新しく出現するが、中和活性を示す抗体の多くは、記憶細胞として存在した抗体産生細胞により作られる抗体と判断された。H3N2型ウイルス全てを中和できるヒトモノクローン抗体の単離成功を含めて、今後我々の研究の正しさを説得力ある形で発表する。
結論
我々は様々な病原性ウイルスまたは病原菌が産生する毒素に対して、それらを中和するヒトモノクローン抗体をいかにして単離調製するかという学問的かつ技術的課題については、ほぼ完璧に解決する方法を確立した。VZV, サイトメガロウイルス、インフルエンザウイルスを対象として治療抗体薬候補単離に成功し、今後、臨床試験を開始する必要がある。まずは医師主導で臨床研究を行うべく、そのためにも最低必要なGMPレベルでの抗体調製それを用いた前臨床試験としての大型動物を用いた安全性試験を実施する。
公開日・更新日
公開日
2011-05-27
更新日
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