障害者等への歯科保健医療サービスの提供状況の把握及びその提供体制構築のための調査研究

文献情報

文献番号
202022020A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者等への歯科保健医療サービスの提供状況の把握及びその提供体制構築のための調査研究
課題番号
19IA1011
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
弘中 祥司(昭和大学 歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔衛生学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 石崎 晶子(昭和大学歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔衛生学部門)
  • 野本 たかと(日本大学 松戸歯学部)
  • 猪狩 和子(東北大学大学院歯学研究科口腔システム補綴学分野)
  • 柿木 保明(公立大学法人九州歯科大学 歯学部・老年障害者歯科学講座)
  • 小松 知子(神奈川歯科大学 歯学部)
  • 楠本 康香(東京医科歯科大学大学)
  • 船津 敬弘(昭和大学歯学部小児成育歯科学講座)
  • 内海 明美(昭和大学 歯学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
1,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では過去の厚労科研での調査項目を踏襲しつつ、2012年から2019年までのこの7年間の推移を踏まえた障害児・者入所施設での定期的な歯科健診等の歯科保健医療サービスの提供状況についてアンケート調査を行うと共に地域口腔保健センターならびに自治体を主体とした、口腔保健支援センターの障害者施策等について全国的な調査を行い報告する。また、(一社)日本障害者歯科学会の協力のもと、得られた調査結果について、9つの地域関連団体(地方会)での地域特性を詳細に分析し報告する。施設入居者をはじめとする障害者等の歯科保健医療サービスの提供状況の効果的な把握方法、地域に特徴のある課題の抽出は独創的な点であり、課題解決のために必要となる取組についても得られた結果から検討することで、障害者等に対する、切れ目のない歯科保健医療サービスの供給体制の構築に資することを目的とする。
研究方法
(1)独全国2917か所の障害児・者入所施設を無作為に抽出し、自記式質問紙調査を行なった。(分担研究報告1)全国2917か所の障害児・者入所施設を対象に、郵便留め置き法にて自記式質問紙調査を行なった。
(2)全国約129か所の地域口腔保健センターに郵便留め置き法にて自記式質問紙調査を行なった。(分担研究報告2)調査項目については、口腔保健センターにおける業務内容や、歯科保健管理および歯科医療の状況、口腔機能向上に関する取組状況等についてアンケートを行った。
(3)自治体宛のアンケート調査に関しては154自治体(47県、84保健所設置市、23特別区)にアンケートをメールにて送付した。(分担研究報告3)また自治体宛のアンケート調査には、啓発事業の内容等についてもアンケートを行った。
結果と考察
 障害者入所施設へのアンケート送付件数は2917件で、返信総数は1289件であった(回収率44.2%)。また、口腔保健センターへのアンケート送付総数は129件、うち回収数91件(回収率:70.5%)であった。154自治体(47県、84市、23特別区)にも同様にアンケートを送付し、121自治体(43県、61市、17特別区)より回答を得た。回答収率は78.5%であった。障害者入所施設での定期的な歯科検診(健診)の実施率は77.9%であり、2018年9月に厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会で取りまとめられた中間評価報告での62.9%より増加していた。口腔保健センターで障害(児)者入所福祉施設から委託されて定期的な歯科検診(健診)を実施していると回答したのは、27施設(29.7%)あり、自治体が行う障害(児)者に対する定期的な歯科検診(健診)の実施体制の整備に係る事業では、(質問4-1で)「障害(児)者に関する歯科保健施策の推進に取り組んでいると回答した自治体のうち」普及啓発事業、地域歯科診療所や高次歯科医療機関との連携事業が40.7%、口腔保健センターとの連携事業が24.1%であった。口腔保健センターや自治体に歯科医師等の設置のない地域もあり、障害(児)者入所福祉施設と地域歯科医師会を通じた緊密な連携強化が、今後の歯科検診(健診)実施率の増加に繋がることが考えられた。
結論
 アンケートの結果から、施設入居者をはじめとする障害者等の歯科保健医療サービスの提供状況の効果的な把握方法には、地域の歯科医師会・歯科衛生士会と障害者施設・行政との緊密な連携が、重要であることがわかった。また今回、地域に特徴のある課題の抽出が浮き彫りとなった。行政地域が狭ければ、小回りの効く地域障害者へのサービスが可能となるが、この点でも地域の歯科医師会・歯科衛生士会と障害者施設・行政との緊密な連携が、重要であることがわかった。障害者の口腔保健の増進に重要であることが示唆された。課題解決のために必要となる取組として、地域歯科医師会・歯科衛生士会との緊密な連携が必要であることはもちろんであるが、その動きを自治体へ情報提供するための歯科職の配置を義務化・都道府県における歯科専門職の複数配置(歯科保健業務専任)の義務化・障がい者歯科診療所(口腔保健センター等)に対する財政的支援等が喫緊の課題であることが挙げられた。歯・口腔の健康状態や歯科保健医療サービスの提供状況の効果的な把握方法については、特殊性もあり、また地域格差もある。そのため地域をまとめる専門職の配置が解決に導くと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2021-10-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-10-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202022020B
報告書区分
総合
研究課題名
障害者等への歯科保健医療サービスの提供状況の把握及びその提供体制構築のための調査研究
課題番号
19IA1011
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
弘中 祥司(昭和大学 歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔衛生学部門)
研究分担者(所属機関)
  • 石崎 晶子(昭和大学 歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔衛生学部門)
  • 野本 たかと(日本大学 松戸歯学部)
  • 猪狩 和子(東北大学大学院歯学研究科口腔システム補綴学分野)
  • 柿木 保明(公立大学法人九州歯科大学 歯学部・老年障害者歯科学講座)
  • 小松 知子(神奈川歯科大学 歯学部)
  • 楠本 康香(東京医科歯科大学大学)
  • 船津 敬弘(昭和大学 歯学部小児成育歯科学講座)
  • 内海 明美(昭和大学 歯学部スペシャルニーズ口腔医学講座口腔衛生学部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では過去の厚労科研での調査項目を踏襲しつつ、2012年から7年間の推移を踏まえた障害児・者入所施設での定期的な歯科健診等の歯科保健医療サービスの提供状況についてアンケート調査を行うと共に地域口腔保健センターならびに自治体を主体とした、口腔保健支援センターの障害者施策等について全国的な調査を行い報告する。障害者等に対する、切れ目のない歯科保健医療サービスの供給体制の構築に資することを目的とする。
研究方法
(1)独立行政法人福祉医療機構(WAM)に登録されているWAMNETから全国2917か所の障害児・者入所施設を無作為に抽出し、自記式質問紙調査を行なった。(分担研究報告1)
(2)全国約129か所の地域口腔保健センターに郵便留め置き法にて自記式質問紙調査を行なった。(分担研究報告2)
(3)自治体宛のアンケート調査に関しては154自治体(47県、84保健所設置市、23特別区)にアンケートをメールにて送付した。(分担研究報告3)また自治体宛のアンケート調査には、啓発事業の内容等についてもアンケートを行った。
結果と考察
障害者入所施設へのアンケート送付件数は2917件で、返信総数は1289件であった(回収率44.2%)。また、口腔保健センターへのアンケート送付総数は129件、うち回収数91件(回収率:70.5%)であった。154自治体(47県、84市、23特別区)にも同様にアンケートを送付し、121自治体(43県、61市、17特別区)より回答を得た。回答収率は78.5%であった。障害者入所施設での定期的な歯科検診(健診)の実施率は77.9%であり、2018年9月に厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会で取りまとめられた中間評価報告での62.9%より増加していた。口腔保健センターで障害(児)者入所福祉施設から委託されて定期的な歯科検診(健診)を実施していると回答したのは、27施設(29.7%)あり、自治体が行う障害(児)者に対する定期的な歯科検診(健診)の実施体制の整備に係る事業では、(質問4-1で)「障害(児)者に関する歯科保健施策の推進に取り組んでいると回答した自治体のうち」普及啓発事業、地域歯科診療所や高次歯科医療機関との連携事業が40.7%、口腔保健センターとの連携事業が24.1%であった。口腔保健センターや自治体に歯科医師等の設置のない地域もあり、障害(児)者入所福祉施設と地域歯科医師会を通じた緊密な連携強化が、今後の歯科検診(健診)実施率の増加に繋がることが考えられた。
結論
障害者入所施設へのアンケート送付件数は2917件で、返信総数は1289件であった(回収率44.2%)。また、口腔保健センターへのアンケート送付総数は129件、うち回収数91件(回収率:70.5%)であった。154自治体(47県、84市、23特別区)にも同様にアンケートを送付し、121自治体(43県、61市、17特別区)より回答を得た。回答収率は78.5%であった。障害者入所施設での定期的な歯科検診(健診)の実施率は77.9%であり、2018年9月に厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会で取りまとめられた中間評価報告での62.9%より増加していた。口腔保健センターで障害(児)者入所福祉施設から委託されて定期的な歯科検診(健診)を実施していると回答したのは、27施設(29.7%)あり、自治体が行う障害(児)者に対する定期的な歯科検診(健診)の実施体制の整備に係る事業では、(質問4-1で)「障害(児)者に関する歯科保健施策の推進に取り組んでいると回答した自治体のうち」普及啓発事業、地域歯科診療所や高次歯科医療機関との連携事業が40.7%、口腔保健センターとの連携事業が24.1%であった。口腔保健センターや自治体に歯科医師等の設置のない地域もあり、障害(児)者入所福祉施設と地域歯科医師会を通じた緊密な連携強化が、今後の歯科検診(健診)実施率の増加に繋がることが考えられた。

公開日・更新日

公開日
2021-10-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-10-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202022020C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 障害者入所施設での定期的な歯科検診(健診)の実施率は77.9%であり、2018年9月に厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会で取りまとめられた中間評価報告での62.9%より増加していた。口腔保健センターや自治体に歯科医師等の設置のない地域もあり、障害(児)者入所福祉施設と地域歯科医師会を通じた緊密な連携強化が、今後の歯科検診(健診)実施率の増加に繋がることが考えられた。
臨床的観点からの成果
 アンケートの結果から、施設入居者をはじめとする障害者等の歯科保健医療サービスの提供状況の効果的な把握方法には、地域の歯科医師会・歯科衛生士会と障害者施設・行政との緊密な連携が、重要であることがわかった。また今回、地域に特徴のある課題の抽出が浮き彫りとなった。行政地域が狭ければ、小回りの効く地域障害者へのサービスが可能となるが、この点でも地域の歯科医師会・歯科衛生士会と障害者施設・行政との緊密な連携が、重要であることがわかった。
ガイドライン等の開発
現在まで行われていない。
その他行政的観点からの成果
 地域歯科医師会・歯科衛生士会との緊密な連携が必要であることはもちろんであるが、その動きを自治体へ情報提供するための歯科職の配置を義務化・都道府県における歯科専門職の複数配置(歯科保健業務専任)の義務化・障がい者歯科診療所(口腔保健センター等)に対する財政的支援等が喫緊の課題であることが挙げられた。
その他のインパクト
現在まで特にない。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2021-10-28
更新日
2023-06-09

収支報告書

文献番号
202022020Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,600,000円
(2)補助金確定額
1,600,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 36,460円
人件費・謝金 60,140円
旅費 0円
その他 1,503,400円
間接経費 0円
合計 1,600,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2021-10-28
更新日
2021-12-08