文献情報
文献番号
200808004A
報告書区分
総括
研究課題名
血管炎治療のための人工ポリクローナルグロブリン製剤の開発と安全性確保に関する研究
課題番号
H18-創薬・一般-020
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 和男(国立大学法人 千葉大学 大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
- 大島 正道(国立感染症研究所)
- 武曾 惠理(田附興風会医学研究所 北野病院)
- 相澤 義房(新潟大学大学院 医歯学総合研究科)
- 佐地 勉(東邦大学医療センター大森病院)
- 小林 茂人(順天堂大学附属順天堂越谷病院)
- 今井 圓裕(大阪大学 大学院医学研究科)
- 湯村 和子(自治医科大学 地域医療学センター)
- 山縣 邦弘(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
- 布井 博幸(宮崎大学 医学部)
- 河内 正治(国立国際医療センター)
- 大野 尚仁(東京薬科大学 薬学部)
- 高橋 啓(東邦大学医療センター大橋病院)
- 荒谷 康昭(横浜市立大学大学院 国際総合科学研究科)
- 山本 健二(国立国際医療センター)
- 宇野 賀津子(ルイ・パストゥール医学研究センター)
- 亀岡 洋祐(医薬基盤研究所)
- 野島 博(大阪大学 微生物病研究所)
- 平橋 淳一(東京大学医学部附属病院)
- 藤元 昭一(宮崎大学 医学部)
- 長尾 朋和(千葉大学 大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
大量免疫グロブリン製剤(IVIg)による治療法は、重症感染症や川崎病の治療として使用され、近年増加している自己免疫疾患に、より有効な免疫補助療法としてその適応拡大が検討されはじめている。IVIgの適応拡大や需要の増加と、血液製剤の安全性や医療経済の点から、人工化することが今日的急務である。そこで、本研究では、免疫グロブリンの人工化を目的とした。
研究方法
1)ヒト型人工免疫グロブリンのクローンの選択と安定性・安全性の評価:改良型ライブラーの任意のクローンとTNFαとの結合活性により評価した。2)in vitro評価系の開発:ヒト末梢血リンパ球、単球、好中球および血管内皮細胞を用いた。固相化IVIgによるヒト末梢血単核球(PBMC)のサイトカイン産生測定の至適条件の検討、全血法によるサイトカイン産生能の検討、単球の抗原提示能に対するIVIgの影響、活性化血管内皮細胞の抑制作用によるIVIgの評価(TNF-、H2O2により誘導されるadhesion molecules、 サイトカイン・ケモカインの発現へのIgGの作用)。3)モデルマウスおよび評価系の検討:CAWS誘導冠状動脈炎、RPGNモデルマウス(SCG/Kj)、劇症型心筋炎へのIVIg治療評価を解析した。臨床では、IVIgおよび関連の治療評価を行い、倫理面に十分配慮し施行した。
結果と考察
1)ヒト型人工ガンマグロブリンの開発:これまでに開発してきたマウス型を基にプロトタイプのヒト型を完成させた。プロトタイプクローンの構成を検討するとともに、in vitroでの体外評価法の検討と、2)モデルマウスによる力価判定をした。3)体外診断法:免疫系と血管内皮細胞にて検討できた。そして、4)臨床研究:臨床応用の準備を開始し、人工免疫グロブリンの安全性の向上についても臨床サイドからの動物実験の評価と治療法のバックアップをした。また、国際評価会議に当班から運営委員2名、オブザーバ1名が招聘された。
結論
マウス型を基にヒト型人工免疫グロブリンのプロトタイプが完成し、in vitroでの評価法が検討できた。一方、IVIg治療の効果判定の有効性のパラメーターの選択は、欧州血管炎協会(EUVAS)でも検討された。今後に残った課題は、1)生産系の確立:大量調整法、精製の技術、2)体外評価系の確立、3)作用機序の解明である。今後も、本研究事業の成果を臨床に生かし、国民の保健・医療ならびに効率的な医療経済に応えるようにしたい。
公開日・更新日
公開日
2011-05-27
更新日
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