文献情報
文献番号
200808001A
報告書区分
総括
研究課題名
ランダムアプローチによるエイズおよびエイズ関連疾患に対する新規治療標的の網羅的探索および新規治療薬開発
課題番号
H18-創薬・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
武部 豊(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 駒野 淳(国立感染症研究所 エイズ研究センター )
- 高橋 信弘(東京農工大学 農学部)
- 山越 智(国立感染症研究所 生物活性物質部)
- 村上 努(国立感染症研究所 エイズ研究センター )
- 菅 裕明(東京大学 先端科学技術研究センター)
- 広野 修一(北里大学 薬学部)
- 程 久美子(東京大学大学院 理学系研究科)
- 森川 裕子(北里生命科学研究所 ウイルス感染制御学研究室)
- 岡田 誠治(熊本大学 エイズ学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
HAARTの導入によってエイズは「コントロール可能な慢性疾患」の一つとなりつつあるが、依然様々な問題が山積している。われわれは、耐性ウイルス克服、およびエイズ関連疾患 (HCVおよびEBV感染症) に対する治療薬と新規治療標的の探索・同定を目的として研究を行った。
研究方法
新しい治療薬シーズの探索のため、新規のスクリーニング系を開発し、ケミカル・ライブラリー等を用いて、阻害剤探索を行った。ヒット化合物に関してその作用機序等の解析を行った。またプテオミックス手法等を用いて新たな治療標的の探索を行った。核酸創薬に向けた基盤技術開発のため、高度の多様性をもつHCVゲノムの保存領域に対する至適siRNA設計技術の開発を行った。
結果と考察
HIV-1,EBVタンパク質の生物学的性質を利用して開発したアッセイ系を用いて、 Gag-Gag相互作用やVpr, Nef, EBNA機能を阻害するヒット化合物を同定した。高マンノース型グリカン特異結合タンパク質の中に、HIV-1 およびHCV双方に対してnM レベルの極めて高い抗ウイルス活性を示す分子を見出した。また、HCVゲノムの保存領域に対する至適siRNAの設計を行い、強力な抗HCV効果をもつことを確認した。プロテオミックスの手法を用い、REVタンパク質と相互作用するタンパク質ネットワークを明らかにした。
cell-basedのHIV感染増殖アッセイに加え、ウイルスおよび関連宿主タンパク質の構造情報・生物学的性質を利用したアッセイ系を樹立し、それをベースとする新しいクラスの阻害剤候補が同定された。しかし、多くのヒット化合物は高濃度でしか有効でなく、今後の最適化作業が必要と考えられる。同定された糖鎖結合タンパク質は、広範囲のエンベロープウイルスに対して極めて高い抗ウイルス活性をもつことから、microbicideなどとしての応用が期待される。
cell-basedのHIV感染増殖アッセイに加え、ウイルスおよび関連宿主タンパク質の構造情報・生物学的性質を利用したアッセイ系を樹立し、それをベースとする新しいクラスの阻害剤候補が同定された。しかし、多くのヒット化合物は高濃度でしか有効でなく、今後の最適化作業が必要と考えられる。同定された糖鎖結合タンパク質は、広範囲のエンベロープウイルスに対して極めて高い抗ウイルス活性をもつことから、microbicideなどとしての応用が期待される。
結論
ウイルスタンパク質の性質を利用した新規阻害剤スクリーニング系の開発と、それによるスクリーニングによって、エイズおよびエイズ関連疾患に対するいくつかのシーズ化合物が同定された。特にHIV-1, HCV双方に対して極めて強力な抗ウイルス活性をもつ分子(糖鎖結合タンパク質)が同定された。また、抗ウイルス核酸医薬創製のための至適siRNA設計のアルゴリムが開発され、その有効性が示された。
公開日・更新日
公開日
2011-05-27
更新日
-