抗アレルギー薬の臨床評価ガイドライン作成に関する研究

文献情報

文献番号
199700447A
報告書区分
総括
研究課題名
抗アレルギー薬の臨床評価ガイドライン作成に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
飯倉 洋治(昭和大学医学部小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山一男(国立相模原病院科)
  • 足立満(昭和大学医学部第一内科)
  • 森田寛(東京大学医学部物療内科)
  • 高橋清(国立療養所南岡山病院内科)
  • 赤澤晃(国立小児病院アレルギー科)
  • 古庄巻史(京都大学医学部小児科)
  • 松本勉(多摩南部地域病院小児科)
  • 今野昭義(千葉大学医学部耳鼻咽喉科)
  • 西岡清(東京医科歯科大学医学部皮膚科)
  • 池澤善郎(横浜市立大学医学部皮膚科)
  • 永井博弌(岐阜薬科大学薬理学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 薬物療法等有用性向上推進研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
2,275,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年アレルギー疾患は増加の一途をたどり、アレルギー外来と称するところでは患者さんが溢れている。このアレルギー疾患の対応には抗原除去、心身の鍛練、薬物での対応が考えられるが、実際上手な病気コントロールは先のいくつかを組み合わせることである。そして、この時に問題になるのがアレルギー症状をコントロールしようと用いる使用薬剤の選択である。なかでも急性期の症状を抑えた後を如何にコントロールしていくかであり、そこに登場してくるのが抗アレルギー剤である。本剤の効果に関して効果を否定する意見を言う人がいるが、実際患者をよく診て薬の特徴をつかめば、実に役に立つ薬である。例えば、アトピータイプの喘息には抗ヒスタミンン作用の強い抗アレルギー剤の使用が効果的であるが、非アトピータイプの喘息にはどちらかというと効果が弱い。この様にいろいろな背景が病気の根底にあることを理解し抗アレルギー剤を考えると、今後も沢山の抗アレルギー剤が登場してくることが十分考えられる。そして、そのためにはどのようなことが大切かをを検討していくことは重要である。
研究方法
この研究を行なうにあったての必要事項1)班構成:アレルギー疾患を診る各科の医師、基礎研究者。2)研究方法:従来の新薬臨牀評価ガイドラインを参考に、今迄詳しく記載されていなかった評価法に関する検討。3)患者サイドに如何なるメリットがあるかの検討。4)更に治験担当医師の選定に関しての検討を行なった。
結果と考察
1)班構成:基礎学者として薬理学の専門で、しかもアレルギーに精通している先生の参加と、内科、小児科、皮膚科、耳鼻科の先生で班構成を行った。2)新薬評価の検討:既に市販されている抗アレルギー剤の臨床効果から、どの様な臨牀上のタイプにどの様な抗アレルギー剤が効いているのかの検討を行い、抗アレルギー剤の種類によって臨牀効果の違いを検討した。その結果、アトピータイプの喘息はヒスタミン拮抗作用のある抗アレルギー剤が効く患者が多いのに対し、非アトピータイプは殆ど効果が無かった。ところが、この非アトピータイプの患者はロイコトリエン拮抗作用の抗アレルギー薬に効く人が大変多いことが分った。このことは患者の選別と抗アレルギー薬の選択が臨床効果を作用することで、抗アレルギー剤の評価は慎重にすべきであり、臨床的に大変興味ある薬で、臨床医に薬の選択の重要さをいろいろ教えてくれる薬と言える。3)患者評価:はっきりした客観的指標が必要であるが、小児喘息ではピークフローメーターの評価が、現時点では多くの人に納得してもらえる検査といえる。また、小児はアトピータイプが多いことから好酸球で作られるECPを測定することも考えたが、保険が通らず特別な場合に用いることを検討する項目とした。4)患者のメリット:外国との違いは患者サイドに如何にメリットがあるかであるが、今後はこの問題も十分に考慮して研究を行なうべきといえる。5)治験担当医師:従来は治験責任医師が自由に選択していたが、アレルギー学会での専門医、あるいはそれに相当する医師がなるべきであるとの考え方もまとめに入った。
結論
小児の抗アレルギー剤開発はアトピータイプが多いだけに問題である。その際何を基準にし評価を行なうかが問題になるが、現時点ではPFRを必ず
測定し、今後も更に良い指標を検討する事が重要である。また患者サイドのメリットを考慮に入れた研究計画を立てるべきと言える。

公開日・更新日

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研究報告書(紙媒体)