在宅及び慢性期の医療機関で療養する患者の状態の包括的評価方法の確立のための研究

文献情報

文献番号
202022006A
報告書区分
総括
研究課題名
在宅及び慢性期の医療機関で療養する患者の状態の包括的評価方法の確立のための研究
課題番号
H30-医療-一般-011
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
飯島 勝矢(国立大学法人 東京大学 高齢社会総合研究機構/未来ビジョン研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 田宮 菜奈子(国立大学法人筑波大学 医学医療系 / ヘルスサービス開発研究センター)
  • 川越 雅弘(公立大学法人埼玉県立大学 大学院保健医療福祉学研究科)
  • 石崎 達郎(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 福井 小紀子(国立大学法人 東京医科歯科大学  大学院保健衛生学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
4,709,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、医療・介護レセプトデータや住民調査により得た指標等を用いて、在宅及び医療機関で療養する者の状態像を評価するとともに、療養場所の分類を行い、医療政策に資する指標の開発・検討を行うことを目的とした。
研究方法
本年度は医療・介護レセプトデータを用いた集計を継続するとともに、患者(住民)アンケートを実施し、医療・介護レセプト等既存情報との接合を行った。
結果と考察
医療・介護レセプト等既存情報を用いた分析では、昨年度に引き続き、療養場所の分類として、入院・介護施設・集合住宅・それ以外の(狭義の)自宅という4分類を設定した上で、Ambulatory Care-Sensitive Conditions(ACSCs)、Potentially Avoidable Hospitalization(PAH)、Comorbidities、Frailtyといった患者状態像を評価する概念として先行論文で用いられているものを利用し、医療・介護レセプトから患者状態像を分類する作業を継続した。本年度は、ACSCsの発生頻度について、平成30年度報告書よりさらに分析を進め修正した内容にて療養場所別の分布を集計した。また、在宅療養継続の阻害要因を探るべく、時間外受診/入院/死亡というイベントを特定し、それらの発生率を療養場所別に集計することを試みた。
患者(住民)アンケート等の新規取得データとレセプト等既存情報の接合分析については、柏市在住の要介護者約7,077名を対象として本年度末に無記名(接合用のIDのみ付与)の郵送アンケートを配票し、令和2年4月以降に回収を行った。最終的に3,470名より回収された。令和元年10月単月の介護保険の算定実績データと接合を行い、住民アンケートで得られた各種主観的指標(主観的健康感、主観的幸福感、生活満足度、サービス満足度、抑うつに関する2項目)を従属変数とする回帰分析を行ったところ、集合住宅入居者(介護付き有料老人ホーム及び認知症グループホームといった居住系サービス利用者)や介護保険施設入所者(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設利用者)は、自宅居住者(居宅サービス利用者)に比べて、主観的幸福感(p=.037, p=.022)、生活満足度(p=.003, p=.015)が有意に低かった。また、集合住宅入居者は、統計的に有意ではないものの、自宅居住者に比べて、介護・医療サービスの満足度が低い傾向にあった(p=.059)。抑うつに関する項目については、療養場所との間では有意な関連を示さなかった。
結論
以上のような分析により、医療・介護レセプトという二次利用データにより要介護者等の療養場所を特定することが確認され、在宅療養の継続・中断状況を個人単位・機関単位・地域単位で経時的に記述することは可能であることが示された。要介護者等の療養場所を1つのベンチマーク指標として、機関別・地域別で定点観測を続けるとともに、状態像別(傷病名など)、病期別(死亡年月日からの期間別)によるクロス集計、あるいは時間外受診/入院/死亡といったイベントとの関連を追うことで、在宅医療や在宅医療・介護連携の政策評価枠組みとして重視される4つの場面(日常の療養、急変時、入退院、看取り)別の指標として活用が期待される。さらには、本研究で実施したような要介護者へのシンプルなアンケート調査と医療・介護レセプトの分析を併用することにより、療養場所という客観的状況のみならず、幸福感、生活満足度などの主観的状況も含めた評価が可能になると考えられた。
なお、本研究で実施した住民アンケート調査の設問は、今後の政策的応用を想定し、介護予防・日常生活圏域ニーズ調査の設問と一部重複させている。介護予防・日常生活圏域ニーズ調査は主に自立高齢者を対象とした調査であるため、本年度に実施したような要介護者向けの調査と並行して実施することにより、各市町村の高齢者の全体像を把握することができるだろう。

公開日・更新日

公開日
2023-05-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-05-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202022006B
報告書区分
総合
研究課題名
在宅及び慢性期の医療機関で療養する患者の状態の包括的評価方法の確立のための研究
課題番号
H30-医療-一般-011
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
飯島 勝矢(国立大学法人 東京大学 高齢社会総合研究機構/未来ビジョン研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 田宮 菜奈子(国立大学法人筑波大学 医学医療系 / ヘルスサービス開発研究センター)
  • 川越 雅弘(公立大学法人埼玉県立大学 大学院保健医療福祉学研究科)
  • 石崎 達郎(地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 福井 小紀子(国立大学法人 東京医科歯科大学  大学院保健衛生学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、医療・介護レセプトデータや住民調査により得た指標等を用いて、在宅及び医療機関で療養する者の状態像を評価するとともに、療養場所の分類を行い、医療政策に資する指標の開発・検討を行うことを目的とした。
研究方法
医療・介護レセプトデータを用いた集計を行うとともに、患者(住民)アンケートを実施し、医療・介護レセプト等既存情報との接合を行った。
結果と考察
医療・介護レセプト等既存情報を用いた分析では、療養場所の分類として、入院・介護施設・集合住宅・それ以外の(狭義の)自宅という4分類を設定した上で、Ambulatory Care-Sensitive Conditions(ACSCs)、Potentially Avoidable Hospitalization(PAH)、Comorbidities、Frailtyといった患者状態像を評価する概念として先行論文で用いられているものを利用し、医療・介護レセプトから患者状態像を分類する作業を行った。ACSCsの発生頻度について、療養場所別の分布を集計した。また、在宅療養継続の阻害要因を探るべく、時間外受診/入院/死亡というイベントを特定し、それらの発生率を療養場所別に集計することを試みた。
患者(住民)アンケート等の新規取得データとレセプト等既存情報の接合分析については、柏市在住の要介護者約7,077名を対象として無記名(接合用のIDのみ付与)の郵送アンケートを配票し、令和2年4月以降に回収を行った。最終的に3,470名より回収された。令和元年10月単月の介護保険の算定実績データと接合を行い、住民アンケートで得られた各種主観的指標(主観的健康感、主観的幸福感、生活満足度、サービス満足度、抑うつに関する2項目)を従属変数とする回帰分析を行ったところ、集合住宅入居者(介護付き有料老人ホーム及び認知症グループホームといった居住系サービス利用者)や介護保険施設入所者(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設利用者)は、自宅居住者(居宅サービス利用者)に比べて、主観的幸福感(p=.037, p=.022)、生活満足度(p=.003, p=.015)が有意に低かった。また、集合住宅入居者は、統計的に有意ではないものの、自宅居住者に比べて、介護・医療サービスの満足度が低い傾向にあった(p=.059)。抑うつに関する項目については、療養場所との間では有意な関連を示さなかった。
結論
以上のような分析により、医療・介護レセプトという二次利用データにより要介護者等の療養場所を特定することが確認され、在宅療養の継続・中断状況を個人単位・機関単位・地域単位で経時的に記述することは可能であることが示された。要介護者等の療養場所を1つのベンチマーク指標として、機関別・地域別で定点観測を続けるとともに、状態像別(傷病名など)、病期別(死亡年月日からの期間別)によるクロス集計、あるいは時間外受診/入院/死亡といったイベントとの関連を追うことで、在宅医療や在宅医療・介護連携の政策評価枠組みとして重視される4つの場面(日常の療養、急変時、入退院、看取り)別の指標として活用が期待される。さらには、本研究で実施したような要介護者へのシンプルなアンケート調査と医療・介護レセプトの分析を併用することにより、療養場所という客観的状況のみならず、幸福感、生活満足度などの主観的状況も含めた評価が可能になると考えられた。
なお、本研究で実施した住民アンケート調査の設問は、今後の政策的応用を想定し、介護予防・日常生活圏域ニーズ調査の設問と一部重複させている。介護予防・日常生活圏域ニーズ調査は主に自立高齢者を対象とした調査であるため、本年度に実施したような要介護者向けの調査と並行して実施することにより、各市町村の高齢者の全体像を把握することができるだろう。

公開日・更新日

公開日
2023-05-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202022006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医療・介護レセプトという悉皆性が高く、かつ従事者の入力負担を要しない二次利用情報を用いたデータセットを整備したこととともに、当該データと住民(要介護者)アンケートのデータが個人単位で紐付いたデータを整備した研究は国内でほとんど類をみない。
臨床的観点からの成果
在宅医療(・介護連携)の分野では、少数の意欲的な医療機関から得たデータに由来する分析がほとんどであり、悉皆性の高いレセプトデータを用いた研究自体が希少であり、本研究により得られる知見は、記述統計も含めて新規性が高い。
ガイドライン等の開発
患者の状態像と療養場所の関連、療養場所や患者状態像による転帰(時間外受診/入院/死亡)の違いを明らかにすることで、不安定な状態にあっても在宅療養を継続できるためのノウハウ等を見出すヒントが得られる可能性がある。
その他行政的観点からの成果
本研究で行った集計手法を、都道府県が策定する医療計画の中の在宅医療に関する評価指標、市町村が実施する在宅医療・介護連携推進事業に関する評価指標として活用可能である。本研究のフィールドとなった千葉県柏市では実際に活用されている。
その他のインパクト
特記なし。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
9件
その他論文(和文)
1件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
21件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-05-01
更新日
2023-06-19

収支報告書

文献番号
202022006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,284,000円
(2)補助金確定額
4,284,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 282,328円
人件費・謝金 544,740円
旅費 0円
その他 2,469,730円
間接経費 988,000円
合計 4,284,798円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2021-12-16
更新日
-