ヒトパピローマウィルス持続感染制御に関するゲノム医学からのアプローチ

文献情報

文献番号
200807019A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒトパピローマウィルス持続感染制御に関するゲノム医学からのアプローチ
課題番号
H19-ゲノム・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
吉浦 孝一郎(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 木下 晃(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 )
  • 増崎 英明(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 中山 大介(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 三浦 清徳(長崎大学医学部・歯学部付属病院)
  • 木住野 達也(長崎大学 先導生命科学研究支援センター)
  • 近藤 新二(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
38,005,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究目的は,HPV感染が持続感染する集団とHPV感染が自然治癒する集団を区別できるSNPを検索することである。また,産婦人科学教室との連携による試料収集システムの構築,HPV感染患者試料収集,HPV型判定を行いつつ試料収集を行い,長崎県におけるHPV感染の疫学的な調査も研究目的とした。
研究方法
収集対象者は,主に子宮がん検診で子宮頸部細胞診異常を指摘された例を対象とした。HPV型判定を行いつつ,組織診断によって子宮頸癌と確定された患者試料は,子宮頸癌ケースとして SNP タイピングを行った。一方,コントロール群としては,フォローアップによりHPVが消えた患者と妊婦その他でHPV陰性の患者群を含めた。収集試料を用いたSNPタイピングは,Affymetrix社の Genome-Wide Human SNP 6.0を用いた。SNP typing の結果をplinkにより全ゲノム関連解析(GWAS)を行った。タイピング時のクラスタリング解析図を参考に良好な区別がなされているSNPを選択して,SNP typingおよび関連解析の再確認を行った。
結果と考察
平成20年10月23日までに延べ698例の症例を収集した。全症例において感染を確認したHPV型の頻度は,最も多いのが16型,次に52型,次に18型と58型が同数となっている。諸外国の報告と比べ52型,58型が多いことが特徴となっている。
組織診断にて子宮頸癌と確定された症例64名と一般対照集団196名を対象としてGWAS (genome Wide Association Study) を行った。最も低いp値を示すSNPから並べて100位のSNPで p-値 < 10^-11 となっている。上位50位までのSNPのうちで,クラスタリングが良くなされている3個のSNPについてシークエンス解析により結果を再確認したが,GWASの結果は確認できなかった。
結論
諸外国の報告と比べ52型,58型が多いことが特徴となっている。本結果は,日本でのHPVワクチンは52型,58型についても力点をおいたワクチンである必要を示している。今後さらに患者試料数を増やして,子宮癌関連SNPの同定にむけて研究を進める。

公開日・更新日

公開日
2009-08-06
更新日
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