医療機器の保守点検指針の作成等に関する研究

文献情報

文献番号
202022003A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機器の保守点検指針の作成等に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H30-医療-指定-007
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
菊地 眞(公益財団法人 医療機器センター)
研究分担者(所属機関)
  • 青木 茂樹(順天堂大学 大学院医学研究科 放射線医学)
  • 伊東 孝(岡山大学 新医療研究開発センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
7,254,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究の目的は生命維持管理装置等や放射線関連機器等の保守点検・研修指針の作成、高度な画像診断検査装置の精度管理の標準化の検討、医療機器の安定供給の検証の3つである。
 生命維持管理装置等および放射線関連機器等の研修・保守点検指針の作成については、医療法における、とくに研修や保守点検が重要であるとされている医療機器を対象に研修および保守点検の指針を作成することを目的とする。
 高度画像検査機器に対する精度管理の標準化の検討については、平成30年度にMRI検査の安全管理の現状の大規模調査を実施し、安全の管理体制が不十分であったことの結果を受けて、(一社)日本磁気共鳴医学会の『臨床MRI安全運用のための指針』の設定の基礎資料として用いられるようにこれまでの研究班での調査結果や保守点検指針等の情報提供や、高度な画像診断検査装置の精度管理の標準化、適切なプロトコールの管理、放射線機器については被ばくの管理に係る制度設計やクラウド化などの検討を行うことを目的とする。
 医療機器の安定供給の検証については、医療機器の安定供給に与える影響を検証し、各種資料及びヒアリングを通じて新型コロナウイルス感染拡大による各医療機器市場に及ぼす影響を調査することを目的とする。
研究方法
 生命維持管理装置等および放射線関連機器等の研修・保守点検指針の作成については、学会や職能団体などが作成した生命維持管理装置等や放射線関連機器等に関する既存の保守点検指針や各社製品の取扱説明書など、各種団体の教育コンテンツなどを収集・分析し、医療機関において実施すべき保守点検や研修の内容について検討した。そして、それを関係学会にレビューを依頼して修正を行ったうえで確定した。
 高度画像検査機器に対する精度管理の標準化の検討については、平成30年度に臨床MRI検査の安全性についてアンケート調査を実施し、令和元年度および令和2年度に機械学習モデル等を用いて解析を行った。MRI検査に関するヒヤリ・ハットや事故をアウトカムとし、その他のアンケート質問回答(特に安全管理体制の有無など)とアウトカムとの関係性を解析した。
 医療機器の安定供給の検証については、令和元年, 令和2年度医薬品・医療機器生産動態統計調査を基に生産量が前年よりも50%以上下落している品目を抽出し,令和2年度医薬品・医療機器生産動態統計調査「医療機器一般的名称別生産・輸入・出荷・月末在庫数量」1~12月の月報を中心に調査を実施した。
結果と考察
 生命維持管理装置等や放射線関連機器等の保守点検・研修指針の作成においては、主に除細動装置および閉鎖式保育器の指針を作成した。そして、これまでに作成した各指針を取りまとめを行い、指針として確定させた。大規模、小規模な医療機関がある中で医療機器の保守点検は、各医療機関で点検内容に大きな差が生じる恐れがある。このため、本指針はミニマムリクワイアメントを考慮した内容として現場に過度な負担とならないようにすることが重要となるため、指針の確定においては十分に内容を精査した。
 高度画像検査機器に対する精度管理の標準化の検討においては、本研究班の平成30年のアンケート調査をさらに解析し、運用マニュアルや安全管理体制とヒヤリ・ハットに関連が確認された。それらの整備のための指針と体制・制度の必要性が示された。日本磁気共鳴医学会に協力して設定された『臨床MRI安全運用のための指針』では安全管理体制を具体的に示し、マニュアルの制定が求められている。アンケートにより現場を反映した指針が設定されたと考えている。
 医療機器の安定供給の検証においては、今回の調査対象とした全17品目において在庫が不足する機器・消耗品はなかったが、これは企業単位,産業界単位での医療機器における安定供給の努力と政府のサプライチェーン対策によるところが大きいと考えられる。
結論
 生命維持管理装置等や放射線関連装置等の研修・保守点検指針のうち、人工呼吸器、血液浄化装置、除細動装置、閉鎖式保育器、ガンマナイフ装置、リモートアフターローディング装置について指針案を作成した。これに伴い、計画していた生命維持管理装置等および放射線関連機器等の全ての機器の研修・保守点検指針案が完成し、内容を取りまとめて指針を完成させた。また、MRIを安全に施行する上で必要な管理等に関して、詳細な解析によって、ヒヤリ・ハットに関係する因子が明らかになってきた。また、今年度は(一社)日本磁気共鳴医学会と協調として、『臨床MRI安全運用のための指針』の制定に至り、診療報酬に組み入れ、MRIの安全管理の精度かに向けた動きを推進した。さらに、医療機器の安定供給の検証を実施して世界的なパンデミック発生時における医療機器市場に及ぼす影響を調査した。

公開日・更新日

公開日
2025-05-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-05-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202022003B
報告書区分
総合
研究課題名
医療機器の保守点検指針の作成等に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H30-医療-指定-007
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
菊地 眞(公益財団法人 医療機器センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は生命維持管理装置等や放射線関連機器等の保守点検・研修指針の作成、高度な画像診断検査装置の精度管理の標準化の検討、医療機器の安定供給の検証の3つである。
 生命維持管理装置等および放射線関連機器等の研修・保守点検指針の作成については、医療法における、とくに研修や保守点検が重要であるとされている医療機器を対象に研修および保守点検の指針を作成することを目的とする。
 高度画像検査機器に対する精度管理の標準化の検討については、平成30年度にMRI検査の安全管理の現状の大規模調査を実施し、安全の管理体制が不十分であったことの結果を受けて、日本磁気共鳴医学会の『臨床MRI安全運用のための指針』の設定の基礎資料として用いられるようにこれまでの研究班での調査結果や保守点検指針等の情報提供や、高度な画像診断検査装置の精度管理の標準化、適切なプロトコールの管理、放射線機器については被ばくの管理に係る制度設計やクラウド化などの検討を行うことを目的とする。
 医療機器の安定供給の検証については、医療機器の安定供給に与える影響を検証し、各種資料及びヒアリングを通じて新型コロナウイルス感染拡大による各医療機器市場に及ぼす影響を調査することを目的とする。
研究方法
 生命維持管理装置等および放射線関連機器等の研修・保守点検指針の作成については、学会や職能団体などが作成した生命維持管理装置等や放射線関連機器等に関する既存の保守点検指針や各社製品の取扱説明書など、各種団体の教育コンテンツなどを収集・分析し、医療機関において実施すべき保守点検や研修の内容について検討した。そして、それを関係学会にレビューを依頼して修正を行ったうえで確定した。
 高度画像検査機器に対する精度管理の標準化の検討については、平成30年度に臨床MRI検査の安全性についてアンケート調査を実施し、令和元年度および令和2年度に機械学習モデル等を用いて解析を行った。MRI検査に関するヒヤリ・ハットや事故をアウトカムとし、その他のアンケート質問回答(特に安全管理体制の有無など)とアウトカムとの関係性を解析した。
 医療機器の安定供給の検証については、令和元年, 令和2年度医薬品・医療機器生産動態統計調査を基に生産量が前年よりも50%以上下落している品目を抽出し,令和2年度医薬品・医療機器生産動態統計調査「医療機器一般的名称別生産・輸入・出荷・月末在庫数量」1~12月の月報を中心に調査を実施した。
結果と考察
 生命維持管理装置等および放射線関連機器等の研修・保守点検指針の作成については、これまでに人工心肺装置、人工呼吸器、血液浄化装置、除細動装置、閉鎖式保育器、CT装置、MRI装置、リニアック装置、ガンマナイフ装置、リモートアフターローディング装置の指針を作成し、それらを取りまとめて指針として確定させた。本指針はミニマムリクワイアメントを考慮した内容として現場に過度な負担とならないように内容を精査した。
 高度画像検査機器に対する精度管理の標準化の検討については、平成30年度に実施した臨床現場におけるMRI検査の安全管理に関するアンケートを実施し、それに基づいて形跡を行った。その結果、MRI検査を安全に施行するための必要な管理体制が不十分であるという実態が明らかとなり、事故との関係性が高い項目として、運用マニュアル、安全管理体制、施設の種別、MRI機器総数、ヒヤリ・ハットが確認された。この調査を踏まえ、(一社)日本磁気共鳴医学会では、(公社)日本医学放射線学会、(公社)日本放射線技術学会および(特非)磁気共鳴専門技術者認定機構の協力のもとに『臨床MRI安全運用のための指針』を設定した。
 医療機器の安定供給の検証については、今回の調査対象とした全17品目において在庫が不足する機器・消耗品はなかったが、これは企業単位,産業界単位での医療機器における安定供給の努力と政府のサプライチェーン対策によるところが大きいと考えられる。
結論
 平成30年~令和2年度までの3年間で生命維持管理装置等および放射線関連装置等から、人工呼吸器、血液浄化装置、除細動装置、閉鎖式保育器、ガンマナイフ装置、リモートアフターローディング装置の指針案を作成した。そして、作成された指針案は関係学会にレビューした後に研究班で議論を行って指針を作成した。また、高度な画像診断検査装置の精度管理の標準化の検討に向け、MRI装置の安全な運用に関する調査研究を実施した。これにより、臨床MRIを安全に施行する上で必要な管理等に関して、ヒヤリ・ハットに関係する因子が明らかとなってきた。さらに、医療機器の安定供給の検証を実施して世界的なパンデミック発生時における医療機器市場に及ぼす影響を調査した。

公開日・更新日

公開日
2025-05-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-05-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202022003C

収支報告書

文献番号
202022003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,429,000円
(2)補助金確定額
9,200,000円
差引額 [(1)-(2)]
229,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,775,422円
人件費・謝金 2,375,288円
旅費 0円
その他 2,874,760円
間接経費 2,175,000円
合計 9,200,470円

備考

備考
・自己資金444円
・利息26円

公開日・更新日

公開日
2021-12-01
更新日
-