関節リウマチにおけるテーラーメイド医療実証研究

文献情報

文献番号
200807016A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチにおけるテーラーメイド医療実証研究
課題番号
H19-ゲノム・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
鎌谷 直之(東京女子医科大学 附属膠原病リウマチ痛風センター)
研究分担者(所属機関)
  • 谷口 敦夫(東京女子医科大学 附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 山中 寿(東京女子医科大学 附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 高崎 芳成(順天堂大学医学部附属順天堂医院)
  • 斎藤 加代子(東京女子医科大学 附属遺伝子医療センター)
  • 三森 明夫(国立国際医療センター 膠原病科)
  • 上田 寛之(上田診療所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
40,946,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチに関する4つの有力な候補遺伝子において、前向きにデータを追いながら他に先駆けてテーラーメイド医療を実際に運用し、テーラーメイド医療のモデルケースとし、さらに標準化を行うことでリウマチ以外の分野においてもテーラーメイド医療の普及を図ることを念頭に置いた実証的研究である。
研究方法
① 臨床的妥当性向上;探索的研究による研究成果の妥当性向上のために前向きコホートにて追試を行う。② 臨床的妥当性確保のための基盤構築;遺伝子検査の臨床的妥当性の評価手法を検討し、評価基準、研究デザインの設計手法の構築を行う。③臨床的有用性確保の検証;研究項目①で行う遺伝子検査を受けた集団と受けていない集団の予後を前向き研究により比較することで、検査の臨床的有用性を検証する。④効果的な同意、遺伝カウンセリングの検討;効果的な説明フロー、説明ツールを作成し、説明を支援することで、患者の理解の促進を図る。⑤一般的な病院・診療所で利用するための基盤整備;診療現場において、実験運用を開始する。
結果と考察
①関節リウマチ患者におけるスルファサラジンの副作用とNAT2遺伝子のハプロタイプとの関連については、前向き研究により妥当性、有用性を証明し、論文を発表した(文献8)。即ち、一年間でスルファサラジンにより重症副作用を起こした4名の患者のすべてがM/M型のディプロタイプ形を有していた。②国立国際医療センター、順天堂大学で関節リウマチの患者DNAと薬物反応性データを収集しつつある。③4人の重症副作用の中ですべてがM/Mであったことは、我々の以前の予測、感度50%の検査法と言う数値をも上回るものであり、その有用性が確保されたと考える。④東京女子医科大学遺伝子医療センターとオーダーメイド創薬により、すぐれた同意、遺伝子カウンセリングのビデオが作られた。⑤上田クリニックの協力で行った。一般の診療所では困難なものではあるが不可能ではないと言う結果を得た。
スルファサラジンの重症副作用に関する前向き研究の結果により、NAT2ハプロタイプの関連が明らかになった。感度や陽性的中率からの予測の妥当性が明らかになった。以上により、臨床的妥当性と有用性の検討、それに基づいた前向き研究というロードマップの妥当性が証明された。
結論
関節リウマチのテーラーメイド医療の実現のための、ロードマップの正しさが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
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