ゲノム解析によるパーキンソン病遺伝子同定と創薬・テーラーメード研究

文献情報

文献番号
200807014A
報告書区分
総括
研究課題名
ゲノム解析によるパーキンソン病遺伝子同定と創薬・テーラーメード研究
課題番号
H19-ゲノム・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
戸田 達史(大阪大学大学院 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 村田 美穂(国立精神・神経センター)
  • 服部 信孝(順天堂大学医学部)
  • 山本 光利(香川県立中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
47,074,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
パーキンソン病(PD)につき1)SNP chipによる全ゲノム関連解析を行い、疾患感受性遺伝子を10個以上同定する、2)同時に日本で発見された抗PD薬ゾニサミドを中心に抗PD薬の反応 性、副作用とSNPの関連を明らかにしテーラーメイド治療法を確立する、3)同定された疾患感受性遺伝子の機能解析、蛋白構造解析などに基づく網羅的薬剤 候補化合物探索と日本発のパーキンソン病創薬、をめざす。
研究方法
1)候補遺伝子関連解析2)500K SNP chipを用いた全ゲノム関連解析3)ゾニサミドの薬効に関連するSNP4)rare variantとゴーシェ病5)病原因遺伝子が未知の常染色体劣性晩発性PD家系遺伝子6)ゾニサミドの抗パーキンソン効果の個体差について7)パーキンソン病と心臓交感神経機能
結果と考察
イルミナHap550アレイを用いて、患者約1000人、対照2500人(最終計8296検体)のGenome wide association study(GWAS)を行った。候補遺伝子解析で同定されたα-synuclein領域(P=3.5x10-16)の他に、全く新規の遺伝子が3個明らかにできた。ゾニサミド(ZNS)有効例・無効例間で同様のSNP chipによる関連解析を行い、効果判定マーカーとなる多型を同定することを試み、内22個以上のSNPがP=10-5以下を示し、例えばCYP20A1はCアレルをもつと無効例が多いなど、明らかに偏りがあった。またrare variantとしてゴーシェ遺伝子変異が確実なPDリスクであることを明らかにした。晩発性劣性遺伝性PD家系における連鎖解析により、新たな候補遺伝子領域を同定し、2個の原因遺伝子候補を見出した。ZNSの効果の個人差を検討し、ZNSは比較的若いL-dopa効果の明らかな症例で高い効果をえやすい。MIBG心筋シンチにて正常値群ではパーク2の患者の可能性が高く、遺伝子検索が必要と考えられた。
結論
GWASでは今後多くの疾患感受性遺伝子をあきらかにしていくとともに、rare variantの解析も重要である。常染色体劣性晩発性PD家系の原因遺伝子を同定し、そこからPDの原因の究明、治療法の開発につながる可能性がある。それぞれの患者の、発症年齢、主な症状、随伴症状、薬物反応性について、データベース化を行う。

公開日・更新日

公開日
2009-08-06
更新日
-