食道癌生検標本の遺伝子発現プロファイル解析による放射線化学療法感受性予測の臨床導入を目指した基盤的研究

文献情報

文献番号
200807009A
報告書区分
総括
研究課題名
食道癌生検標本の遺伝子発現プロファイル解析による放射線化学療法感受性予測の臨床導入を目指した基盤的研究
課題番号
H18-ファーマコ・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
嶋田 裕(国立大学法人富山大学 大学院医学薬学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 福島 雅典(京都大学医学研究科)
  • 松井 茂之(京都大学医学研究科)
  • 辻本 豪三(京都大学薬学研究科)
  • 平岡 真寛(京都大学医学研究科)
  • 千葉 勉(京都大学医学研究科)
  • 加藤 健(国立がんセンター中央病院)
  • 篠田 雅幸(愛知県がんセンター中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
19,338,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食道癌化学放射線療法感受性の責任遺伝子群を生検標本を用いてマイクロアレイにて明らかにし、化学放射線感受性予測アルゴリズムを作製する。このアルゴリズムにて化学放射線療法感受性予測の臨床応用につなげる。
研究方法
高感度マイクロアレイチップを使用し、生検標本の遺伝子解析プロファイルによる食道癌の化学放射線療法感受性予測に関する多施設共同研究を行う。臨床情報をWebで登録し管理するとともに、生検検体を解析担当施設に送付し、マイクロアレイで解析する。遺伝子情報と臨床情報からバイオインフォマティックスにより化学放射線感受性に関与する遺伝子群を同定する。検体採取と解析にあたってはヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針等に従って実行する。
結果と考察
平成19年度に13例の登録が得られたが、JCOG9907の結果から化学放射線療法の治療成績が術前化学療法後の食道切除に劣ることが判明し、登録対象患者が激減した。このため平成20年度は4例の登録で、全登録数は17例にとどまった。これらの症例については既に25Kchipで遺伝子解析を行った。適応患者の拡大の為に、施設数の拡大を行い、元来化学放射線療法の適応であるT4M1を追加対象として症例登録を促し4例のサンプル採取がなされ解析可能症例は21例である。今後1年間の登録期間延長と3年間の臨床経過観察で最低40例の解析可能症例を集積したい。
結論
生検標本の遺伝子解析プロファイルによる食道癌の化学放射線療法感受性予測に関する多施設共同研究を開始し、21例の解析可能症例を得た。今後の研究継続にて解析可能となるものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
-

文献情報

文献番号
200807009B
報告書区分
総合
研究課題名
食道癌生検標本の遺伝子発現プロファイル解析による放射線化学療法感受性予測の臨床導入を目指した基盤的研究
課題番号
H18-ファーマコ・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
嶋田 裕(国立大学法人富山大学 大学院医学薬学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 福島 雅典(京都大学医学研究科)
  • 松井 茂之(京都大学医学研究科)
  • 辻本 豪三(京都大学薬学研究科)
  • 平岡 真寛(京都大学医学研究科)
  • 千葉 勉(京都大学医学研究科)
  • 加藤 健(国立がんセンター中央病院)
  • 篠田 雅幸(愛知がんセンター中央病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食道癌化学放射線療法感受性の責任遺伝子群を生検標本を用いてマイクロアレイにて明らかにし、化学放射線感受性予測アルゴリズムを作製する。このアルゴリズムにて化学放射線療法感受性予測の臨床応用につなげる。
研究方法
高感度マイクロアレイチップを使用し、生検標本の遺伝子解析プロファイルによる食道癌の化学放射線療法感受性予測に関する多施設共同研究を行う。臨床情報をWebで登録し管理するとともに、生検検体を解析担当施設に送付し、マイクロアレイで解析する。遺伝子情報と臨床情報からバイオインフォマティックスにより化学放射線感受性に関与する遺伝子群を同定する。検体採取と解析にあたってはヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針等に従って実行する。
結果と考察
平成18年12月にプロトコールを確定し、平成19年1月にweb登録システムをオープンとした。3月までwebシステムの微調整を行い、4月に完成させた。生検標本の搬送システムを確立し、順次、倫理委員会承認施設において説明会を開催した。対象患者をstage2,3(nonT4)とし平成19年度に13例の登録が得られたが、JCOG9907の結果から化学放射線療法の治療成績が術前化学療法後の食道切除に劣ることが判明し、登録対象患者が激減した。このため平成20年度は4例の登録で、全登録数は17例にとどまった。これらの症例については既に25Kchipで遺伝子解析を行った。適応患者の拡大の為に、施設数の拡大を行い、元来化学放射線療法の適応であるT4M1を追加対象として症例登録を促し4例のサンプル採取がなされ解析可能症例は21例である。今後1年間の登録期間延長とT4M1を含むことにより解析可能症例を集積したい。
結論
生検標本の遺伝子解析プロファイルによる食道癌の化学放射線療法感受性予測に関する多施設共同研究を開始し、21例の解析可能症例を得た。今後の研究継続にて解析可能となるものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2009-04-10
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200807009C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究で解析結果が得られれば、高感度のマイクロアレイと組み合わせることにより、治療前の微量生検サンプルからの感受性予測が可能となる。また化学放射線療法感受性に関係する遺伝子発現が同定され、分子標的治療のターゲットの同定が期待される。化学放射線感受性のみならず、化学療法感受性に応用できる。我々が構築した検体搬送システムは多施設での内視鏡生検標本収集のモデルになりうる。
臨床的観点からの成果
現在の画像診断や少数の遺伝子解析では化学放射線療法の副作用と手術療法の大きな侵襲を回避すべき患者を選択できていない。この研究の解析が行われることにより、化学放射線療法の効果がないと予測された場合は副作用のある化学放射線療法を回避して根治切除を行い、化学放射線療法の効果が期待できる患者では侵襲の大きな手術を回避できる。総合的に患者予後の向上に繋がる。
ガイドライン等の開発
遺伝子解析により、化学療法感受性を判定し、それにより患者さんの治療の選択が可能となれば、ガイドラインの一項目になりうる。個別化治療のための感受性診断薬として高感度マイクロアレイが期待される。
その他行政的観点からの成果
本研究の解析により感受性予測が可能となれば効率的な医療が実現することとなる。患者への負担を軽減し、医療費の効果的使用に繋がる。同様の微量サンプルでの他の疾患への応用が期待され、食道癌のみならず他疾患の医療費が削減できることとなる。
その他のインパクト
各病院で購読されている新聞であるJapan Medicine 2006年5月17日号(じほう社)に取り上げられ、テーラーメード治療の臨床研究として注目されている。医療のテレビ番組(北日本放送)では食道癌「治療の選択」その取り組みが紹介され(2008.11.26放映)、現在でも web ( http://www6.knb.ne.jp/medico/index.htm)で公開されている。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
21件
技術的開発、食道癌の臨床、分子標的、臨床試験ならびに統計解析手法に関する論文など
その他論文(和文)
10件
本臨床試験の取り組みの紹介や、マイクロアレイの基礎や食道癌の臨床総説など。バイオテクノロジー・ジャーナルでは厚生労働省による試験であることを明示して解説。
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
17件
本臨床試験の紹介。本臨床試験の基礎となるリンパ節転移診断やマイクロアレイ技術の発表
学会発表(国際学会等)
6件
本臨床試験の紹介。本臨床試験の基礎となるリンパ節転移診断やマイクロアレイ技術の発表
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件
医療界における新聞記事および医療テレビ番組に於ける普及啓蒙

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Shimada Y, Sato F, Tsujimoto G et al
cDNA microarray analysis of esophageal cancer: Discoveries and prospects
Gen Thorac Cardiovasc Surg , 57  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-