日本抗生物質医薬品基準の改正に伴う試験法の検討

文献情報

文献番号
199700445A
報告書区分
総括
研究課題名
日本抗生物質医薬品基準の改正に伴う試験法の検討
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 博(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 堀内善信(国立感染症研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 薬物療法等有用性向上推進研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
平成10(1998)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在医薬品おいて発熱性物質を検出する発熱性物質試験はウサギを用いた動物試験であり,精度,再現性,経済性等の観点から問題が多く,代替え法としてエンドトキシン試験がいくつかの製剤で採用されてきている.しかし抗生物質製剤についてはその種類が多岐にわたることもあり,現在までのところ系統的な検討は行われておらず,代替え法として採用することのネックになっている.この利便性の高いエンドトキシン試験法を用いるためには,広く抗生物質全般について,試験法の科学的な検証,審査を行い,その妥当性を検討する必要がある.本研究では日本抗生物質医薬品基準の改正に伴って発熱性物質試験をエンドトキシン試験に変更することを希望する104 品目の抗生物質原薬及び製剤における試験法の科学的適正を検証すると共に抗生物質全般に関するエンドトキシン試験適用について研究を行う.
研究方法
各メ-カ-が立案し設定した104 品目の原薬及び製剤のエンドトキシン試験法について, 1. 発熱性物質試験が設定されているものは, これによって担保される安全性を保証するものとする.2.特に問題がない限り, ゲル化法, 比濁法, 比色法のいずれの方法でも試験可能な設定とする.3.使用する試薬その他は特定のメ-カ-や感度のものに限定されない方法とする.の3 点を基本的考え方として検証, 検討を行った. 前年までに91品目については試験条件その他について科学的妥当性が確認され代替え法として問題がないと判断された. 本年度は残る13品目について, 主に規格値,操作性,試薬,干渉反応性,試料濃度等の点をいくつかのメ-カ-の試薬, 測定機器を用い, 日本薬局方の方法によって検証した.
結果と考察
本年度は13品目のエンドトキシン試験法の試験条件を検討した. これらの品目については, 昨年度の研究によって干渉反応性, 試料濃度, 規格値等に問題点が認められ, 再検討が求められた. これらの製剤の多くはリムルス反応に対する阻害反応が認められ試験成績に対する影響が予想された.この阻害活性の不活化が重要なポイントとなるが, 立案したメ-カ-側とも討議を重ね試験法の再構築を図った結果, 規格値の変更, 使用試薬の変更, 操作法の改良, 試料濃度の変更等の改変により,6品目について科学的妥当性の高い試験法の設定が可能となった.今年度の研究によっても問題が残った7 品目については引き続き研究を続ける必要があると考えられた.
結論
104 品目の抗生物質原薬及び製剤におけるエンドトキシン試験法の妥当性を検証した結果. いくつかの問題点は認められたもののそれぞれの改変を図ることにより, 殆どの抗生物質でエンドトキシン試験法を発熱性物質試験の代替え法として適用出来ることが確認された.このことから, 他の多くの抗生物質製剤についてもこの試験法の適用の可能性が示唆された.今回のようにエンドトキシン試験との関連性を多くの製剤について総合的に検討したのは初めてであり, これらの膨大なデ-タは抗生物質製剤だけではなく, 他の多くの医薬品に対するこの試験法の適用を検討する場合の貴重なデ-タとして活用できるものと期待される.      

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