ブロック拠点病院のない自治体における中核拠点病院の機能評価と体制整備のための研究

文献情報

文献番号
202020005A
報告書区分
総括
研究課題名
ブロック拠点病院のない自治体における中核拠点病院の機能評価と体制整備のための研究
課題番号
H30-エイズ-一般-003
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
高田 清式(国立大学法人 愛媛大学 医学部附属病院 地域医療支援センター)
研究分担者(所属機関)
  • 武内 世生(高知大学 医学部附属病院 総合診療部)
  • 末盛 浩一郎(愛媛大学大学院医学系研究科)
  • 井門 敬子(愛媛大学医学部附属病院 薬剤部)
  • 若松 綾(愛媛大学医学部附属病院 看護部)
  • 中村 美保(高知大学医学部附属病院)
  • 小野 恵子(愛媛大学医学部附属病院 総合診療サポートセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
四国地区は近年HIV・エイズ患者の増加が著しく、かつ高齢化率が約29%であり、長期療養が必要な例が多い。この長期療養患者に関し、施設への紹介・受け入れが難渋している。この背景のもと、県内の病院・施設との連携整備、さらには県・市の保健行政との連携も踏まえ、診療体制の充実を図りたい。高知県とも連携し、さらにブロック拠点病院が存在しない四国地区全体の診療体制の充実に努めたい。
研究方法
【研究1】教育講演、意見交換、研修教材の作製
愛媛県および高知県にてネットワーク会議や各病院にて講演会を開催し、情報収集のため意見交換を行う。研修教材も作成する。
【研究2】高齢者施設におけるHIV感染症等に関する研修会と実態調査
高齢者施設から現場の福祉・介護担当者に参加いただき研修会を開催する。知識啓蒙とともにHIV感染者を支援する自覚を促す目的で介護・受け入れについて調査する。
【研究3】福祉療養施設への出張研修、実態調査
 介護・受け入れを推進するため療養型病院や福祉施設へ直接出張講義を年間数施設単位で行う。医師・看護師・薬剤師・MSWのHIV診療チームとして出張講義をし、HIV感染者の福祉・介護に関し調査する。結果を介護用小冊子(研究4)に反映させる。
【研究4】実践的ポケット版小冊子
地方でHIV/エイズ患者を積極的に介護施設で円滑に介護をしてもらう試みとして、介護時の実用的なHIVに関するポケット小冊子を作製し四国のHIV診療施設に配布する。
【研究5】在宅介護職の実施研修
HIV患者の介護に直接あたってもらうため、在宅介護職の各々の看護師にHIV患者の実施研修を行う。
結果と考察
【研究1】
県の行政の協力を得てHIV診療ネットワーク会議(県全域の各拠点病院が参加)を令和3年は2月17日にWEB会議で行い、県衛生研究所からHIV感染者の現況報告、各拠点病院のアンケート集計と討議、当院のHIV診療状況、新たなHIV-1/HIV-2抗体確認検査法(GeeniusTMHIV1/2キット)の紹介等を行った。また、令和2年10月17日に四国地区エイズ診療中核拠点病院HIV担当看護師連絡会およびHIV診療医師研修会(妊娠合併例、抗酸菌症例等、各県計5例提示)をWEB会議で行った(4県17名の医師、看護師参加)。介護で有用な冊子「在宅介護に役立つ薬の情報~抗HIV薬の基礎知識~」を作製し県内の各介護施設および全国の中核拠点病院に配布した。
【研究2】
高齢者施設の介護・福祉担当者が参加し研修会を令和元年度は令和2年1月29日に開催した(参加者53名)が、令和2年度としての同様の試みは、新型コロナウイルス感染のこともあり(講演できない面を補足するために)講演すべき内容を判りやすく冊子として作製し各高齢者施設に配布した。国内でも認識されつつある「U=U」(治療にてウイルス量が検出感度以下なら、性行為などにても感染しない)の概念も紹介し、最先端の知識の啓蒙に努めた。
【研究3】
 当院から医師・看護師・薬剤師・MSWのHIV診療チームとして毎年5~7施設へ出向しているが、令和2年度は令和2年6月に1施設と連携し、実際のHIVに合併した大腸癌例でのストーマケア等の指導を行い当該患者の円滑な入所・受け入れに努めた。
【研究4】
 愛媛および四国での実用的な(最新の愛媛や四国の現況や針刺し事故時の感染予防内服薬を配備している具体的な病院名等を印刷)HIVに関するポケット冊子(18x10㎝大程度)を作製し県内および四国さらには中国地区の主なHIV診療施設に配布した(ハンディで判りやすいと概ね好評)。令和2年度は最新の情報として、針刺し事故後の感染確率やARTの進歩で25歳時から治療を開始すれば平均寿命が73.9歳にまで改善していること等の最新の話題も挿入し、安心して介護できるような工夫を行った。
【研究5】
 在宅介護職の看護師に各々3日間当院のHIV患者の実施研修(外来、病棟)と講義・討議を計3回実施した。HIV感染症に関する啓蒙とHIV患者の在宅医療への推進にも繋がり、極めて意義深い研究活動と考えた。
結論
ブロック拠点病院がない地域において、HIV診療体制整備のために高齢介護施設の介護・福祉担当者への資料配布、患者受け入れ先への出張講義、ポケット版小冊子の配布等を行い、介護のための知識・経験を共有できた。高齢化社会で介護・療養が必要なHIV感染・エイズの増加に対応するため、診療体制の整備は、特にブロック拠点病院が身近に存在しない地方においては拠点病院間のみならず介護・福祉施設との福祉連携の充実が不可欠であり、研究を継続し地方のモデルという点でもさらに向上に努めたい。

公開日・更新日

公開日
2021-07-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-07-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202020005B
報告書区分
総合
研究課題名
ブロック拠点病院のない自治体における中核拠点病院の機能評価と体制整備のための研究
課題番号
H30-エイズ-一般-003
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
高田 清式(国立大学法人 愛媛大学 医学部附属病院 地域医療支援センター)
研究分担者(所属機関)
  • 武内 世生(高知大学 医学部附属病院 総合診療部)
  • 末盛 浩一郎(愛媛大学大学院医学系研究科)
  • 井門 敬子(愛媛大学医学部附属病院 薬剤部)
  • 若松 綾(愛媛大学医学部附属病院 看護部)
  • 中村 美保(高知大学医学部附属病院)
  • 小野 恵子(愛媛大学医学部附属病院 総合診療サポートセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
四国地区は近年HIV・エイズ患者の増加が著しく、かつ高齢化率が約29%であり、長期療養が必要な例が多い。この長期療養患者に関し、施設への紹介・受け入れが難渋している。この背景のもと3年間の研究において、県内の病院・施設との連携整備、さらには県・市の保健行政との連携も踏まえ、診療体制の充実を図りたい。さらにブロック拠点病院が存在しない四国地区全体の診療体制の充実に努めたい。
研究方法
【研究1】教育講演、意見交換、研修教材の作製
愛媛県および高知県にてネットワーク会議や各病院にて講演会を開催し、情報収集のため意見交換を行う。研修教材も作成する。
【研究2】高齢者施設におけるHIV感染症等に関する研修会と実態調査
高齢者施設から現場の福祉・介護担当者に参加いただき研修会を開催する。知識啓蒙とともにHIV感染者を支援する自覚を促す目的で介護・受け入れについて調査する。
【研究3】福祉療養施設への出張研修、実態調査
 介護・受け入れを推進するため療養型病院や福祉施設へ直接出張講義を年間数施設単位で行う。医師・看護師・薬剤師・MSWのHIV診療チームとして出張講義をし、HIV感染者の福祉・介護に関し調査する。結果を介護用小冊子(研究4)に反映させる。
【研究4】実践的ポケット版小冊子
地方でHIV/エイズ患者を積極的に介護施設で円滑に介護をしてもらう試みとして、介護時の実用的なHIVに関するポケット小冊子を作製し四国のHIV診療施設に配布する。
【研究5】在宅介護職の実施研修
HIV患者の介護に直接あたってもらうため、在宅介護職の各々の看護師にHIV患者の実施研修を行う。
結果と考察
【研究1】
県の行政の協力を得てHIV診療ネットワーク会議(各県全域の拠点病院が参加)を平成31年2月7日、令和2年2月18日に開催した(各年徳島、高知県の医療スタッフも参加)。令和3年2月17日はWEBで会議を行い各拠点病院のアンケート集計、当大学病院のHIV診療、GeeniusTMHIV1/2キットの紹介などを行った。また、令和元年11月28日に四国全体の合同スタッフ会議を行った。なお、四国地区エイズ診療中核拠点病院HIV担当看護師連絡会を令和元年10月19日(高知)、令和2年10月17日(WEB会議)に行い、午後にHIV診療医師研修会を開催した(4~5例提示し、コメンテーター:国立国際医療研究センター照屋勝治先生)。また、介護で役立つ冊子「在宅介護に役立つ薬の情報~抗HIV薬の基礎知識~」を作製し、県内の各介護施設および全国中核拠点病院に配布した。
【研究2】
県内の高齢者施設から現場の介護・福祉担当者に参加してもらい、HIV感染症等に関する研修会を平成31年2月27日(参加者71名)、令和2年1月29日(参加者53名)に開催した。各年HIV感染者の福祉・介護についてアンケートを行った。「U=U」の概念など、最先端の知識の啓蒙も適切に行っている。令和2年度は、新型コロナウイルス感染で講演会ができず内容を判りやすく冊子として作製し各高齢者施設に配布した。
【研究3】
 積極的にHIV感染者の介護・受け入れを推進するために地域の療養型病院および福祉施設へ当院から医師・看護師・薬剤師・MSWのHIV診療チームとして毎年数施設へ出張講義をした(平成30年度は3施設計173名、令和元年度7施設計259名参加。令和2年度1施設)。
【研究4】
 愛媛および四国での実用的な(最新の愛媛や四国の現況や針刺し事故時の感染予防内服薬を配備している具体的な病院名等を印刷)HIVに関するポケット冊子(18x10㎝大程度)を作製し県内および四国さらには中国地区の主なHIV診療施設に配布した(ハンディで判りやすいと好評)。ART薬の進歩など毎年最新情報も盛り込み安心して介護できるような工夫を行った。
【研究5】
 県内の在宅介護職の看護師に各々3日間ずつ当院のHIV患者の実施研修(外来、病棟)と講義・討議を計3回実施した(平成30年度は5日間)。HIV感染症に関する啓蒙とHIV患者の在宅医療への推進にも繋がり、極めて意義深い研究活動と考えた。
結論
ブロック拠点病院がない地域において、HIV診療体制整備のために高齢介護施設の介護・福祉担当者への資料配布、患者受け入れ先への出張講義、ポケット版小冊子の配布等を行い、介護のための知識・経験を共有できた。高齢化社会で介護・療養が必要なHIV感染・エイズの増加に対応するため、診療体制の整備は、特にブロック拠点病院が身近に存在しない地方においては拠点病院間のみならず介護・福祉施設との福祉連携の充実が不可欠であり地方のモデルという点でもさらに向上に努めたい。

公開日・更新日

公開日
2021-07-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-07-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202020005C

収支報告書

文献番号
202020005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,700,000円
(2)補助金確定額
11,700,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,829,135円
人件費・謝金 2,436,392円
旅費 0円
その他 4,734,473円
間接経費 2,700,000円
合計 11,700,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2022-06-10
更新日
-